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朱美の百合ハーレム全ルート攻略記――選べないから、全員幸せに(攻略)します!――  作者: M・A・J・O
それぞれのルート

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第9話 紫音(えっちな先輩)ルート②

「……朱美ちゃん? どうかした?」

「……へっ? あ、ああ! ごめん考え事してて!」


 紫音との思い出に浸っていると、クラスメイトから声をかけられる。

 自分としたことがこんなに呆けているなんて。もっと気を張らないと!

 そんな決意を胸に秘めながら、朱美は目の前にいるクラスメイト――沙橙に向き直る。


 沙橙は中学からのクラスメイトで、一年生の時に席が隣同士だったことからよく話すようになった。

 髪はショートでボーイッシュな雰囲気を醸し出しているが、顔立ちは整っていて女の子らしさも兼ね備えている。


「……さて、朱美ちゃん?」

「うん? 何?」


 沙橙は何故か不敵な笑みを浮かべている。

 この顔をする時は必ず何か企んでいるということを、朱美は知っていた。

 だが何をするつもりなのかまではわからないため、警戒だけは怠らない。


「……今日朱美ちゃん唇赤いけど、口紅でも塗ってるの?」

「く、くちべに……?」


 沙橙に言われて唇に意識を集中させると、なんだかぬめっとしている感覚があった。

 指で唇をなぞると、なぞった指が少し赤くなっている。

 紫音は高校に入って色つきリップを塗るようになった。

 ま、まさか……


「……紫音先輩に何かされたのかな?」

「さ、されてないよ……」


 沙橙には嘘が通じない。

 見透かすような目をしており、朱美の心を読み解いてしまうのだ。

 この目を見ると、何故か全てを見透かされている気分になってしまう。

 実際そうなのだろうが。


 沙橙には嘘が通じない。

 見透かすような目をしており、朱美の心を読み解いてしまうのだ。

 この目を見ると、何故か全てを見透かされている気分になってしまう。

 実際そうなのだろうが。


「……キスでもされた?」

「……っ!!」


 図星を突かれ、朱美は顔が青ざめてしまう。

 沙橙と付き合っているわけではないのに、なぜか浮気を指摘された時のようないたたまれなさが込み上げてきた。

 朱美の反応を見て確信を持ったのか、沙橙はため息をついている。

 呆れられているのかと思うと少し悲しい気分になるが、今はそれどころではない。


「ち、違うんだよ。そ、そう、軽いスキンシップっていうか、女の子同士ならよくやるノリっていうか?」


 朱美はわけもわからず言い訳めいたことを口走る。

 何がよくやるノリなのかわからないし、女の子同士なら普通というわけでもない。

 実際紫音以外の人とはそういうことをしたことがないのだから。


「……今度からは気を付けな?」

「う、うん……ごめんね」


 沙橙は朱美が他の女とキスしたことに怒っているのか、それとも別のことで機嫌が悪いのかわからない。

 だが、とりあえず謝っておくことにした。

 沙橙の表情はいつもより険しくなっているような気がした。


 ☆ ☆ ☆


「はぁ……」


 朱美は一人帰路につきながらため息をつく。

 沙橙のあの表情を見てからというもの、ずっとモヤモヤしていた。


「何考えてるんだろ私……別に沙橙はただの友達だし」


 そう自分に言い聞かせるも、どこか引っかかるものがある。

 あれは嫉妬なのだろうか。

 それとも独占欲?

 いや、そもそもなんで紫音とキスをしたことに沙橙が不機嫌になるのだろうか。


 もしかして……いやそんなはずはない。

 沙橙が朱美のことを好きだなんて自惚れもいいところだ。

 でも、それならなんで沙橙はあんなにも怒りをあらわにしていたのだろう?


「はぁ……」


 朱美のため息は止まらない。

 沙橙のことで頭がいっぱいだった。


「……ん?」


 ふと顔を上げると、目の前に見覚えのある人物がいることに気づいた。

 その人物もこちらに気づいたのか、手を振っている。


「やっほー」

「あ、紫音先輩」


 そこにいたのは、朱美の悩みの種である紫音その人だった。

 紫音は朱美に近づいてくると、そのまま朱美を抱きしめる。


「ちょ、先輩っ」

「いいじゃない。キスした仲でしょう?」

「そ、それは……」


 紫音の言葉に、朱美は口ごもってしまう。

 そんな朱美を見て紫音はクスクスと笑っていた。


「冗談よ、可愛いわね」

「もう……」


 からかわれていることを自覚して、朱美は頬を膨らませる。

 しかし紫音は気にしていないようで、そのまま話を続けた。


「それより、何かあったの? ため息なんかついて」

「へ? あ……いや別になんでも……」


 紫音のキスのせいで悩みが増えましたなんて口が裂けても言えない。

 朱美は適当にはぐらかそうとしたのだが、紫音は真剣な表情になっていた。


「隠さないでいいから」

「う……」


 紫音のまっすぐな瞳に見つめられ、朱美は思わずたじろいでしまう。

 紫音には隠し事が出来ないらしい。


「……実はその……ある人のことを考えてると、胸が苦しくなるっていうか……モヤモヤするんです」


 朱美は正直に話した。

 恥ずかしくて死にそうだったが、それでも誰かに聞いてもらいたかったのだ。

 すると紫音は顎に手を当てて何かを考えるように首を傾げる。

 そしてそのまま、ニヤリと口角を上げて笑った。

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