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信心するなら強いのがいいから、最強の神を探し求めるおれの話をちょっと読んでけ  作者: naro_naro
第九章 帝国首都――おれと神、そして旅

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 けが人を集めていた広場にもいなかった。治療のまじないが効いた者は立ち去っていたし、まだまだかかりそうな者は、神官や信者に支えられ、ほかの教会などに移動をはじめていたので、こっちには伝言は残さなかった。

 しかし、ディーミディと思われる噂が聞けた。煤で薄黒くなった髪を手で梳きながら、そのエルフは様子のおかしい半エルフの話をしてくれた。

「なんだか放心したような、変な目つきの半エルフだった。声かけたらいきなり走り出して北のほうに行ったよ。あんたの知り合いかい?」

「ありがとう。相棒だ」

「見つかるといいな。それも早いほうがいい。この地区の北のほうって〝主義者〟が多いから」

 おれは礼を言うと早足で北に向かった。すれ違う人に聞いていくと、どんどん北に、ほぼまっすぐ移動してるようだ。そして、様子が変だったというのも共通していた。ふらふらと歩き、目は定まらず、声をかけても反応がない。そんな感じだったと言う。


 聞き込みを続け、目撃談をたどりながら北へ進んでいくと、灯りが減ってきた。ここらへんはどういう地区なんだろう。


 その時、目の隅でなにかがちかっと光った。そっちを見るが、路地になっていて、暗がりだった。誰かいるのか、と呼びかけたが反応はなかった。

 一息吸うと、その暗がりに踏み込んだ。少しだけ立ち止まって目が慣れるのを待つ。転がってるごみが見えてきたので歩いて行った。

 路地は突き当たりで左右に分かれていた。その上、幅も狭くなり、すれ違えないくらいになった。

 また光った。右の方。おれは呼びかけながら早足でそっちに行った。用心は忘れていた。こんなとこで飛び道具を使われたらどうしようもないが、それより焦っていた。

「いま行く。そこで止まって待て」

 足音がする。

「動くな。ディーミディか? おれだ! ルシエスだ」

 一瞬だけ光る。照らしてるんだ。おれは壁に手を当てながら、さらに足を速めた。なにかぬるぬるしたものがつくが構ってられない。

「来ないで!」 ディーミディだった。

「ルシエスだ! そこにいててくれ」

「いや! 火はもういや!」 泣いていた。

「消えた。みんなで消した」

「消えた……?」


 かすかに銀髪が見え、次に大きな目がわかった。見開いている。

 ぶつぶつとまじないをつぶやく声がして、小さな火がともった。その指を差し上げてこちらをうかがう。


「ルシエス……。なんで……?」

「探しに来た。何があったかは後で聞く。とにかく帰ろう。アウローラも心配してる」


 もう手が届くが、おれはその場で立ったまま様子をうかがった。


「火が消えたなんて嘘。森、燃え尽きた」 涙と埃で薄汚れた頬が震えた。

「ここがどこかわかるか?」

「シルヴァフラクシー……。あたしの観測所、観測機器、みんな燃えた。仲間たちも。あいつらのせい。……呪われた。話せない。世界をもう一度発見したのに」

「怖い思いをしたな。落ち着くまで一緒にいるよ」

 すすり泣く声。

「そばに行っていいか」

 うなずく。

 肩に手を置いた。

 抱きついてきた。おれはかがみ、抱き返した。震えていた。

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