二
「ルシエス、おまえ、ほんとに大丈夫か」
峠を越え、下りにさしかかった頃、横から心配そうに顔をのぞき込んできた。日は傾いている。今夜は野宿で、明日昼頃にデリチオーパット領に入る予定だった。
「大丈夫。さ、一気に降りちまおう」
「いや、ほんとに疲れてる。て言うか、変だ」
「変?」
「もっと早く気付いてやりゃ良かった。闘いすぎだし、いろんなことが短い間に起こりすぎたし、それをみんな受け止めたんだ。無理もない」
「なに言ってるんだ?」
「デリチオーパット領じゃ休暇を取ろう。体調戻さなきゃこれからの旅は無理だ」
「いや、だめだ。旅の速度は緩めない。デリシオーサ様の教会に闘いを申し込み、応じてくれたら闘い、くれなかったらすぐ旅立つ。おれのせいだが、純粋主義者に時間を浪費しすぎた」
ディーミディは前にまわっておれの顔を見上げ、後ろ歩きしながら首を振った。
「あのな、ここはあたしを信じろ。旅は無茶しちゃいけない。特にあんたやあたしみたいな目的地に着くための旅じゃないならなおさらだ。寄り道に思えるかも知んないけど、休みは必要なんだ。甘えやさぼりじゃない。もっと自分をいたわれ」
おれは立ち止まり、ディーミディをじっと見て首を振った。
「時間がない。おれは自分の神を見つけたい。もっと闘わなきゃならない」
「武術の鍛錬したんだろ? 自分の体のおかしなとこ、気付かないのか」
痛いところを突かれた。それは感じていた。
「ルシエス、いまのおまえは心だけ燃えてる。違うか?」
「わかったよ。休む。でもちょっとだぞ」
「たっぷりだ」




