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嫌われ厄神と嫌われ神子  作者: ぽこ
エピローグ
14/15

約束※

最終話になります。

※残虐描写あり

既に祭壇の周りには誰もおらず、物言わぬ屍が3つ転がっているだけだった。



朱殷は小さな盛り土を見つめる。

そこに『イミチノムスメ』がいるという。

うなじがチリチリと細く湧き立ち、臓腑から何かが逆流してくる感覚に襲われる。



朱殷は爪が剥がれるのも厭わずに、ただその盛り土を掘り返し始めた。



(カミコ)

(イミチノムスメ)

(カミコ)

(イミチ)

(カミコ)



3枚目の爪が剥がれた時、ようやく何かが見えた。

そこらかしこが土まみれになっているものの、それは身に覚えのある柔らかいあの白髪だった。




◆◆◆




いつものように胡座の上にハナを座らせる。



「寒かったな」



力を込めて抱きしめる。

川でびしょ濡れになった時よりも、更に冷たい土まみれの身体を抱きしめる。



「綺麗な髪なのに汚れちまって」



髪を撫ぜると、ポロポロと土塊が落ちていく。

何度も何度も撫ぜては、手櫛で解き、綺麗に綺麗に整えていく。



「俺が帰ったら、南へ行って腹いっぱい食うんだろう?悪かったな、遅くなって」



人が儚くなると、こうなるのか。

朱殷はぽかりと空いた胸をどう埋めればよいのかわからなかった。ただひたすらハナに話しかける。



死後、魂はしばらくの間身体のそばに存在するという。



だから、いつものように話しかける。

別れの言葉など絶対に言わない。

きっとお前は嫌だと泣くだろうから。



「輪廻に還るのにビビっているかもしれねぇけど、大丈夫だからな。必ず迎えに行ってやるから。そしたら今度こそ南に行こうな」



双眸から溢れそうになる涙を必死に堪えながら、朱殷はへにゃりと笑った。




◆◆◆




どれくらい時が経ったのか。



朱殷はハナを片腕でしっかりと抱いたまま川辺に立っていた。




「川よ、全てを飲み込め」




片手で川底を持ちあげると、それは数多の川床の石という石、岩という岩を巻き込んだ濁流となり、東の村アガシャを飲み込んだ。


その波は更に遠く遠くへ伸びていく。


上流から下流へと溢れ出し、鬱蒼とした森をいくつも飲み込んだかと思うと、そのまま西のドマの地までも飲み込んだ。


人々に逃惑うが、神の怒りは止まることを知らぬ。

全てを沈める轟音は夜が明けるまで鳴り響いた。



その日、東西の二つの村が神の怒りによって水底に沈んだ。







以来、厄神は神の国に戻らず人の世にとどまった。

いつか転生する愛し子を迎えに行くために。



それはまた、別の物語ーーーーー

お読みくださった方、どうもありがとうございました(*´ー`*)


医療業界末端としての死生観を描いてみました。

現代よりも死が身近にある古代設定なので、結末には賛否両論あるかとおもいますが、転生して再び巡り会えた時はガッツリ幸せになっている予定です。

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