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「異」世界「常」連の「日常」奪還奮闘記  作者: ちょい悪代官
第三章 迷いの森と呪われしエルフ

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第50話 お茶会

唯人は『彼女』から預かったティーポットを使いお茶を用意しながら考える。


(何故思考する際にも『彼女』という認識なのか。

おそらくリュートも同じなのだろう。あれだけグイグイと話しかけているうえに名前まで聞かれて答えているのに『彼女』の名前を聞こうとはしていない)


『彼女』にかけられていた『呪い』のようなもの(・・・・・・)は解けた。


そう認識している唯人だったがそれとは別に『彼女』に踏み込めないような抵抗を感じていた。


(別に『彼女』自身が拒絶している、というわけではなさそうだが…)


そこまで考えたところで用意していたお茶が出来上がった。


「さて、お口に合うかわからないけど」


そう言って差し出されたのは唯人の世界のルイボスティーであった。


「いいかおり~」


「ああ、森の中で言うのもなんだが気に包まれているような気がして何ともほっとする香りだ」


差し出された2人は各々感想を口にするが香りは合格の様だ。


「それは良かった。どうやら『貴女』は、その…ちょっとばかり浮世離れした生活をしていたように見受けられてね。いきなり紅茶の類(たぐい)では刺激が強いし、白湯、というのも味気ない。だから体に優しくて香りや味も十分に楽しめる、ということでルイボスティーを選んだ」


「そうなんですね~」


「き、気を遣わせて済まない。ありがたくいただこう」


リュートは呑気にそう言い、『彼女』は今までの生活を見透かされたようで恥ずかし気に答えてカップを口に運ぶ。


「すっきりしてて飲みやすいですね!」


「ああ、香りもそうだったが草木や木の実も感じられる。我々…いや、エルフにとって親しみやすい味だ」


(…少し気になる点が出てきたがとりあえずお茶については及第点はもらえたようだな)


そう心の中で呟くと自分のカップにもお茶を注ぎ、席に着くと『彼女』とのお茶会に臨むのであった。


・

・

・

・

・


唯人とリュートはこれまでのあらましを話して問題ない範囲で共有していった。

リュートが知っていて『彼女』に伝えていないことは主に勇者関連についてだ。


勇者(友人たち)については唯人にとってだけでなく世界にとっても(・・・・・・・)急所となりえることであり軽々に口にはできない。

あとはリュートに共有済みの記憶の内容などは多すぎるため話し切れていないくらいか。


それを除けば殆どのことは話していると言ってよいほどに情報を開示していた。




それとは逆に『彼女』については一切語られることも問いかけることもなかったのであったが。




『彼女』の質問に答えながら話を進めお茶のおかわりがなくなる頃、この地に到達したところまで話し終えた。


「――という感じでこの地にたどり着いて、あとはご存じの通り、というわけだ」


補足を入れながらとはいえ、さわりの部分を中心に話したがそれなりの時間がかかっており、そろそろ一息入れるにもいいころ合いといったところで唯人は一旦話を切る――むしろ本題はここからなのであるが――。


「…ふぅ。説明もわかりやすかったし質問にも答えてもらった。納得できる回答をもらったと思うし2人の言うことに嘘はない、と頭ではわかっているが…飲み込むのが大変そうだ…」


そう言って疲れた顔を見せ、ティーカップに残ったルイボスティーを代わりに(・・・・)飲み込む『彼女』だがその表情にはわずかな笑みが見える、…が――


「最後に聞きたい。あの呪いはどうやって解いた?いや、そもそも本当に解けているのか?」


その笑みを消し今まで見せたことのない剣呑な眼差しで問う。

そしてその眼差しを正面から受け止め、唯人は答える。


「…正直に言って現段階では『分からない』というのが俺の答えだ」


「そう、か…」


そう聞いて『彼女』は空になったティーカップを見つめ、残念そうな、寂しそうな表情を浮かべ、絞り出すようにそう零した。


(確かに呪いは解けたように見える。だがこの2人はどう考えても普通の存在ではない。その2人に呪いが発動しなかったとして他の普通の存在に呪いが発動しないとは限らない…。何より今は霧散した呪いが再びこの身に降りかかることがないと何故言えよう)


『彼女』は負の思考の連鎖にとらわれていた。


無理もない。『彼女』は人生のほとんどの時間を『呪い』と共に歩んできたのだ。

それが突然なくなったと言われてもなかなか信じることはできないだろう。


そんな『彼女』にとってこの2人との数時間は長きにわたり『呪い』との生活を続けてきた『彼女』にとって数少ない満たされた時間だった。

驚かされることばかりだったが、それこそ今までの人生の空白がこの僅かな時間のためにあったかのような濃密な時間だった。



だが、『呪い』が解けていないのなら結局はまたあのただ死を待つだけの日々に、この空のティーカップの様な空虚な日々に戻るのだ。



(ああ、でもこれからはこうして魔力で細工をしながら過ごすのも悪くない…かな?)

そう思い自嘲気味に嗤いながら見つめていたティーカップにふと影が差す。



それに気付いた『彼女』が見上げると


「すまない、言い方が悪かった。『呪い』についてはわからないが『貴女』が言う『私に触れると死ぬ』という心配はない。これは間違いない」


そう言いながら『彼女』の空のティーカップを満たす唯人の姿があった。

ぶっちゃけルイボスティーとかあんまり進んで飲まないので詳しい知り合いが言っていたのの受け売りですw

全然違うとかだったら教えていただけると嬉しいです<(_ _)>

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