第47話 呪いの正体…それは 2
投稿済み分の修正が終わったので再開します。
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~?~
予想外の事態に悲鳴を上げてしまい、更にはその声が聞くに堪えないもであったこともあり恥ずかしさから固まってしまっていた私だが、それどころではないと我に返り声を出すのがやっとの喉を振り絞り先ほど口にしようとしていた言葉を改めて口にする。
「触るな!!」
そう言って『彼』の腕を振り解こうとして気付く。
「っ!?声が…それに髪も…!?」
先程までの亡者の慟哭のような声とは違い、まだ弱々しくはあるものの透明感のある澄んだ声が確かに発せられていた。
それと同時に視界に覆いかぶさるようにして目に映る髪も、全ての光を飲み込むような黒から自ら光を放つかのような透明感のある白へと変わって、いや…戻っていた。
そのいずれも遥か昔の記憶にあるものと違わぬもの。
「何故…こんな!?」
思わずそう口にして自身の状態を確かめようとして気付く、『彼』がまだ私に触れていることに。
「っ!!ダメだ!放せ!」
そう言って身を捩るが『彼』は見た通りに優しく包み込むように手を添えているだけなのに逃れることはできなかった。
そうした混乱の最中にある私に『彼』はやはり優しく声をかけてくる。
「落ち着いてくれ。大丈夫だから」
そう言って私の顔にかかる髪を手でそっと横に流すと『彼』と目が合う。
その漆黒の瞳を見つめていると自然と心が凪いでいき、ようやく私は平静を取り戻すのであった。
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私が十分に落ち着いたと見たのか『彼』が私から手を放す。
――正確にはわからないが――数百年ぶりの温もりが名残惜しくもあるが恥ずかしさが勝るので引き留めるようなことはできなかった。
それに聞きたいことは幾らでもある。
早々に話を進めるために『彼』へと声をかける。
「あなた方はいったい?何故ここへ?それに…」
「まあ待ってくれ。ちゃんと答えるけど長くなりそうだ。どこか落ち着いて話ができそうな場所は――」
「~~~~っ!!!」
『彼』がそう言って視線を私が過ごしている小屋へと目を向けるので全力で首を振って拒絶を示す。
どう贔屓目に鑑みてもとても人を招き入れることのできる状態ではない。
「――なさそうだな。あ~、じゃあ適当に何か用意しようか」
『彼』が察して自分で用意してくれることになって一安心だが、向こうから押しかけてきたとはいえ客人ともいえる彼らに用意させるのはいかがなものかとも思わなくもない。
そんなことを考えていると彼から尋常じゃないほどの濃密な魔力が吹き上がった。
「!!」
思わずよたよたと後退り身構えてしまうが敵意は一切感じられない。
大瀑布――実際に見たことはないが本で読んだ――を目の前にしているはずなのに細流のせせらぎを見た時の様に穏やかで心が安らぐ感じさえする。
力強い魔力の奔流でありながら、もともと魔力に関しては一日の長があるエルフ、そしてその中でも特に感覚が鋭いであろう私でも少し離れれば感知できないのではないかと思わせるほど繊細に制御されたものであった。
私があっけにとられているうちにその魔力はさらに姿を変える。
魔力が粘度を持ち透明な土細工の様に――飴細工やガラス細工の方が近いが彼女はそれを知らない――何かを形作り始める。
(魔力が物質化!?それもこれほどの量を…。ありえない、ありえたとしても少しでも制御を失えば一瞬で破綻するはず…さらにそれでこんなものを作るなんて!?)
声も出せず混乱している私をよそに『彼』は淡々と作業を進め――
――程なくしてそれはテーブルと椅子へと変貌した。
私ははしたないことにぽかんと口を開けてしまっていたが、『彼』の後ろでその様子を見ていた『彼女』は苦々しいような呆れたような何とも言えない様子でそれを見ていたのでこれが初めてというわけではないのだろう。
当の『彼』は出来栄えに満足したのか、芝居がかった、しかし洗練された動きで私の近くの椅子を引くと目で「お掛けください」と伝えてきた。
そのあまりにもスムーズな動きに私は自然とそれに従いいつの間にか椅子に腰かけてしまっていた――その動きは一流レストランのサービススタッフとどこぞの令嬢の様であったがこれまた彼女は知る由もないのであった――。
その魔力でできたテーブルとイスは表面はなめらかで適度な硬度を持ち、椅子の座面や背もたれは固すぎず柔らかすぎない抜群のクッション性を持つという場所ごとに適切な性能を持たせている。
長きにわたって椅子に座ることがなかったが椅子とはこれほどに良いものかと感動すら覚える。
――が、
「いやいやいや、ご主人様、いくら何でも無骨過ぎません?」
『彼女』が言う通りこのイスとテーブルには飾り気が一切ない。
装飾など一切なくせいぜい角が丸く削られているくらいで、その上魔力でできているせいかガラスのように透明でこれはこれで美しくはあるが椅子とテーブルとしては失格であろう。
そして何より――
「しかもご主人様のことを知らなかったら全然安心して座れませんよ!――ご主人様の記憶で見た――地雷の上に座った方がまだましなレベルです!」
そう、『彼女』の言う通り恐怖しかないのだ。
『彼』の動きに誘われて思わず座ってしまったが、その後は身じろぎ一つできないでいる。
『彼女』の「地面の中に設置するトラップ魔法の様な物の上に座った方がまし」というのには同意せざるを得ない。
「あ~、うん、そうだな。でも大丈夫だから心配しないでくれ」
『彼女』に窘められた主人であるらしい『彼』はテーブルをコンコンと叩きながら事も無げに言うが正直やめてほしい。
「だ~か~ら~、それがダメなんですって!ちょっとこっち来てください!!」
私の気持ちを察してか『彼女』が注意してくれるがそのまま『彼』を連れて離れていってしまう。
去り際に
「あ、大丈夫なのはホントなんで!無理かもしれないけど安心して座って待っててくださいね~」
などと言い残して。
前書きにも書いたようにこの話から更新再開ですので、前話までとの矛盾点や違和感等ありましたらご指摘いただければ幸いです。
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