第46話 呪いの正体…それは 1
時は少し遡り唯人視点
森の中で例の不快感の源泉と思しき存在と邂逅した唯人達。
それは口にするのもはばかられるような禍々しさを放っていた。
(元の世界の貞〇と伽椰〇を足して2乗したみたいな感じだなぁ)
そんな状況にありながら唯人は放課後の教室で誰かさんが「肝試しだ~!ということで昔のホラー映画を見ま~す。当然ですが拒否権はありません」などと言いだし友人たちと観ることになった映画を思い出してわずかながらに頬を緩ませる。
唯人のそんな心情など知る由もない彼女は自分に触れると呪われるからここから立ち去れと言う。
(へぇ、本当なら最高だけどそうじゃなかったとしても得るものはあるかもね)
唯人はその言葉に興味を抱いて彼女へと歩み寄った。
無造作に近寄る唯人に対し彼女は魔法を放ってくる。
かなり強力な風の魔法で他の世界で言うA~Sランク、十階梯で七、八程の威力を秘めた魔法だ。
だが制御がうまくいっていないようで込められた魔力と術式のバランスが悪く精度がいまいちで、自身の漆黒に染まった髪を切り裂きながらその髪とともに散弾のごとく押し寄せた。
唯人は魔法を魔力の壁で打ち消しながらぼんやりと「この髪に触れても呪われるんだろうか?」などと考え、魔法に巻き込まれただけにもかかわらず必殺の威力をもって飛来する髪を何本かその身に受けてみる。
その髪は唯人の体に突き立つ寸前で何かに阻まれるように静止すると力を失い地面へと落下していった。
唯人はそのいくつかを手に取ると少し残念そうな顔をし
「…これじゃダメなのか、それとも――」
そう小さくつぶやくと、望外の威力の出た魔法に戸惑ったのか、その魔法を無造作に防いだ唯人に驚愕したのか、もしくはその両方で固まっている彼女に一息に歩み寄る。
(女性の手を取るなんて失礼かもしれないけど…)
そんなことを思いながらそっと彼女の手を取る。
固まっていた彼女もそのハラスメント行為に驚き――実際は手を取る=自身に触れる=呪いが移るということに気付き――驚愕の表情を浮かべ手を振りほどこうと身をよじるがその際にバランスを崩し唯人へと体を預けるように倒れこんでしまう。
図らずも彼女を抱きすくめるように支えてしまった唯人の耳に
「エっ!?キぇアぇエぁアぇエぁアーーー!!!!」
という怪鳥の様な声が聞こえてきたのはその数瞬後であった。
その声に顔を顰めた唯人であったがさらにその後に起こった変化に気付くと抱きすくめるような体制にあった彼女の両肩を掴みお互い見つめ合うような体制にする。
黒髪の隙間からは驚愕に見開かれた目の中で金色の瞳が揺れながらも唯人を捕らえる。
――恋愛ドラマやラブコメならばこのままキスの一つでもするのであろうが残念ながらこの物語の主人公はこの男なのでそんなことが起こるはずもない――
そんな状態にありながらも唯人の意識は自身が彼女に触れた部分から何かが霧散していくのナニカに向けられていた。
それはこの森に入った時から感じていた不快感であり彼女から放たれていた禍々しさの根源のナニかであった。
唯人が見つめる先の彼女はそのナニかが抜けだし、薄汚れていた体も清められ、全身を覆うようにしていた黒髪も透明に近い白髪へと変貌していったのだった。
ちゃんと執筆していく意思と環境があることの証明のための連日投稿です。
そのせいで短いですが区切りの関係ですので今後はもう少し長くなっていくと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
ちなみにどうでもいいことですが貞〇と伽椰〇を足して二乗というのは執筆開始当初から構想にあって、当時は貞子vs伽椰子なんてなかったので唯人が見ているのはそれぞれの作品と思ってください。




