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「異」世界「常」連の「日常」奪還奮闘記  作者: ちょい悪代官
第三章 迷いの森と呪われしエルフ

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第44話 呪われし存在

新ヒロイン登場。短いです。

~?~


もうどのくらいの期間こうしているだろうか。


この暗い部屋の床にうずくまり続けてもう何年、いや、何百年の時が過ぎただろうか。


最初の頃は窓から光が差すこともあったがその光がまぶしいと思った瞬間にその窓は外側から蔦のようなもので覆われふさがれて二度と光を通すことはなかった。


ここにきてから何も口にしていないが不思議なことに死ぬことはなかった。


――最初はそれを期待してのことだったのだが――


食べようが食べまいが死なないとわかったところでわざわざ他の命を奪ってまで何かを口にしようとも思わずそれが今まで続いている。


だがこうして動かずにいれば徐々に、ほんの僅かずつだが緩やかに死へ向かっているのが実感できた。


そうでなければ私はこの身に宿った『呪い』を振りまき邪悪な存在として誰かに討伐されることを望んだかもしれない。


でも痛いのは嫌だし誰かに怖がられたり嫌われたり、ましてや呪いをうつして誰かを殺すようなことはそれこそ死んでも嫌だった。


なのでこうして暗闇の中でもひときわ黒を放つ顔にかかった自らの髪を見つめながら静かに死を待っている。


それがそこへ至るのにあと何年かかるのか想像したくもないほど、気の遠くなるほどの長い年月が必要だったとしても。


それならば苦しむのは自分だけで済む。





そんなことを、何度も同じ結論に至った思いを頭に浮かべていると妙な気配を感じた。


この辺りには魔物や小動物がいるにはいるがそのどれもがこの小屋、おそらくは私から一定範囲内には決して近づかない。


だがその範囲を超えてこちらに近づいてくる気配が2つ。


昔はこんなことわからなかったはずだが、この暗闇の中で過ごすうちに小屋の外のことも手に取るようにわかるようになっていた。


その感覚によるとその気配はこちらへとまっすぐに近づいてくる。


まずい。


下手にこの小屋をあけられて私に触れてしまえばその呪いはその2人に移るであろう。


その2人がどんなつもりでここに来たのか知らないが、この感覚を信じるならば邪悪な存在ではないだろう。


ならば無為に呪いをうつすこともない。


そう思いいたると数百年ぶりに立ち上が…ろうとした――


が、


足に力が入らず壁に顔から突っ込むことになった。


「ッーーー!!」


痛みはあるが傷ができたりするほどではない。


ただ数百年間放置していた髪が全身を覆いつくすようにかかってしまい煩わしいことこの上ない。


何とかそれを払いのけようとするがそうこうしているうちに2つの気配は小屋の近くまで近づいてきていた。


早く出なければ。


そう思った瞬間に寄りかかっていた壁がゆがみ、外界への扉となった。


支えを失った私は無様にもヨタヨタと外界へと歩み出ることとなった。


まるでゾンビかグールのように外界へと出た私はその眩しさに目をあけることすらままならない。


大した明るさではないはずだがずっと暗闇の中で過ごしてきた私には眩し過ぎた。


これでは本当にゾンビかグールになったみたいではないかと思ったが、ある意味それ以上に厄介な存在であると思い至り自嘲する。


気を取り直して私が出てきたことで歩みを止めた2つの気配に向き直り警告を発する。


――ここから立ち去れ!――


・

・

・


自分では凛と、気丈に、はっきりと口にしたつもりだったが、数百年使うことの無かったその声は…


「コ こ カ ら タ ち サ れ」


無情にも擦れ、それこそゾンビかグールのうめき声のようであった。




ああ、恥ずかしい…。

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