第43話 迷いの森 ~結界型・人喰い型ハイブリッド~
与えられた装備を身につけ恥ずかしそうにするリュートを無視し唯人は状況の変化に対応する。
「おっと、無駄話はそこまでだ。どうやらこの森には奥に入らせないための二重の罠が仕掛けられていたようだ」
二人の位置からは見ることはできないが何かが二人に向かってじりじりと近寄って来るのを感知する。
「モンスター!しかもこれは・・・!」
「ああ、先ほどまでに比べてはるかに強力なやつらだ」
今まで遭遇したモンスターたちとは比べ物にならない強力な気配。
それだけではなく魔力の奔流も感じられる。
…しかし、
「とは言え私達の敵じゃないですね」
何でもない、とでもいうようにリュートの感想は軽いものだ。
「ああ、だが先ほどの入り口に戻すだけの結界と違いこちらは殺る気満々だがな」
唯人もそういいつつ危険を感じている様子はない。
「確かに。もしさっきの冒険者が同じように進んでいたら間違いなくここで殺されていたでしょうね」
そう、2人の様子から大したことの無いように感じてしまうが先ほどのパーティーがこのモンスターに遭遇していたら間違いなく全滅したであろう強力なモンスターだ。
だが唯人はモンスターそっちのけで考えを巡らせたどり着いた答えを口にする。
「…なるほど。どうやらこの森は結界で迷わせるだけでなくいわゆる『人食い』とのハイブリッドの迷いの森だったようだな」
「ハイブリッド?どういうことですか?」
リュートがよくわからない、といった風に首をかしげる。
「まず先ほどからリュウトが感じている不快感。これはある程度の力量があるものにしか作用しないのだろう。そしてそれだけの力量があるものは先の不快感のせいでこの奥地には入ってこない。そして力量の足りないものが入ってきたらこうした強力なモンスターの餌食になる、ある程度の危険性を示しつつ訪れる者がなくなるわけではないしある程度の実力があれば無事に帰ってくるから必要以上の戦力を招くこともない、というわけだ」
「えっと、でもそれなら力量とか関係なくすべてのものに作用するようにすればいいんじゃないんですか?」
「そう、そこがポイントだ。そうすると力ある者が制圧に来る可能性が高まるし、そうならなかったとしたら人はもちろんモンスターどころかただの動物すら近寄らなくなるだろう。下手をすれば植物すら根付かなくなるかもしれない。そうすると困るっていうのはどういう場合か」
「えっと、う~ん、どういうことでしょう?」
さらによくわからないことになりかしげていた首を反対側へとかしげる。
「例えば何か貴重なアイテムか何かを隠すなら別にそういったものがなくたって構わない。だがそれが生き物だとしたら?」
そのヒントにハッとした表情をするリュート。
その様子から唯人はリュートに自分の考えが伝わったと思い頷きを返す。
「そうか!周りに動物や植物がいなければ生きていくことはできない!つまりこの奥にはとんでもないモンスターが待ち受けているってことですね!」
唯人からのヒントを受けてかしげていた首をまっすぐに、ついでに尻尾もピーンと立てて全身で納得の表現をするリュート。
「あ~、うん、まあそういう可能性も無きにしも非ず、かな。つまりこの奥に何かが住んでるってことだな」
しかし唯人は思っていたのとは違った返事が返ってきたためあいまいな答えを返すこととなった。
「そうと分かればその元凶に向かってレッツゴーです!」
そう言って突き上げた拳に満を持して跳びかかってきたモンスターが貫かれる。
『グッ…ギェッ…』
まともな断末魔を上げることすらままならず息絶えるネコ科の肉食獣を禍々しくしたようなモンスターを何事もなかったかのように放り捨てるとリュートは不快感を放つ方向へと歩き出した。
その先には打ち捨てられたモンスターと同じ、もしくは同等の気配が多数あったがその末路も同じものになるであろうことは想像に難くないことであった。
・
・
・
「このご主人様からもらった装備はすごいですね!あれだけ返り血を浴びても一切汚れやにおいが残らないし!こんなふうにモンスターが弱くても汚したら装備の手入れが面倒なんですけどこれならそれを気にせず処理できますし!…おっ、何やら開けた場所に出るようですよ」
想像通り道中のモンスターをなぎ倒しながら進んでいくリュートが上機嫌で話していると、彼女が言うように森の中にぽっかりと開けた場所が現れた。
同じ森の中の開けた場所ではあるが、以前リュートが龍として潜んでいた場所と異なり周りの木々が生い茂り光はほとんど差さないくらい薄暗い空間。
そして何よりの違いは、
「…家、か?」
そこには蔦で覆われたログハウスのような人工物と思しきものが鎮座していたのであった。
そして、
「ご主人様。あの中にこの気配の元凶があるようです」
先ほどまでの砕けた雰囲気を潜めたリュートがそう伝えてくる。
「ああ、そのようだな」
唯人がそう答えるとその建物の壁の一部、木の幹が束になって捻じれた様な部分がほどけ、中からナニか、そう、ナニかとしか『見え』ない存在が現れた。
その、『強いて言うなら』ヒト型のナニかは
「コ こ カ ら タ ち サ れ」
と辛うじて人の言葉に『聞こえる』音を発し例の不快感を唯人とリュートに叩き付けてきたのであった。
相変わらずの遅筆でお恥ずかしい限りです。
遅くなって申し訳ありません、とか書こうと思いましたがそもそも待ってくださっている方がいるか謎なので↑のような表現にしております。
また、同じ時間に別小説を新たに投稿しました。
そんなんやってるから投稿遅いんだよ!と思われるかもしれませんが向こうは完全に思いつきで書いたものなのでほぼ影響はありません(笑)
異世界モノではありませんが転生もの?です。
よかったら見てやってください。




