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「異」世界「常」連の「日常」奪還奮闘記  作者: ちょい悪代官
第二章 試しの森

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第22話 推薦(押しつけ) 1

「お断りします」


一分(いちぶ)の隙もない完全な即答である。


「えっとですね、先日も新人の冒険者が帰ってこないっていう話を聞いて不安になっちゃって…って、え~!!?」


内容はどうあれ一応ちゃんと返事をした唯人はウサ耳少女を残し、スタスタと出口に向かって歩き出した。


「ちょ、ちょっと待ってください~!タダヒト(・・・・)さんは怖くないんですか~!?」


自らの名を呼ばれピタリと動きを止める唯人。

そして振り返り尋ねる。


「一応確認しますが、何故僕の名前を知っているんでしょうか?」


「えっと、私は見ての通り兎人族なので…ごめんなさい。自然と聞こえてしまうんです」


彼女はウサギの特徴を持った亜人で兎人族と言う種族らしい。


「そうですか。で、あなたは自分の名前を名乗らないんですか?」


とくに気分を害すような事でもないのに何故か口調がきつくなってしまう。


「ごっ、ごめんなさいっ!私、ラヴィって言います」


それを敏感に感じ取ったのか彼女は慌てて謝ると自らの名を名乗る。


(ラヴィ?ウサギだからか?でもそれならラビィか)


などとどうでもいいことを一瞬考えつつもこちらも改めて名乗る事にする唯人。


「ラヴィさんですか。こちらの事は既にご存知のようですが改めまして、タダヒトといいます」


「はいっ!私のことは呼び捨てで結構です。タダヒトさん!よろしくお願いします」


「あ~、いえ、こちらとしてはあまりよろしくする気は…」


と再び拒絶の言葉を口にしかけるとラヴィは涙目になりながらすがり付いてくる。


「そこを何とかお願いします~!受付の方の話を聞いたら不安で不安でしょうがないんです~!」


涙目で男にすがりつく少女とそれを拒絶する男。


極力目立ちたくない唯人にとって、こんな人気のあるところでそんな目立つ行為はやめてもらいたいところである。

事実、周囲からの視線は既に唯人を貫きつつある。

さすがの唯人もこれには堪らず、穏便に話を収めるために話を聞くことにしてしまう。


「ちょっと!?やめて下さい。だったら冒険者になんてならなければいいでしょう?」


「う~、訳は言えませんが私はどうしても冒険者にならなければいけないんです!」


「だからと言ってルーキーが組んだところで大して安全ではないと思いますよ?どうせならもっとベテランの方に…!?」


そこまで話したところで何かを思いついた唯人。


「?どうかしましたか?」


「わかりました。では僕についてきてください」


「いいんですか!?ありがとうございます!」


「いいから。早く行きますよ」


「はいっ!」


そう元気良く返事をしたラヴィを連れ、唯人は人ごみの中を進んでいった。


・

・

・


「あの~、タダヒトさん?こちらの方は…」


「すみませんがちょっと待っていてください」


唯人の陰に隠れるようにするラヴィにそう言うと、目の前に聳え立つかのような大男へと視線を戻す。


「おう!坊主!さっきぶりだな!!」


「はい。先程は失礼しました。なにぶん急いでいたもので」


それは先程唯人に絡んで?きた男。マキシであった。


「がははは!いいって事よ!で、ここに来たってことはあれか?俺達のパーティーに入る気になったのか?」


「あ~、いえ。先程は名前も名乗らずじまいだったので改めて挨拶に来ました」


「ん?ああ!そういえばそうだったな!ちょっと待ってろ。おい、おめぇらちょっと来いや!」


マキシがそう声を上げると三人の男女が歩み寄る。

そのうち二人は先程マキシと共にいた二人。そしてもう一人はヴァイオラの言っていた女性だろう。


「旦那ぁ、大声出してどうした…ってさっきの兄ちゃんじゃねぇか」

「はいは~いっと。お、さっきの坊やじゃないか。やっぱりあたしに抱かれに来たのかい?」

「ミリア。そんなはしたない事言ってはいけませんよ。ごめんなさいね。この子本当は純粋でいい子なんですよ」


そんな事をいいながら三人がマキシのもとへと集う。


「確かに坊主も名乗らなかったが俺らから声掛けたのに自分から名乗ってなかったな。てぇことでこっちから名乗らせてもらう。俺はマキシ!ランクはAFだ。こいつらと四人で『ワイルド・ストーム』ってぇパーティーを組んでる。一応俺がリーダーって事になってるが実際はそんな硬っ苦しい事は抜きでやってるぜ」


マキシの言葉を聞き、他の面々も彼に続き名乗り始める。


「俺はキース。ランクはBD。リーダーがこんなだからよ、いろいろ考えるのが俺の役目だ。参謀と言えば聞こえは良いが、要は貧乏くじ引かされる役だ。ま、よろしく」


「あたしはミリア。ランクはCC。女抱きたくなったらあたしんところに来な。安くしとくよ?」


「おい…、いつの間にか買われる側になってんぞ?」


「えあっ!?キースっ!揚げ足取るんじゃないよっ!」


「ミリア。だめですよ。今日会ったばかりの方の前でそんな事を言っては。せっかく身も心も清らかなのに誤解されてしまいます。…あらやだ、私も初対面の方の前でこんな話ばかりでしたね。お恥ずかしい限りです」


後ろで顔を真っ赤にしたミリアが何か言っているが、彼女は気にせずに自らの名を名乗る。


「私はソフィー。ランクはDAです。主に皆さんのサポートを担当しています。お見知りおきください」


唯人も彼らに続き名を名乗る。


「ご丁寧にありがとうございます。僕の名前はタダヒトと言います。今日、冒険者になったばかりですがこれも何かの縁と思い挨拶させていただきました」


「おう!で、タダヒト。後ろにいる嬢ちゃんはいったいなんだ?」


そして今回の接触の目的とも言える彼女の紹介、そして…。


「彼女はラヴィと言います。そしてここからが本題なのですが…単刀直入にお願いします」


その用件を伝える、


「――彼女をあなた方のパーティーへ入れていただけませんか?――」


「へ?……ええ~~っ!!」


ただでさえ騒がしいギルド内に、何も聞かされていない当の本人の驚愕の声が響き渡った。

短いですが、その代わり次話もそこそこ早く投稿出来るかと思います。

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