↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生した剣聖は魔法を極めたい  作者: 空想物語


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
5/10

第5話 アル見守り隊

あれから、父さんたちの行動が怪しい。


どこへ行っても、隠れながら僕についてくる。


……いや、隠れているつもりなんだろうけど。


「いや、バレバレなんだけど……」


木の陰から覗いている父さん。


壁の裏からこちらを見ている母さん。


そして、少し離れたところから僕を観察している姉さん。


――うちの家族、尾行下手すぎないか?


しかも、どうしてこんなことをしているのか、まったく思い当たることがない。


もしかして、何か悪いことでもしただろうか。


……いや、何もしてない。


だって、あの岩だって本気で斬ったわけじゃない。


僕としては、ただ軽く刀を振っただけだ。


それなのに、どうしてこんなに怪しまれているんだろう。


まあ、尾行されているからといって、僕のやることが変わるわけじゃない。


そして――明日から、ついに学園の試験が始まる。


僕にとっては、初めての学園生活。


どんな場所なのか、どんな人たちがいるのか。


楽しみな気持ちもあるけれど、それ以上に少しだけ不安だった。


「よし……明日の試験に向けて、今日も魔法の練習頑張るか」


僕は気持ちを切り替え、今日も魔法の特訓を始めた。


◆ ◆ ◆


一方、その頃――。


僕が知らないところで、家族会議が開かれていた。


「シエルの才能を気づかせてあげよう大作戦、まずは見守りから!」


父さんが楽しそうに言った。


「そうだね。普段の行動の観察から」


母さんも頷く。


「そう言って、もう一週間もそうしてるけど……」


私は呆れながら言った。


この一週間、家族全員で兄さんを観察している。


……正直、何をしているんだろうと思う。


「成果はあった」


姉さんがキメ顔で言った。


こういうときの姉さんは、大体カッコつけている。


「成果ってなに?」


「気づかせてあげるというのは、思ったよりも難しい」


「姉さん、それ成果って言わない。それに学園は? 父さんも母さんも仕事はどうした?」


「休んだ」


父さん、母さん、姉さんが同時に答えた。


「……この家族は」


思わず呆れてしまう。


でも――。


そんな家族だからこそ、私は嬉しかった。


兄さんに才能があることが、私は本当に嬉しい。


王族である兄さんに、時代遅れと言われている剣の才能が見つかった。


普通なら、誰か一人くらい馬鹿にする人がいてもおかしくない。


でも、この家族は誰一人として兄さんを蔑まなかった


むしろ、みんな喜んでいた。


私は、兄さんが自分の才能を意図的に隠しているんだと思う。


だから私は――。


兄さん自身が話してくれるまで、待つことに決めている。


◆ ◆ ◆


そして、次の日の朝。


「行ってきまーす!」


僕はルーナと一緒に屋敷を出た。


今日から、いよいよ学園の試験が始まる。


学園までは馬車で移動する。


馬車に揺られながら、僕は窓の外を眺めていた。


胸の奥が、なんだか落ち着かない。


楽しみなのか、不安なのか、自分でもよく分からない。


「ねぇルーナ、学園はどんなところかな?」


「兄さん、浮かれすぎ」


「ルーナは楽しみじゃないの?」


「楽しみだけど、兄さんが浮かれすぎ」


「試験ってどんなのかな。受かるかな……」


口に出した瞬間、急に不安になってきた。


今まで魔法の特訓はしてきた。


だけど、僕の魔法力は「無属性・星一つ」。


学園の試験で、僕はいったいどんな評価を受けるんだろう。


そんな僕を見て、ルーナが言った。


「大丈夫だよ。もし兄さんが受からなかったら、兄さんの分まで楽しむよ」


「辛辣。そこは頑張ってでしょ」


妹よ、兄さんは悲しい。


「兄さん、願っても結果は変わらないから」


「現実主義ー」


そんな会話をしているうちに、馬車がゆっくりと止まった。


窓の外を見る。


そこには、これから僕たちが通うことになる大きな学園があった。


「……着いた」


胸が高鳴る。


楽しみだ。


でも、それと同じくらい緊張する。


今日から始まる。


僕の知らない世界で、僕自身がどこまで通用するのか。


そして――。


「これから、試験が始まるんだ」


僕は小さく呟き、学園へと足を踏み入れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。