↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
12/15

12話 変化 +レアン視点


 公爵様から金平糖を貰ってしまった。


 断るのは失礼だと思ったけれど、報酬だと言われたら断るしかなかったんだもの。


 しかも、少しだけ態度が変わっている気がする。今だって手を引いてくれていて、歩く速度も遅くしてくれている。

 

 久々に死にかけたけど……公爵様が助けてくれたから生きている。掴まれた腕がまだ痛むけど、折れてはないと思う。


 ……思ったより優しい人なのかな?

 

 私たちは言葉を交わすことなく歩いていた。やがて公爵様が立ち止まって——着いたのはレストランだった。


 慌てたお店の人に案内される。一番眺めのいいテラス席に座って、私は渡されたメニューを見る。


 どれも美味しそうだったけれど、値段を気にしてしまって中々決められないでいた。


「決まったか?」

「う……まだです……」


 公爵様は私の様子を見て、何か察したらしい。 


「値段は気にしなくて良い。それとも、俺は財力が無いように見えるか?」


「いえ、そんなことは!」


 公爵様に煽られた(気がする)私は、仕方なく飲み物だけ頼んだ。


 公爵様は不機嫌そうに見てきたけれど、ニコニコ笑って押し切ったわ。


 しばらくして、頼んだ料理と飲み物が運ばれてくる。果肉がゴロゴロで、甘酸っぱくて目をぎゅっと閉じて味わった。


(公爵様、綺麗な食べ方)


 つい見続けてしまって、慌てて向こうの景色に目を移した。街並みが綺麗に揃っていてとても壮観だった。


 *


 食事を終えた私たちは、店を出て乗ってきた馬車まで歩いた。無言が前よりも苦痛じゃない……気がする。


 御者さんの手を、今度は躊躇わずに取った。そのまま馬車の中へ足を進める。


 公爵様が座ると扉が閉められて、馬が鳴き車輪が動き出す。相変わらずゴトゴト揺れてお尻が痛い。


 無意識に顔をしかめていたのか、公爵様に「顔がシワだらけだ」と言われてしまった。


(恥ずかしい)


 すると、——ガタン、と大きな音を鳴らして馬車が揺れた。私は朝と同じようにバランスを崩して、頭を窓にぶつけてしまった。


「いてっ! ご、ごめんなさい……」


「こちらへ来い」


「えっ? わっ!?」


 公爵様は向かいに座っていた私を自分の方に引き寄せ、すぐ隣に押し込むように座らせた。


「えっ、ええっ??」

(少し狭いわ……)


「なんだ、まだ揺れるか?」

「いえ、揺れてません。けど……」


 何故、公爵様は隣に座らせてくれたのだろうか。なんだか様子がおかしい気がする。


(もしかして、気分を害してしまった??)


 きっとそうだわ、私を捕まえておくために隣に座らせたに違いない。

 

 私は慌てて向かいの席に戻ろうとした。けれど、公爵様がそれを腕で阻止してきた。


「俺の隣は嫌か?」

「いえ、滅相もございません!!」


「……なら座ってろ」

 結局言いくるめられて、隣に座り続けることになってしまった。


 色々あったせいで眠たくなってきた。


 あぁ、私のまぶた。どうにか耐えて——


 くれなかった。そのまま私は夢の中へ旅立ってしまった。


◆◆◆


「……すぅ」


(ん、寝たのか?)


 横に座る彼女が頭を預けてきたのをきっかけに、俺は彼女を観察することにした。小さい彼女はすうすうと寝息を立てて、気持ちよさそうに眠っている。


 しばらく見ていると、だんだん呼吸が荒くなってきた。


「う……嫌……」


 俺は変な夢でも見ているんだろうと思い、無視しようとした。だが——次の寝言がそれを拒否させた。


「痛い、お父様……やめて……」


 ルチェットは涙を一筋流し、眉を寄せ悲痛な表情をしている。


 俺はそれを見て眉を少し上げた。が、咎めることもなくそのままにしていた。

 

(別に、咎める理由がなかっただけだ。彼女が夢を見て変な事を言っているだけだろう)


 しかし、しばらく俺は彼女のつむじから目が離せなかった。


 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。