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第9話 憎まないでいて

「結婚おめでとう」

「末永く、お幸せに」

人間同士が、結婚式を挙げた。

新郎は、江西さん。

新婦は、知らない女の娘。

人間の女の娘。

大学生同士。学生結婚だ。

“青子”は、それを見ていた。

江西さんは、ただの人間。妖怪が見えないのはわかる。

でも、あの女の娘は?

何で、人間は人間が見えるの?

「…少しは、妖怪の私に遠慮してくれないの?」

心が、苦しい。

「…江西さんを好きな妖怪がいると気づいて!」

叫んでも、人間には聞こえない。

心が、苦しい…。

何で、誰もわかってくれないの?

心が、苦しい…。


第9話 憎まないでいて


三角神社。

無人の神社で、女学生三人組が、お賽銭を入れる。

「イケメンほしい…」

「イケメンちょーだい…」

「イケメンくれ…」

それぞれ、イケメンを求める三人。

女学生三人組は、お祈りをする。


一方、普通の人間には見えない透明な遊呼たち。

妖怪・青子の登場に、遊呼は混乱していた。

「遊呼。青子は、空狐のBOSSボスじゃ」

女媧さまは、教えてくれる。

「空狐のBOSS…?」

いきなり、ゲームっぽいワード。

遊呼は青子を見る。

見た目は、空色の長い髪が目立つだけで、普通の女の娘だ。

可愛い女の娘だ。

この娘が、BOSS?

「女媧…」

青子は、女媧さまをにらむ。

「霊力の高い人間を見つけたの…?」

「遊呼は、空狐退治人じゃ」

「最近、手下が減ってたのは…、あなた…?」

ふらりと、青子が遊呼に聞く。

「え?…えーと」

「遊呼は、オレの恋人だぞ。可愛くて強いんだぞ。空狐退治人なんだぞ」

伏犠くんが、ここぞとばかりに褒めてくる。

気が引きたいのか?

「恋人…?人間が?」

青子にも、好きな人間がいた。

江西さん。

突然、三角神社に来ていた人。

一目惚れした男の人。

好きになった人。

人間。


「空狐のBOSSが、人間に一目惚れしたの?この三角神社で?」

ハリセンを降ろす遊呼。

三角神社で、青子は、江西さんに一目惚れした。

いつも、荒らす三角神社で。

妖怪空狐は、元々、三角神社に来る女の娘を襲う、はた迷惑モンスター。

天界のイタズラ妖怪だ。

そのBOSS、青子。

青子は、人間の江西さんに恋をした。

しかし、江西さんには、人間の女の娘の恋人がいて、すぐに結婚した。

「…私の好きな人間。江西ケンジさん…」

「え?ケ、ケンジ?」

驚く遊呼。

遊呼の好きな人、ケンジ。

遊呼の好きな幼なじみは、秋田ケンジだ。

苗字が違う。

しかし、突然、親近感をおぼえてしまう。

「人間が憎い…」

青子は、遊呼をにらむ。思いっきりだ。

「憎んでるの…?」

「憎い…」

するどい目つきの青子は、遊呼を指差す。

「お前たち、人間が憎い…!」

「ええ…?」

その剣幕に、遊呼は後ずさる。

人間は、ずるい。

人間同士、恋ができる。

ずるい。

「遊呼。闘うのじゃ」

「えええー…?」

「今こそ、ソウルハリセンファイナルアタックじゃ」

女媧さまは、長い名称を、すらすらと言う。

「何、それー…?」

遊呼の持つハリセンから、虹色の光りがほとばしる

これは、解き放たれるのを待っている。

「行け、遊呼よ!」

「い、行くの…?」

ハリセンの虹色が、どんどん強くなる。

「青子を救うのじゃ!」

「…救えるの?じゃ、じゃあ…」

同じ名前の、ケンジのことを好きになった女の娘を救う。

それは、遊呼を突き動かす。

救う…!


バシーーーーーッ


遊呼は、虹色のハリセンで、青子を叩く。

そのまま、倒れる青子。

「さすがじゃ、女の娘!ワハハッ」

自称・恋愛の神様の、女媧さまは、大声で笑う。

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