第2話 失恋
「ケ、ケンジ!ミホ!何してるの?」
翌日、休み時間。
学校の屋上で、ケンジと親友の清川ミホが、キスしていた。
「あ…、遊呼。何で、ここに来たじゃん?」
ケンジは、慌てる様子も無く、平然としていた。
お調子者のケンジ。
いつも通りのケンジ。
「ケンジを探してたんだよ?お付き合いが決まったから、二人でおしゃべりしたくて…」
遊呼は、グッと、手に力が入る。
「お付き合い…?」
キスしていたミホは、ケンジを見上げる。
清川ミホ。
金髪のボブヘアの女の娘。
遊呼の親友。
小学校の頃からの友達。
小学校の頃から、アニメやゲームの話で盛り上がる、仲良しな友達。
ケンジは、そのミホの肩を引き寄せる。
「オレ、ミホのこと好きじゃん?」
笑顔だ。
そのまま、ケンジとミホは、見つめ合う。
「ちょ、ちょっと!どういうことなの?私とお付き合いしてくれるんじゃなかったの?」
必死に叫ぶ、遊呼。
昨日のケンジの表情や言葉が、リフレインする。
お付き合いしようって言ってくれた。
あれは、嘘だったの?
「遊呼。…お前、重いじゃん」
「重い…?何が?」
「暗いじゃん。お前」
「…何が?」
ワケがわからない。
混乱する遊呼に、ケンジが言った。
「オレ、ミホと付き合ってるじゃん?」
第2話 失恋
三角神社。
無人の神社。
そこで、遊呼は、古い木のベンチに座り込んでいた。
「もう、恋愛話はできないのかい?」
「うん…」
深く遊呼は、落ち込んでいた。
好きだったケンジに、フラれた。
ていうか、ケンジは他の女の娘とキスしていた。
相手は、親友の清川ミホ。
学校の屋上で、キスするほどの恋仲だなんて知らなかった。
ケンジもミホも、好き同士なんだ。
入り込めない。
入り込むつもりなんて無い。
もう、友達にも戻れないかもしれない。
最悪だ。
「最近の恋愛話は、ハイスピードじゃのう」
「…あなた、誰ですか?」
「女媧さまと呼んでおくれ。ワシは、恋愛の神様じゃ」
女媧さまは、ウインクしてみせる。
昨日会った、チャイナドレスの美女だ。
今は、学校が終わった下校時。
遊呼は、恋愛話をする約束をしていたので、三角神社に立ち寄っていた。
「女媧さま。私の恋愛話は、もう終わり。もう恋愛なんてしたくない」
失恋した。
そう思った、遊呼。
涙がこみ上げる。
頭の中は、ぐちゃぐちゃだ。
「そうか…。大変じゃのう。泣くな、遊呼」
女媧さまは、遊呼の頭をなでる。
女の娘にとって、恋は大事な宝物だ。
それが、滅茶苦茶にされた。
遊呼は、とても傷ついている。
「…悲しいんじゃな。」
「うー…うー…」
「…負けるな。女の娘」
「うー…」
「…そうじゃのう」
何度もうなづいた女媧さまは、提案してくる。
「霊力の高いお主に、頼みごとをしたいのじゃが…」
「うー…。何?もう、何もできないよー…」
両手で顔を隠す。
もう、何も考えたくない。
考えても、何も出てこない。
「…空狐退治人をしてほしいのじゃ」
「うー…。何、それ」
「人間界の女の娘にイタズラする、天界から来たキツネ妖怪じゃ」
「女の娘に…イタズラ…?」
顔を上げる遊呼。
「空狐退治人をしておくれ」
「…?」
遊呼は、泣き顔のまま、ボーッとしている。
「よみがえりたくはないか?遊呼」
女媧さまは、ニヤリと笑う。
「空狐退治人となって、世の女の娘たちを救うのじゃ」




