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第1話 迷い込んだ少女

東京。三角市。

ごく普通の美少女が一人。

極楽堂遊呼。15歳。

ちょっぴり弱気で、引っ込み思案。

アニメが好き。

ゲームが好き。

そして、恋にも憧れを持つ。

ピンクの髪のお団子頭の女の娘。

遊呼は、幼なじみの秋田ケンジに片想いしていた。


「僕たち、付き合おうじゃん?」

「え…?」

ある日の下校の帰り道。

突然のケンジの言葉に、遊呼は驚いた。

心の底で、ドキドキとしていく。

秋田ケンジ。

茶髪のお茶目な少年。

遊呼の好きな人。

「そろそろと思うじゃん?」

「え…、えっと…」

何がだろう。

そろそろ、ケンジと付き合うころ?

ドキドキが止まらない。

ケンジは、小学生からの幼なじみだ。

学校では、お調子者で通っているケンジ。

冗談の可能性もある。

「顔真っ赤じゃん。遊呼〜」

「え…、だって…」

恥ずかしい。

穴があったら、入りたい。

ドキドキする。

こんなに、ドキドキするものなのかな?

遊呼は、自分が本当にケンジを好きなんだということを、再認識する。

「僕たち、付き合うの決定で良いじゃん?」

「う、…うん!」

ケンジの気持ちも、自分と同じなんだ。

うれしい気持ちでいっぱいの遊呼は、大きくうなづいた。

これで、二人は、付き合うことが決定した。

「じゃあ、また明日じゃ〜ん」

「ま、また、明日ね。ケンジ…」

交差点で、手を振る。

遊呼の心は、ケンジのことでいっぱいだった。


第1話 迷い込んだ少女


三角市。三角神社。

「やったよー!」

ここぞとばかりに一人、声を出す遊呼。

無人の神社には、他に人の姿は無い。

「恋愛の神様、ありがとうー!」

三角神社には、恋愛の神様がいる。

遊呼の通う学校でも話題のパワースポットだ。

正直、神様を、あまり当てにしていない遊呼だが、今日は、好きだったケンジと付き合うことが決定した日。

恋愛の神様に、感謝したい気持ちだった。

「…うれしそうじゃな。恋愛成就したのかい?」

「うん!」

思わず答えた遊呼。

その目の前には、大ボリュームな白髪の長い髪の美女が立っていた。

服装は、チャイナドレスだ。

目立つ。

「…それは、良かったのう」

まるで、老婆のような口振りで、美女はうんうんとうなづく。

こんな美女は、見たことが無い。

不思議と、周囲には、怪しげな雰囲気がある。

「だ、誰ですか?」

遊呼は、警戒する。

「ワシか…?」

「…誰ですか?」

「ワシは、恋愛の神様じゃよ」

「えー?」

遊呼は、後ずさる。

「そう、驚くでない。ワシが見えるお主は、高い霊力を持っているようじゃのう…」

チャイナドレスの美女は、名前を『女媧じょか』と名乗る。

「女媧…?」

「古い神じゃよ。女媧さまと呼んでおくれ」

「女媧さま?」

「そうそう、そうじゃ」

女媧さまは、神界に住んでいて、時折、ふらりと人間界に立ち寄るのだという。

「ワシは、人間の恋バナが好きなんじゃ。明日も、お主の恋愛話を聞かせとくれ」

「…えー?」

自称・恋愛の神様。女媧さま。

疑いの眼差しを向ける遊呼。

…しかし、今日は、良いことが起きた日。

ケンジとのお付き合い決定の日。

遊呼は、機嫌が良かった。 

「よくわからないけど。お姉さんに、女媧さまに、明日も恋愛話、聞かせてあげる」

「おお、そうか。では、また明日じゃな」

「うん。また、明日ね」

何か、おかしな人と知り合ってしまった。

でも、悪い人では無さそうだ。

遊呼は、「さよなら」と手を振って、帰路についた。

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