068●夢の中の探しもの
ジン君と歩いている。明るい。草原だ。これは絵になる。キャンバス、要るね。手をつないでる。なんかフワフワしてる。彼が微笑んでいる。わたしもうれしいよ。あれ何かな?
ーようこそ、いらっしゃいました。では、始めましょう。
黒いスーツ、白い手袋、悪魔ね。ああ、夢か。夢ってわかる夢だな。あっ、ジン君が消えていく。悪魔が笑う。嫌な笑い方・・・。
ーさて、あなたの大切な彼は、世界の裏側に移しました。彼は愛しいあなたが、世界の反対側に行ったように感じています。
「それで、何なのよ。」
ーあなたはこの世界から出ることができます。それも、とても簡単に、です。
「じゃあ、問題ないじゃない。すぐに出る。ジン君に会う。」
ーでは、こう願ってください。この世界から出たい、と。ただし、それはあなただけ。彼はおいてけぼりです。
「ああ、じゃあ、やめとく。」どうせ、夢だしね。
ーよろしいのですか?彼の方が先に、自分だけこの世界から逃れたい、と願えば、あなたがおいてけぼり。ずっとこの世界からでられません。
はは〜ん、よくある悪魔の取引よね。でも、それだけなら悪魔的にフェアじゃないな。
「仮にも悪魔なんだから、もっとまともな条件をだしなさいよ。それなら、ずっとふたりとも、この世界にいることになるだけじゃない。」
ーおふたりが互いを見つけ出すことができれば、ともに出ることができます。
ああ、そうそう、そういう試練を見て楽しむっていうのが、悪魔らしいよね。
「じゃあ、探しにいくね。ジン君が自分だけって、願うはずないから。」
ー良い展開ですね。あなたが裏切っても、彼が裏切っても、あなたたちが永遠に近い時間を出会うために費やしても、どれでも私にとっては構いません。気が変わったら、いつでも願いなさい。
やれやれ、理屈っぽいな。こんな夢、大声だして終わらせようかな?
うるさい、目覚まし!ああ、もう朝か。なんか変な夢、みたな。なんだったっけ?
「先輩、どうしました?なんか、ボッーとしてますよ?」
「いや、ごめん、なんかへんよね。夢で何かを探してたんだけど。」
「あっー、それありますよね。僕もそんな夢、みたような気がするなあ。」




