045●大切なこと
プロスペリティには、驚いた。’科学’という魔法は、うまく使えば大きな恵みをもたらすということだ。戦闘に使うのは、建設的ではない。国家基盤の安定に使用するほうが、明らかにいい。豊かになり、その恩恵を国の枠組みを越えて分かち合うことができれば、戦う必要はなくなる。いや、むしろ協力・連携したほうが、もっと恩恵が広がり、たとえ天災があったとしても、リスク分散になる。誰にとってもいいに決まっている。
ロイと戻ってきた。もう、黄昏時だ。街道沿いの道の縁石が、ところどころ、薄っすら光っている。今夜も泊めてもらう。楽しみ!エターニティには灯火が多いな。家々の窓からの光、美しい。街なかには、あちらこちらに柱が立っている。柱は穏やかに周辺を照らしている。海辺のベンチでは、恋人たちだろうか、語り合っている。ちょっと、うらやましい気分。
「疲れただろう?すぐに食事にしよう。」
ロイ、君は何でもできるんだね。当たり前のように、日常生活を家臣や召使に任せてきたけれど、それでよいのだろうか。伯爵領の人々は、様々に暮らしを楽しんでいる。’スクール’は、協力と博愛の尊さも学ぶ場なのだろうな。貧しさの原因は、身分や個人の才能、個々人の自己責任としての努力の度合い、には起因しないのではないか。富を独占する貴族が、もっと世界全体のことを考えるべきではないだろうか。
「ほら、冷めないうちにどうぞ。」
ああ、そうだね。ああ、美味しい。ワインもいいな。今日もよい時間が流れる。大切なことだね、学ぶというのは。ケイト、アリス、もう一晩、よろしくお願い!




