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003●’王’が来る
「王が来るだと!」陛下が声をあげられた。エンジェラム国王ウイリアム・ナイト・エンジェラムからの使者が親書をもって参内していると、ご報告をしたところだ。
「使者はどこにおる?!」
控えの間に待機しております、と私は答えた。
「うーむ、はやりラベンダー伯に出陣を依頼したのは、よろしくなかったか・・。使者をこれへ。親書を受け取ろう。」
ご指示に従い使者を呼ぼう。さて・・・。
しかし、うまくいきそうだ。
戦闘に携わる場合は、かの国では王の許可がいると聞く。今回は急なことではあったが、伯は客分、陛下の臣下ではない。もともと出陣する必要など、なかったのだから。
あの少人数で敵を撃退するとは思わなかった。それでも、戦いで負傷したり、万一命をなくすようなことがあってもよし、本国の叱責を受けて帰国することになるなら、それもよし、どちらの場合でも、目障りな伯を排除できるという企ては、思いどおりのようだ。
さあ、使者を通すとするか。
ウィリアム王がやってきた。霧の海域を越えてくるだけのことはある、大きな船体だ。6隻とも白を基調にした優雅な船だ。ひときわ贅を凝らし、それでいて華美ではない作りになっているのが、王のご座船だろう。陛下のもとにご案内しなければ。




