表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/99

028●あれは手品

こわい。ジン君、落ち着いてるけど、相手は5人。なんでこうなるの?なんか、見るからに不良っぽい。「ケンカ吹っかけられたらどうする?」と聞いたら、逃げるって言ってたっけ。でも、わたし、キミみたいに速く走れないよ。

あれっ?財布だすの?お金で解決ってあり?えっ〜、10円?それで大丈夫なの?10円玉もって・・・うわっ、真っぷたつに!引き裂いたあ!メリメリって音、わたしには聞こえた。

「ちょっと熱いよ」って渡すの?相手もなんだか呆然としながら手をだす・・・。アチッって、そりゃあ、熱いよ、銅を千切ったんだから。

「先輩、カバン、預かります。」ええっと、どうぞ、どうぞ、預けます、預けます。

「失礼します。」はい、はい、失礼されます・・・。わぉ、片手でわたしを担ぎあげた!おへそあたりから、彼の肩より上にいる!太もも、スカートの上からかかえてるの?!!ギュッと抱かれてる?!ふにゃあ、そのまま走りだすの?!勢いで頭も胸も彼の背中に密着する!えっ〜!顔をあげると、5人の高校生たちの後ろ姿が見える。

「先輩、すいません、体、そらさないで。」

よくわからないよぉ!速いよぉ!!


涙がとまらない。駅のホームのベンチ、彼が買ってきてくれたココアを飲む。

「ごめん、乱暴でした。甘いもので少しでも気を沈めてね。」

いやいや、そんなことない。乱暴じゃない。思考力がまだ、元にもどらない。わたし、なんで泣いているの、わからない。

「・・・キミ、すごいね。10円玉、引き裂いちゃうんだ。」

「ああ、あれは手品です。」

「手品?」

「万一のときのため、小道具を財布にいつも入れてるんです。逃げる時間をかせげるかもしれないから。」

「でも、熱いって、むこうも言ってた・・・。」

「熱いよ、っていって渡すと熱く感じるものなんですね。」

えっ~!本当に手品なんだ?!迫力あったなあ。

「なんで相手の方に走ったの?」

「人って自分の前のほうへ逃げるものは、追いかけますからね。相手の背後へ敵中突破!関ヶ原の島津みたいでしょう?」

可笑しい。笑いがこみ上げる。泣きながら笑ってる。へんだな、わたし、すごくへん。うふふ。困った顔してるジン君、キミも、とってもへんだよ。でも、そんなとこ、好きだな。


「あのあたりに行くの、もう、やめような。」

「あいつ、怯えるどころか、わらってたよな。」

「けど、目はマジだったぞ。なんか、体がすくんで動けなかった。」

「10円玉、熱くて、俺、手のひらヤケドした。跡残ってる。今でも痛い。」

「あんなことできるやつ、いるんだあ。怖ええ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ