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025●逃げる

世界史の授業が終わった。やだな、人類って揉め事ばっかり。戦争も現代に近づくにつれて多くなってない?どうしてこんなふうになるんだろう?あれっ?後ろのほうが騒がしいな?なにかあったの?


あいつ、許さん!なんで急に殴ってくる?!教室の後扉の前に立ってただけだぞ!「邪魔だ」と言われて、はっ?て思ったら、いきなりパンチだ。離せよ、追いかける!


おい、やめろ!落ち着け!鼻血が出てる、手当てしなけりゃ。あいつ、ダブってるし、何かと乱暴だからな。やめとけ、おまえ、空手の黒帯だろ?!シトウを殴ったら、問題になるんだろう?!まて、まて、熱くなるな!


「先輩、どうしました?なんか元気ないですよ。」

「う~ん、なんかね、どうして争いごとがおこるのかな、って思っちゃって。」

「それは重いテーマですね。」

「休み時間に男子のケンカがあったの。なんで暴力になるのかなあ。漫画でも、主人公が結局、力で決着つけるって多くない?」

「少年誌はそのパターンですね。」

「話し合ったりして穏やかにできないのかな・・・。男子って、そんなふうに問題解決しがちなのかな?だから、強くなりたいのかな?」

「そういう人はいるかもしれませんね。」

そうかあ。女子でも強くなりたい、っていう人もいるだろうけど。

「キミはどうなの?」

少し笑って、彼が答える。

「今は、ちょっと違いますけど。ちいさいときは、確かにヒーローに憧れましたね。中学の時、カンフー映画が流行って、友だちの一人はヌンチャクを作って振り回していました。格闘技好きな男子も結構いたように思いますね。」

ふ〜ん。女子にそのブームはなかったなあ。でも、男子はそういうのが好きなんだろうね。そういえば、こないだ、ボクシングの元ヘビー級チャンピオンとプロレスラーの試合があった時、テレビ中継を見るために学校、休んだ男子がクラスにいたなあ。

「・・・ジン君は、もし、よ。もしも、だれかにケンカを吹っかけられたら、どうする?」

「逃げます。それが一番いいと思います。」

なるほどね。

「まあ、その前に相手を説得できればいいんですけど。自分の思い通りならないからとか、変なプライドにこだわってとか、だれかのものを欲しがってとか。そんなことで力に訴える人々に巻き込まれる、っていうのは嫌ですね。」

「ニュース見てると、そんな事件、あるよね。」

「そうですね・・・。気をつけたいですね。」

う〜ん、大人だなあ。


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