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023●元気でね

なつかしい。記憶のとおりだ。最後に泊まったのは中学に入る前だったかな。おじさん、いるかな?インターフォンを押す。

「あれっ?えっ?なっちゃん?!えっ?」

カメラで見てるんだね、おじさんの声だ。ああ、涙が出そうだ。玄関が開く。不思議そうな表情。そうだろうな。

「えっ?なっちゃんだよね。えっー、随分大きくなって。なんだかわからないけど、いやあ、うれしいね!」

門扉をあけて招き入れてくれる。ああ、おじさんだ。小さいころ、よく遊んでもらった。わたしを抱き上げて飛行機みたいに飛ばしてくれるのが、とても楽しかった。


リビングでジュースを飲む。こんなだったよね。萌香おばさんはお買い物でお留守ね。車がなかったもの。

「いやあ、小さいなっちゃん、じゃないんだね。でも、なっちゃんだよね。なんか言ってることが変だな。ともかくよく来てくれたね。会いたいと思っていたんだ。」

「おじさん、あまり驚かないね。」

「いや、見てのとおり驚いているよ。だってなっちゃん、今、中学生のはずでしょ。」

「ああ、いや、実はもう就職したんだ。」

「へー。じゃあ、みんなも大きくなってるんだね。さやちゃんも元気にしてるの?」

「うん、大学生。パン屋さんでアルバイトもしてる。」

「うわあ、それはすごい!僕が知っているのは小学生のさやちゃんだから。で、お仕事どうなの?」

「幼稚園の先生になったの。」

「がんばったね。たいへんなお仕事だけど。どうして先生になったの?」

「先生って、社会の矛盾と戦う仕事だからね。」

おじさんが笑う。

「それはこないだの春休みに、僕が言ったセリフだね。おぼえていてくれてたんだ。」

いろいろ喋る。楽しい時間が過ぎる。けれど、帰らなくちゃ。でも、もう少し。

「おじさん、元気でね。わたし、もう帰らなくちゃ・・・。」

「うん、ありがとう。未来のみなさんによろしくね。」

まわりの景色が霞んでいく。もどるんだ、わたし。こらえていた涙があふれる。両手で顔を覆う。だめだ、止まんない。おじさん、本当に身体、大切にしてよ・・・お願いだから・・・。わたしが来たことで、未来が変わりますように。


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