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僕の半年間  作者: まい
7/12

視線

その日の帰り、僕は、友人の佐藤と一緒に歩いていた。

佐藤は大学に入ってから仲良くなった友人で、佐藤の彼女がアルバイトの日は、僕と一緒に帰っている。

「あれ、今日は美乃里ちゃんアルバイトの日?」

確か、ファミレスで働いていた佐藤の彼女を思い出す。

飲食店なのに大丈夫なのかと心配するような髪色の美乃里ちゃん。

ふと横を見ると、隣を歩いている佐藤も同じような髪色をしている。

「なんかファミレス辞めてカフェのバイト行きだしたからこれから曜日が変わるんだってさ。」

カフェ、の単語にドキリとした。

「もしかして、最近できたカフェ?」

恐る恐る僕が尋ねると、佐藤はニカっと笑った。

「そーそー。あのおしゃれなカフェ!大学の近くにある店。」

やはり、昨日僕が瑠奈ちゃんといたカフェらしい。

い、いけるよな、昨日美乃里ちゃんらしき店員なんていなかったよな…。

必死に思い出そうとするが、なんせ昨日は緊張や色々な感情でそれどころではなかったので、せいぜいレジを打ってくれた店員ぐらいしか覚えていない。


「へ、へー。いつから?」

「今日かららしい。なんかおしゃれだし大学から近いからバイトしたがってる子いっぱい居たらしいんだけど、なんせ可愛いから楽勝で入れたっぽいよー。」

今日からか。ホッとした僕に、佐藤は美乃里ちゃんがいかに可愛いかなどの自慢を始めた。

その時、「たつ君。」と、可愛らしい声が聞こえた。

振り返って見ると、桃花ちゃんだ。

いつもは明るい桃花ちゃんが、少し暗い顔をしている。

何か嫌な予感がした。


「あっれー。桃花じゃん。俺になんか用?」

僕より先に、佐藤が反応した。

しかし、桃花ちゃんは佐藤をキッと睨むと、すぐに僕に視線を移した。

佐藤は女の子に対して積極的なので、桃花ちゃんのような女子からは軽いと言われて嫌われている。

桃花ちゃんの睨みを受けてもまだ話し掛けたりし触ろうとしたりする佐藤は、確かに軽い。


「どうしたの桃花ちゃん。」

僕が尋ねると、桃花ちゃんは今にも泣き出しそうな顔をした。

「三咲がね、やっぱり様子がおかしいの。」

やはり三咲の話か…。

ずんと沈む気持ちを隠せない。

「あたしね、三咲はやっぱりたつ君のこと好きだと思うの。なのに別れようだなんて言ったのには、絶対理由があるよ!」

いつかと同じように、腕をブンブンと上下に振りながら喋る桃花ちゃんは、僕のもうやめてくれという気持ちに気づいていない。


「いや、でもふられたし…。」

「だーかーらー!それは何か理由があるんだって!だってずっと何か悩んでるみたいだし食欲もやっぱりないし…。それに、三咲がちゃんとした別れる理由言わないなんておかしいよ!」


桃花ちゃんの力説に、隣の佐藤もウンウンと頷いた。

「女の子の嫌いは好きみたいなもんだからさー。桃花ちゃんがほんとは俺のこと好きみたいに?」

「いやあたしあんたのこと大嫌いだから。」


桃花ちゃんにピシャリと言われてもなおケラケラと笑う佐藤を見て、桃花ちゃんが明らかな嫌悪感を示した。

「と、とにかく!あたしが言いたいのはね、もっとちゃんと話し合って!泣いても抱き締めてでもいいから引き留めてってこと!今からでも遅くないから!」

そう早口でまきしたてると、さっさっと歩いてどこかへ行ってしまった。



「あーなんかめんどくさいことになったね。」

さっきまでのケラケラはどこへやら、佐藤がほんとうに面倒くさいという顔で見つめてくる。

「ま、まあそうだな…。」

「こんな時はパチンコ行って酒飲んで女の子と遊ぼ!」

パチンコの看板を指差しながら言う佐藤。

佐藤はパチンコとお酒と女の子が大好きで、実は僕がパチンコとお酒が好きなのも佐藤の影響だ。

また、一度浮気した時に、無理矢理女の子を紹介してきたのも佐藤。

もちろん、紹介されて甘い言葉を囁かれて浮気してしまったのは自分のせいだけど。


「あーうん、そうだね行く?」

佐藤とパチンコ店に入ろうとして、ガラスの壁に写っている女の子に気がついた。

遠くだから分かりにくいけど、こちらを見つめているように見える。

あれは……るなちゃん?

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