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僕の半年間  作者: まい
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出会い

健助に連れられて来たのは、僕なら絶対入らないような、おしゃれなカフェだった。 

確か、最近大学の近くにオープンしたカフェがとても美味しくて雰囲気もいいと、話題になっていた気がする。


「紺色の服着てるらしいから。頑張れよ!」

そんな健助の言葉に急いで後ろを見ると、もう健助はカフェから出るところだった。

え、え、おいおい待ってくれよ。

僕もカフェから出ようか?このまま一人で行ったほうがいいのか?

悩みながら店内を見回すと、奥の席からじっと僕を見ている女の子がいることに気づいた。


僕と目が合ったその子はパッと笑顔になり、こっちこっちと手招きをしてくる。

…あの子か。多分あの子だよな。


とてつもなく恥ずかしいので、おしゃれな店内を見回すふりをしながらゆっくりと歩いていく。

手招きをしてくれた女の子の席に着いてから視線を向けた僕は、大変なことにやっと気づいた。

紺色の服…って…。

制服じゃねえかよ!!




「えーと、健助の知り合いの子だよね?」

とりあえず問い掛けると、はいっと明るい声で返された。

とても可愛らしい女の子だ。


「えーと…高校生?」

もうひとつ大事なことを質問すると、先ほどよりももっと笑顔になった。

「はい!高校3年生です!」

…可愛い。確かに可愛い。

笑うとどこかのアイドルのようだ。

確かに可愛いけど…高校生はやめてくれ、健助。


とりあえず席に座って、まずメニュー表を見始めた僕に、女の子はずっとニコニコしながら質問をしてくる。


「こういうカフェはよく来るんですか?」

「今日はどんな授業をしたんですか?」

「大学は楽しいですか?」


ほぼうん、や違う、で返事をするのに、返事を返す度にそうなんですか!と輝く笑顔を向けられると、戸惑ってしまう。

よくない印象を持ってもらおうと、メニュー表ばかり見て返事もそっけないものなのに、こんな笑顔で話をされると、罪悪感が沸いてきた。


「お名前は?」

僕からの初めての質問に、女の子は目を輝かせて言った。


「鈴木瑠奈です!」

僕は一瞬止まってしまった。 

鈴木だなんてよくある名字だ。

特別珍しいとかそんなことは全然ない。

でも、僕にとっては特別な名字だった。

鈴木三咲。

三咲の名字は、鈴木だった。


健助は、面白半分でこの子を僕に紹介したんだ。

確かに、可愛いしいい子そうだしスタイルも良くて胸も大きい。

それに、僕に好意を持ってくれている感じがする。

でも、それだけであんなににやにやしていたのではない。

高校生ということと、名字を聞いて、健助はあんなににやにやしていたのだ。

高校生とカフェで二人でいるところを誰かに見られたりしたら、質問攻めに合うだろう。

ましてや、僕の友人はそういうのを茶化すやつらが多い。

…制服を着ていて、しかも名字が元カノと同じだなんて、茶化すのが大好きな友人達はあれやこれやと言うだろう。

やっぱり、少し話したらすぐに帰るのが良さそうだ。


瑠奈ちゃんの質問に答えつつメニュー表を見ながら、僕は早く帰ることばかり考えていた。 

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