第3話 悪質なストーカーはお断り
どうも、金林檎です。
この作品にも遂にブックマークをつけてくれる心優しい読者様が現れてくれました。
金林檎は感激で胸がいっぱいです、ブックマークをつけてくれるくださった読者様には宝くじが当選する事を心の底からお祈り致します。
この作品は一週間事にのんびりと連載していく予定なので、気長にお付き合いしてくれたらなと思います。
それでは第3話をお楽しみください。
最初に救出した《岩蜥蜴/ロックリザード》使いのお姉さんを皮切りに一階層に取り残された残り2人の《召喚士》達も無事救助する事が出来た。
────出来たのだが。
「お嬢さん、ありがとう!この恩は一生忘れないぜ!!」
「今度家の実家の中華屋においでよ!麻婆焼きそば奢ってやるさね!魔蜘蛛使いの嬢ちゃん!!」
「だから、俺は男だって言ってるでしょがぁぁ!!」
「「いや〜、またまた冗談ばっかり〜」」
「なんで信じてくれないんだよ!!?」
助けたFランク《召喚士》一同は、何故か俺の性別を間違える失礼な奴らばりだったのである。
初見で見間違ったのは、もうこの際割り切ろうと思う。
このちんちくりんボディがイケないのだ。
しかし、その後説明をして訂正を求めているのに、何故か冗談と思われて、まともに信じて貰えない。
一体何故なんだ、解せぬ。全くもって遺憾である。
「─────トキワ、ドンマイ」
俺の肩にポンっと手を置き、ナクアが耳元で囁いた。
ちくしょう、慰めなんて要らないよ!クスン。
「だぁ!もう!ナクア、二階層に降りるぞ!!」
「─────ほい、さっさー」
都合の悪い事を誤魔化す様に、時和は一階層を抜け二階層へと進軍する。
四方十キロに及ぶ広大な洞窟の一階層とは違い、二階層はその四半分の広さしか無いが一階層と比べ約三倍ほどのモンスターが《自然湧/ポップ》するのが特徴だ。
本来ならFランク指定モンスターが出てくるだけなので脅威にならない。
しかし、変換期を迎えた現在の【魔猪の洞窟】は、地獄へとその姿を変えていた。
「…………おいおい、Dランク指定《地下迷宮/ダンジョン》になったって話じゃ無かったか?なんでCランクモンスターの《猪頭鬼/ボアオーク》がポップしてるんだよ」
元来《地下迷宮/ダンジョン》内に《自然湧/ポップ》するモンスターは、その《地下迷宮/ダンジョン》が指定されたランクと同ランクのモンスターが出現する。
各階層事に一体だけ存在する固定出現のフロアボスでその一つ上のランクだ。
つまり、推定Dランクの筈の《地下迷宮/ダンジョン》である現在の【魔猪の洞窟】内で《自然湧/ポップ》するのはDランク指定モンスターの筈である。
一体だけならフロアボスを早期に見つけただけなのだが、複数体がうろつく姿を見てしまうと《召喚士ギルド》の見立てが間違っていたと言わざるを得ない。
「これは不味ぞ、Cランク以上となるとプロ案件だ。…………でもなぁ、撤退する訳にも行ないよなぁ。プロ召喚士がすぐに来てくれる保証も無いし。はぁ、しゃあない。ナクア、この階層に救助対象者は居るか?」
「─────ほいほい、調べるね。《探知/サーチ》」
Cランクモンスターがうろつく地獄みたいな環境でFランク《召の喚士》が無事である可能性は限りなくゼロに近い。この《地下迷宮/ダンジョン》が変換期を迎えてから、もう一時間は経過してしまった。
「クソ、間に合ってくれよ」
「──────見つけた。あっちとそっちに一人づつ、生きてるけど。どっちも、ちょっと弱ってるね」
「………マジかよ奇跡だな。これで死なれちゃ目覚めが悪い!助けに行くぞナクア!!」
「──────あいあい」
生存者は半分諦めていたのだが、マジで凄いな仙台支部。
Fランク《召喚士》でもこの魔境を生き残れるとか、マジパネェ。
「見つけた!おい怪我は無いか!?助けに来たぞ!!」
「ッ!!?救援か!!助かる!ありがとう!お嬢ちゃん!!」
「俺は男だぁ!このクソボケがぁぁ!!」
「え!?そうなのゴメン!!?」
救援対象者一名確保。《地下迷宮/ダンジョン》の出口までご案内〜。
え?なんか手荒じゃないかって?やだなぁ気の所為ですよ、気の所為。
「ゼェゼェ、す、凄い。もう《地下迷宮/ダンジョン》の出口に着いたのか?やっぱりBランクモンスターは凄まじいな。有り難う【魔蜘蛛の召喚士】」
「はい、どういたしまして。怪我は有りませんね?外に《召喚士ギルド》の役員が居ると思うので保護されて下さい。俺は残り2名の救助の為戻りますので」
「ああ、救助された私が言うのも何だが気を付けて。武運を祈るよ」
俺に例を言った救助対象者が《地下迷宮門/ダンジョンゲート》を潜り抜けるのを確認すると、残りの2名を助ける為にナクアと共に再び二階層へと移動した。
「この階層に居るのはあと一人だったな、ナクアどの辺だ?」
「─────あっち、かな?でも、なんか変な気配が近くに居るね、急いだ方がいいかも?」
「ッ!?マジかよ、なんか嫌な予感がビシビシしてくるんだが。ええい、儘よ!ここで俺がビビってちゃあ助かる命も助からない!行くぞナクア!!」
「─────オーケー、トキワ」
俺はナクアに抱えられながら、先程助けた《召喚士》の兄ちゃんとは真逆の方向に居るらしい救助対象者の元へと向う。
そして、其処には奴がいた。
「おや?おやおやおやおや?これはこれは、お待ちしておりました、よ【魔蜘蛛の召喚士】」
目深に被ったシルクハットを片手で押さえ、もう片方の手を自身の腹部に軽く添え深々とお辞儀をするタクシード姿の《悪魔/デーモン》。
俺はコイツを知っている、この《悪魔/デーモン》を知っている。
「…………【悪夢の残滓】」
かつて、この仙台にて発生した歴史的大災害【東北の悪夢】。
時のSランク《召喚士》、金剛晶が踏破した歴史上三つ目のSランク指定《地下迷宮/ダンジョン》【深淵の底】に君臨した爵位級の《悪魔/デーモン》達。
今、時和の目の前に居るのは紛れもないその一体。
「…………《男爵/バロン》ッ!!」
「お会いしたかったです、よ【魔蜘蛛の召喚士】!!もう焦れったいのでワタクシ!フライングしてしまいました、よ!!」
3年前の因縁が、今此処に牙を剥く。
「──────おい、キモ悪魔さん。悪質なストーカーはお断り、だ。失せろ」
一歩、時和の前に出たナクアが右手で視線を塞ぐ様に《悪魔/デーモン》との間に割り込ませ。キッっと《男爵/バロン》を睨みつける。
そんなナクアの行動が琴線に触れたのか、《男爵/バロン》は嬉しそうに言葉を紡いだ。
「これはこれは、ナクア殿!貴女も相も変わらず手厳しい!3年前の蜜月の時間が昨日の様に思い出します、よ。さぁ!【魔蜘蛛の召喚士】!ワタクシと遊びましょう!やはり《大公/グロースヘルツォーク》に貴方を譲るのは非常に惜しいです、よ!《悪魔/デーモン》らしく欲望のままに行きましょう!!ワタクシ、溢れ出る欲望が留められません、よ!!」
最早戦闘は避けられない、そう悟った時和は静かにに俯く。
そんな主の耳元で麗しくも悍ましい召喚獣は呟いた。
「──────トキワ、あれ、殺す?」
「……………ああ、やってくれナクア」
「──────わかった」
覚悟を決める。身の丈に合わないモンスターと契約を交わしてからこの時に至るまで、届き得る筈の無かった命の危機。
強力無比な《女王魔蜘蛛/アラクネ》がすぐ傍らに居るのにも関わらず、それでも自らの命に手が掛かる。
《地下迷宮/ダンジョン》内にて爵位級《悪魔/デーモン》と遭遇するのは、《召喚士》にとって死を意味した。
《召喚士ギルド》立ち上げから続く、ギルドマスター【不老の召喚士】が定めたモンスターの強さを示すSからFの七つの階級は絶対。
階級が一つ違うとは文字通り桁違いの力の差が有る。
どれだけ相性が良く数的有利に立ち、尚且つその場が絶対的に有利な環境で、更に奇跡的な偶然が重なっても、打倒出来るのは精々が一つ上のランクだ。
時和の召喚獣ナクアの種族は《女王魔蜘蛛/アラクネ》Bランク指定のモンスターだ。その強さは折り紙付きで、彼女単騎でCランク指定《地下迷宮/ダンジョン》を踏破する事が可能である。
階級こそDランクでは有るが、《女王魔蜘蛛/アラクネ》のナクア有する時和の戦闘能力はBランク《召喚士》に匹敵した。
「…………ふぅ、命を預ける。ナクア、行くぞ」
「────うん、絶対に我が守る。トキワ、一瞬に行こう」
その強力無比な力を持つ時和達が、命を懸ける覚悟を決めた。
「いいです、よ!!その瞳が!その不屈が!!ワタクシを熱くさせるのです、よ!!」
相対するは爵位級《悪魔/デーモン》。
《男爵/バロン》《子爵/ヴィコント》《伯爵/グラーフ》《侯爵/フュルスト》《公爵/ヘルツォーク》《大公/グロースヘルツォーク》、六つの爵位階級の格差など関係無く、爵位級《悪魔/デーモン》の強さは例外なく。
─────Aランク指定モンスターである。
「さぁ、【魔蜘蛛の召喚士】。命を賭して!!ワタクシと楽しく遊びましょう、よ!!」
時和とナクアの絶望的戦力差の戦いが幕を上げた。
チート能力にかまけた主人公が更なる強大な暴力にねじ伏せられる展開って良いですよね?金林檎は大好きです。
ナクアちゃんは強いけど、決して最強では有りません。
今回終盤に登場したストーカー悪魔さんの方が圧倒的に強いです。
時和くん達はこの窮地をどう切り抜けるのでしょうか?
また読んでも良いかな?と思ってくださった心優しい読者様は、次回もどうぞよろしくお願いします。それでは。




