第2話 俺は男だぁ!!
どうも、金林檎です。
第1話を読んで頂き、尚且つこの第2話までも読んでくれようとして下さる仏の様な読者様に万雷の喝采と共に感謝を伝えたいと思います。
それでは第2話をお楽しみください。
ナクアの転移門を潜り抜けると、目の前の景色に時和は言葉を詰まらせる。【魔猪の洞窟】一階層、そこには視界を埋め尽くす《巨体魔猪/ビックボア》の群れの姿が有った。
「………おいおい、想像以上にやべぇな。まるでDランクモンスターのバーゲンセールだ」
「────猪さんのビュッフェ、じゅるり」
「なんだろう、今はその余裕が頼もしいよナクア」
地獄の様なモンスターパレードを目の前にして、通常運転のナクアを見て時和は多少心を落ち着かせる。
「────猪さんの踊り食い、ワクワク」
「人命救助最優先って言っただろ、このお馬鹿」
食欲一直線の召喚獣の頭の上にチョップを落とす。
確かに頼もしいくは有るが、それとこれとは話が別である。
「────ビュッフェ、おあずけ?我、しょんぼり」
項垂れるナクアを横目に、時和は片手で頭をポリポリと掻きながら言葉を繋ぐ。
「救助対象を全員助けたら、コイツら全部食って良し」
「────トキワ、アイラブユー」
上半身をクネクネ動かして下半身の蜘蛛が器用に投げキッスを贈って来る。
なんとも現金な奴だ。
そんなナクアに苦笑しながらも時和は自身の召喚獣に指示を飛ばした。
「行くぞナクア、先ずはこの階層からだ。この階層にいる救助対象者は3名、探索出来るな?」
「────もち、余裕ー。《探知/サーチ》」
ナクアが軽く手をかざすと、透明の蜘蛛の糸が一階層全体に広がりあっという間に空間全てに浸透する。
「─────ん、トキワ見つけたよ」
「良し!でかしたナクア!」
「─────えへへ、また褒められちった」
時和達が【魔猪の洞窟】に到着してから時間にして5分、《召喚士ギルド》が《地下迷宮/ダンジョン》の変換期を確認してから約20分の段階で生存者発見。
ぶっちゃけ到着した時は《巨体魔猪/ビックボア》の群れを見て生存者の事は半分諦めていたが、どうやら最近の《召喚士》は随分とタフで有るようだ。
時和がそんな考えに耽っていると、ナクアは下半身の前脚を器用に動かしてそれぞれの方向へと指し示した。
「─────あっちとあっち、それからあの岩の切れ目に居るね。大きな猪さんが入れないぐらいの、狭い所に隠れているみたい。やるね人間さん」
「流石に仙台支部をホームにしてるだけあって、緊急事態への対象が的確だな」
「─────トキワが同じ状況だったら、すぐ死んじゃうのにね」
「そういう傷付く事言わないでくれます!!?」
「─────だって、トキワ才能無いし」
「そういうとこだよホント!!」
最初の緊張は何処へやら、わちゃわちゃナクアとじゃれ合いながらも、時和は救助対象者の居る場所へと向う。
「見つけた!おーい!大丈夫ですか!?」
岩の陰に隠れている救助対象者を肉眼で捉えた時和は急いで救助対象者の元へ駆け寄る。
ビクッと肩を揺らし、恐る恐る此方の方へと顔を向けた救助対象者の女性は、時和を顔を見ると安心したようにホット息を吐き、続けて時和の傍らに立つナクアを見て再度ビクッと肩を揺らした。
「ア、アラクネ!?」
「落ち着いて!大丈夫、コイツは俺の召喚獣なんで!」
「…………へ?仙台支部をホームにしている《女王魔蜘蛛/アラクネ》と契約を交わている《召喚士》って、まさか貴女があの【魔蜘蛛の召喚士】!?嘘!?都市伝説じゃなかったの!?」
「え!?俺って都市伝説になってるの!?」
今明かされる衝撃の真実。
悲報、俺氏都市伝説になっていた模様。
「─────トキワ、猪さんいっぱい来るよ?」
ナクアの一言で素に戻る。
そうだった、今は人命救助最優先、俺が都市伝説になっている事なんてどうでもいい事なのだ。
いや、やっぱ気になるな。
帰ったら少し調べてみようと、俺は心の中で誓った。
「お姉さん、悪いけど《岩蜥蜴/ロックリザード》を仕舞ってもらえるかな?」
「え?あ、はい。ありがとう《岩蜥蜴/ロックリザード》ゆっくり休んでいて《帰還/リターン》」
「召喚獣が《消失/ロスト》しなくて良かった。防御力の高い《岩蜥蜴/ロックリザード》でも《巨大魔猪/ビックボア》が複数で来たら流石に耐えられませんからね。岩陰に擬態させたのは良い判断でした」
「えっと、あの。私は後、どうしたらいいですか?」
「おっと失礼、少しだけ我慢して下さい。《地下迷宮/ダンジョン》の出口まで運びます」
「は?運ぶ、ってえええええええ!!!?」
「口は閉じてください!舌かみますよ!!」
「─────ナクア超特急、行っきまーす」
俺と救助対象者の女性を小脇に抱え、ナクアは《地下迷宮/ダンジョン》の壁を垂直に高速移動した。
時速にして90キロは出てるのでは無いだろうか?俺も初めて経験した時は度肝を抜いたものである。
丁寧に説明する時間が無かったので、隣脇に抱えられた目を回しているお姉さんには悪いが、ちょっとの合間だけ我慢してもらおう、合唱。
それから約5分程で【魔猪の洞窟】の出口に辿り着いた。相変わらずものすごいスピードである。
「お姉さん大丈夫ですか?」
「え?あ、はい。だ、大丈夫です」
「《地下迷宮門/ダンジョン・ゲート》を通れば外に《召喚士ギルド》の職員が居るので保護して貰って下さい。それじゃ、俺は他の救助対象者を助けに向かいますので。それでは」
フッ、決まった。これはちょっと我ながらカッコいいのでは?このお姉さん美人さんだし、これはワンチャン有るのでは?俺も高校生男子な訳で、思春期真っ只中な訳で、この推定大学生な年上お姉さんとのランデブーを期待しても罰は当たるまい。
まぁ、実際は無理だろうけどね、俺ちんちくりんだし。
「あの!ありがとうございました!」
明らかに年下の小僧にちゃんとお礼が言えるなんて、ホント良い人。
頼めばマイン交換してくれるかな?いやいや、雑念は捨てろ。
まだまだ助けなきゃイケない人達がいるんだから、人命救助最優先。うん。
「まだ小さな女の子なのに凄かったです!!」
───────は?
「何処の小学校に通ってるのかな?今度改めてお礼を
」
「女の子ちゃうわい!!誰が小学生だ!?確かにちんちくりんだけどさぁ!俺は高校生で男だぁぁぁ!!」
「え、ええええええ!!!!??」
なんで、いつもいつも初対面の人間は俺を女の子だと思うんだよ!?ちょっと身長は低いけど、どっからどう見てもナイスガイだろ!?納得いかん!!
「──────大丈夫。トキワは、立派な男の娘。我は解ってる」
「うぉぉぉん!ナクア!解ってくれるのはお前だけだよ!そうさ!俺は立派な男の子なんだ!!」
「嘘…え?…男の子?高校…生?」
説明しよう!!何故この女性が困惑しているかと言うと、3年前ナクアと契約した春薪時和は《召喚士》としての才能無き身で有りながら、Bランク指定モンスターの《女王魔蜘蛛/アラクネ》であるナクアと無茶な契約を交わした為、身体の成長は止まり、その容姿はナクアに寄って女性らしくなってしまったのだ。
ベースとなったナクアが絶世の美人である事から、時和の容姿は完全な美少女なのである。
初見の人が混乱するのも無理は無いのだ。
「…………ちくしょう、百歩譲って、成長して無いから小学生と間違われる事はしょうが無いとして、なんで女子と間違われるだよ」
因みに、ナクアと契約する前は普通の外見だった為、時和は年々長い時間を掛けて徐々に変化した自身の容姿には全く気づかずに、まぁ多少ちんちくりんだけど普通に男だよね?と認識しているので女の子と間違われると普通にショックなのである。
一瞬ナイーブになったものの、現状を思い出し時和は自らの頬を叩いて気を取り直す。
「良し!!切り替えた!!それじゃお姉さん、外の《召喚士ギルド》職員に宜しく!まだまだ人来ますからねって!あと!俺は男ですから!!間違え無いで下さいね!!」
「あ、はい」
「おし!行くよ、ナクア!」
「────オーケー」
再び《女王魔蜘蛛/アラクネ》の脇に抱えられ、猛スピードで立ち去る時和を見送った女性は思わずポツリと呟いた。
「───男の娘……いい」
彼女の中で何かが目覚めた瞬間だった。
男の娘が主人公ってどうですか?金林檎は大好物です。
文章だけで容姿を表現するのは中々難しいですね。時和くんの外見はセーラー服の似合う黒髪セミロングの大和撫子系正統派美少女をイメージして下さい。ナクアをロリ化、いやショタ化かな?させた感じです。
まぁ、雑談はこの辺で。次回も読んでやろうかな?と思ってくださった心優しい読者様、次回も宜しくお願い致します。それでは。




