表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/40

35話 牢の中

◇ 牢の中 ◇


夜、藤堂が誠に話しかけてきた。


焚き火が落ちた後、多くの人間が寝ていた。藤堂は眠れないようだった。誠も眠れなかった。二人で火の残り火のそばにいた。


「牢について聞いてもいいか」と誠が言った。


藤堂が少し間を置いた。「聞いていい」と言った。


「どのくらいいた」


「三ヶ月半」


「何を考えていた」


「最初は脱け出すことだけ考えていた」と藤堂が言った。「脱出の計画を立てることで頭を埋めてた。計画を作れば、他のことを考えずに済む」


「他のこと、というのは」


「死んだ三人のこと。村の人間のこと。それから——お前たちのことも」


誠は黙って聞いた。


「グループを分けた判断が正しかったか、何度も考えた」と藤堂が続けた。「答えは出なかった。俺が間違えたのは分離の判断ではなく、その後だと今は思ってる。村の住民を傷つけた。あれは俺の指示だった」


「全員が賛成したわけじゃないだろう」


「賛成しなかった人間もいた。でも俺が押し切った。それが俺の判断だった」


誠は何も言わなかった。


「お前は、俺のことをどう思ってる」と藤堂が聞いた。


珍しい問い方だった。藤堂が他人の評価を聞くのは、誠の記憶では初めてだった。


「お前のことを嫌いかと聞かれれば、嫌いじゃない」と誠が答えた。「合わなかった。判断に賛成できなかった。でもお前が動いていなければ、最初の転移直後に全員がパニックになっていたかもしれない。藤堂が仕切っていた期間があったから、最初の一週間は秩序があった」


藤堂が少し黙った。「そう言ってもらえると思っていなかった」と言った。


「俺が思ったことを言っただけだ」と誠が言った。


「俺は強さしかなかった」と藤堂が言った。「カリスマと力。それで全部やってきた。でもここでは、それだけでは何もできなかった」


「強さは使い方次第だ」と誠が言った。「山越えで必要になる」


藤堂が少し黙って、頷いた。


残り火が赤く光っていた。


どちらも眠くなるまで何も言わなかった。それで十分だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ