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11話 長い道

◇ 長い道 ◇


ガレンまで七日間歩いた。


正確に七日かどうかはわからなかった。日数の数え方が乱れていたからだ。スマートフォンのバッテリーが尽きた者が半分を超え、残りも節約のために電源を切っていた。


橘が木の棒に傷を入れて日数を記録していた。その棒によれば、七日だった。


食料が二度、完全に尽きた。一度目は川沿いで魚が取れて凌いだ。二度目は何も取れず、全員が半日以上何も食べられなかった。そのとき初めて、誰かが「もう動けない」と言った。


小柄な女子生徒、佐々木だった。座り込んで動かなくなった。


「少し休めばいい」と誠が言った。


「休んでも何も変わらない」と佐々木が言った。「食べ物がないのは同じだ」


誠には返す言葉がなかった。


松本先生が佐々木の荷物を持った。先生の荷物を木村が持った。それで佐々木は立ち上がれた。


何も解決していなかった。荷物を別の人間が持っただけだった。だが佐々木は歩いた。それで十分だと誠は思うことにした。


歩きながら、足が豆になった。靴の中に泥が入った。雨が降った日は全員が濡れて、夜に全員が震えた。枯れた木を集めて火を焚いたが、雨の中では小さな火しか起こせなかった。


中原の腕の傷は少しずつ良くなっていた。動けていた。口数が少なかった。


七日目の夕方、遠くに壁が見えた。


石造りの大きな壁だった。その上に建物が見えた。


誰かが「あれだ」と言った。誰かが走り出した。誠も走った。足が痛かったが走れた。


ガレンの城壁は思っていた何倍も高かった。


城門の前に衛兵が二人いた。槍を持っていた。二人は近づいてくる制服姿の集団を見て、槍の先を向けた。


「止まれ」という言葉は、言語が半分違っても伝わった。


先生が前に出た。「私たちは転移者です。食料と宿を求めています」


衛兵の一人が相棒に何か言った。相棒が離れ、城門の内側に走った。しばらく待たされた。


戻ってきた衛兵が言った。「入っていい。ただし転移者は登録が必要だ。すぐに役所に行け。逃げれば追われる」


「わかりました」と先生が言った。


城門をくぐった。


石畳の道。人と馬車が行き交っていた。建物が並んでいた。中世ヨーロッパ映画で見る風景に似ていた。匂いが違った。知らない食べ物の匂いと、獣の匂いと、排水の匂いが混ざっていた。


すれ違う人々が、制服姿の集団を見て、立ち止まった。「転移者か」という声が聞こえた。何語かわからなかったが、口の動きでそう言っているのがなんとなくわかった。


子どもが指を指した。親がその手を引いて、遠ざかった。


「来た」と木村が言った。


誠は頷いた。


来た。だからといって、何かが解決したわけではなかった。



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