7.凶悪な亜空間攻撃魔法
私は魔法の先生についてもらって、可能性を信じて亜空間魔法で物を切り取ることを実践してみることになりました。
「魔法について理解したことをちゃんと報告できたことは褒められるべきことですが、ぼーっとして魔法を使う事は非常に危険です。それは肝に銘じてください」
「はい、ごめんなさい」
「では、考えた魔法を実際に見せてください。目標はあの的です」
先生から示されたのは何時もお兄様が目標にしている丸い的です。
柱も含めると全体の大きさが私より大きいので移動したり保管したりはできない大きさでもあります。
「やってみます!」
私は的の一部に視点を合わせてボール状の物体を意識して魔法を発動します。
的は弓矢を受けるためのもので、真ん中の黒丸を円が囲んでいるので、真ん中の黒丸部分だけを切り取るイメージです。
魔法はいつもの転移魔法と同じ呪文。
「的の丸を私の手元に!」
魔法を発動するとキュッと音がして的の真ん中が消えて、向こうが見えるようになります。
そして私の手元に丸く切り取られた的が私の手元に握られることになりました。
「……なるほど、まさに亜空間魔法で ”切り取る” イメージですね」
「はい、これなら攻撃魔法と言えるのではないでしょうか!」
私は成功した魔法がうれしくて先生のほうを見ると、唖然としていた先生が、次第に難しい顔になっていき、私と的を交互に見はじめました。
「お嬢様、試しにですが、あちらの土壁に同じ魔法を発動できますか?」
そうやって指さされたのは的の後ろにある土の壁。
土魔法を使える職人が作った防御用の魔法で、お兄様や魔法騎士たちが魔法を練習するときに狙いを外しても被害が広がらないようにするための壁です。
「わかりましたやってみます」
とはいったものの、私は苦戦することになります。
私は土壁を眺めますが、狙いを定めることができない。
どこをどう削り取るかのイメージがわかないのです。
唯一見つけたのは土壁の上のほうに生えていた雑草、私はその雑草を土ごと私の足元に転移しました。
「なるほど、何か目標がないとうまく魔法が発動しないようですね」
「……壁のどこかをと思ったのでがのですが、この草の周り意外だと発動できませんでした」
「お嬢様、この魔法は十分攻撃魔法になります。魔物の体を切り取ってしまえばいいのですから」
「なるほど」
「となると、目標がないものについても発動できるようになる必要があるでしょう。しばらくは基礎練習を繰り返しながら、そのコツをつかんでみるのはいかがでしょうか?」
「わかりました」
私は基礎練習を繰り返します。
発動する魔法の範囲の練習。今までは欲しい物体そのものを認識して転移していたのですが、それは無意識でした。
意識して転移する物体の形を把握して魔法を発動し、任意の場所に出現させることを始めます。
さらには積み木で目標を作って、その積み木を一つずつ転移して同じように組み立てた後で、すべてをまとめて亜空間に取り込んで、元の形になるよう1個ずつ取り出してみたりと、自分が把握できる目に見えるものについて、正しく認知する訓練を重ねました。
そして12歳になり魔力量も増えて安定し始めると、私は思う通りに亜空間魔法を使えるようになっていました。
攻撃魔法として、具体的なターゲットの目印がない部分にも魔法を発動して土壁を削り取れるようになったのでした。
「お嬢様は、十分な攻撃魔法をお持ちです。1属性とは言え十分貴族として誇らしい魔法をお持ちだと思ってください」
「はい、先生。ありがとうございました」
こうして私は家庭教師による魔法の授業を終えました。
来年には王都の貴族学園に通う事になります。




