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リリア・テレシア~亜空間魔法の使い手~  作者: シャチ
第4章 王家の影編

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【番外編6】アンジェリカ・タウンゼント

 私の名前はアンジェリカ・タウンゼント。

 この国の北部閥と南部閥のトップ同士の子女が結婚したことで生まれた歴史の浅い伯爵家に生まれた私には、前世の記憶がある。


 物心ついた時から魔法を魔道具に落とし込むことを始めたのは、あまりにも生活が苦痛だったからだ。

 日本人としての記憶のある私には風呂もトイレも中世ヨーロッパなこの世界が耐えられなかった。

 ご飯も量はあるけれどおいしいとは言いにくい。

 とにかく前世の記憶にある生活を送るために幼少期から馬鹿みたいに魔道具開発とか料理について広めた結果、王家に目を付けられてしまった。


 この世界、私は前世で遊んでいた恋愛シミュレーションゲームだと気が付いたのはこの婚約のせいだ。

 第一王子カルバート・ハンストリア。

 攻略対象の一人で、彼は学園に入るまで婚約者がいないはずであった。


 つまり私のせいでゲームの設定が歪んでしまったのである。

 年齢は5つ年上で、この世界の貴族同士の結婚として考えたときに特に問題とならない年齢ではあるけれど、初顔合わせの際に子供の私に悪態をついていたのをよく覚えている。


 国王陛下の指示だから仕方なく顔を合わせています。と顔に書いてあるような第一王子。

 ゲームでは俺様キャラだけど仲良くなるとヒロインを支えてくれる優しい男になるのだが、私には優しさを見せることは無かった。

 そもそも、私はあのゲームでならルバート侯爵令息のほうが好みだったのだ。

 相手が歩み寄ってこないならこちらか歩み寄る必要もないだろうと判断を下した。


 それから歳月がたって私が10歳になると、何故か貴族学園に行くように言われた。

 本来であれば13歳から入学のはず。

 どうも、王家がわからの指示らしく、拒否権はない。

 今頃第一王子は学園でヒロインのケツでも追っかけているはずで、あわよくば婚約をなくせないかと考えていたのに、私が学園に行くなんて悪役令嬢にされそうで嫌だった。


 だから私はあえて派閥を作らなかった。

 本来であれば伯爵家なら家門の子爵や男爵の者たちを束ねて小さくとも派閥を作るものなのだけれど、新設伯爵家に仕える下位貴族はいなくって派閥なんて作りようがなかったのもある。

 それに作ったら作ったで冤罪ふっかけられそうだったんだもの。


 ただ、学校に通い始めると私のあこがれていたルバート侯爵令息から接触がしょっちゅうあった。

 彼は私が第一王子の婚約者であることに気を使って、決して二人だけで会うようなことはしなかったけれど、私のことをとても心配してくれた。

 なにせ、学園で第一王子はすでにヒロインといい感じになっていたからだ。

 そんな二人をしり目に私は都合よくルバート様との仲を深めていった。


 そしてあと半年で卒業される殿下は冬休み前にパーティーを開くというではないか。

 雰囲気的に私は断罪されるのだろう。

 ゲームだとそんな断罪シーンなんてないし、第一王子は婚約していないから誰かを貶める必要はなかったはずなんだけど、たぶん私は有りもしない罪で冤罪を言い渡され婚約破棄されるんだろう。

 婚約破棄してくれるのはこっちとして願ったりだし、そうなればルバートと結ばれる可能性もあるけれど、私の評価が下がるのはいただけない。

 どうしたものかと思っているとルバートから声をかけられた。


「王家の影が何とかしてくれるよ」


 彼の言葉は妙に説得力があった。

 確かにあのゲームにも王家の影がいた。

 それにたしかゲームだと本来学園の同級生で、特殊魔法の使い手が手を貸してくれた気がする。

 名前は……リリア・テレシア。

 テレシアってテレシア伯爵家?

 でもこの学園にテレシア伯爵の家族は今通っていない。

 なんなら私と同い年ぐらいの男の子だったはず。


 そして迎えたパーティー当日、私は見慣れない女子生徒をみつける。

 黒い髪で赤い瞳、すらりとした体、そして学生にしては既婚者風のドレスを身に着け壁際にいる女性。

 あれだ、彼女がサポートキャラのリリア・テレシア嬢。


 そして気が付けばコーワン内務伯が搭乗して第一王子は王籍を抜かれ、パーティーは終焉した。

 気が付いた時にはリリア・テレシアはいなかった。

 

 そこから怒涛の展開で、私はルバートと婚約しなおすことになり中央貴族の派閥に入ることになった。

 そしてリリア・テレシアについて調べてみれば、すでに女子爵で既婚者であることがわかる。


 どうして?

 特殊魔法の使い手で学生じゃないの?

 すでに私というイレギュラーがいる時点でゲームと同じだなんて思っていないけれど、もしかすると彼女も私と同じように前世の記憶があるかもしれない。

 私はどうしても彼女に会いたくて手紙を出すことにしたのだった。

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― 新着の感想 ―
トイレが中世ヨーロッパだと、32話の水洗トイレは飛躍が一足飛び過ぎると感じます。 排水どうしてるのかな、と思います。
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