37.冬の社交と変わった招待
この冬の社交界は大変賑やかだ。
王都にあるテレシア家タウンハウスも例外ではなかった。
「おつかれさまです。カディルお兄様にシャーロット義姉様。それにカイルもいらっしゃい」
「おせわになるよリリー。変わりはないようだね」
「あちこち飛び回っていますわ。タウンハウスの管理はロザリンドに任せっきりですもの」
今年はお兄様一家が王都にやってきた。
すでに伯爵としてテレシア領をまとめているので、王都の夜会に出るのも伯爵としてだ。
両親は領地でのんびりとカディルお兄様たちの補佐的なことをしていると聞いている。
カイルとエレーナは久々の再会を喜んでおり、この後お茶をする予定だという。
「王都はずいぶんと賑やかだったみたいだね」
到着したその日は社交はないのでカディルお兄様と久々に直接話をする。
応接室には茶が置かれており、メイドたちも控えている。
来年からカイル君も学園に通うからそのあたりの情報は収集してると思うが、手紙や言伝よりより近くにいた人間から聞きたいというのもあるだろう。
「第一王子は失脚、もともと彼の派閥はあってないようなものでしたけどね。それとアンジェリカ嬢は卒業資格を得てもう学園にいませんよ。新たな婚約者はルバート・チェスターと再婚約するそうよ」
「なるほど、中立派が抑えたわけか。まぁ予想通りの結末だな」
「また北部閥と南部閥が復活すると思うわ。学園ではすでにその流れよ」
「カイルにはうまいことは閥を作るように言っておかないとな。むしろエレーナを呼び戻すか……」
「第二王子の婚約者はすでにいるのよ。それならまだ2つ年上のカイルが側近になるほうが現実的だわ」
「カイルは嫡男だ。側近にはさせないよ」
「それもそうよね」
大人になってしまえば兄妹の会話も政治になるわよね。
少し寂しくも思うけれど。
「ところでリリーは全く見た目が変わらないけど、何かしているのかい?」
「何その質問」
「シャーロットから聞いてくれと言われてな」
「残念だけど特別なことはしていないのよ。エディには亜空間魔法の使いすぎじゃないかと言われているけれど」
「使いすぎると若返るのかい?」
「エディ曰く、亜空間内部は時間の流れが違うんじゃないかという事よ。私は宮廷魔導士としてどこにでも赴くでしょう?その時亜空間魔法をつかってエディ曰くテレポートっていう移動方法をつかっているのだけれど、それだけ亜空間内に長くいるのよ」
「たしか亜空間の中に食事を入れておくと腐らないんだっけ?」
「同じ期間じゃ腐らないわね」
これは今までのエディの研究からの結論でもある。
私の見た目が成長しないのは亜空間に居すぎるからだというものだ。
そこまで長い時間亜空間に居たつもりはないのだけれど、あの中は時間の流れが普通じゃないとエディは言う。
実際私は年を取っているように感じないし、アレの周期も普通じゃない。
亜空間魔法の影響と考えるのが自然だと思う。
その後も王都での情報交換を行っていると、一通の手紙が私に届いた。
差出人はアンジェリカ・タウンゼント伯爵令嬢、私と二人で話をしたいという。
はて? いったいなぜ私を呼び出すようなことを彼女はしたのだろうか?




