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リリア・テレシア~亜空間魔法の使い手~  作者: シャチ
第4章 王家の影編

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35.学園内でのそれぞれの思惑

 監視を始めて半年、教師側の王家の影とも接触し、状況の確認をすれば上の思惑通りに動いているという状況がわかる。

 アンジェリカ嬢は孤立を深め、ルバートと一緒にいる機会が増えている。

 周りより2歳も年齢がしたの彼女の庇護者的な立ち位置に完全に収まった。


 第一王子はお気に入りの男爵令嬢と授業以外ではほとんど一緒にいる。

 そして、彼の学校での成績は徐々に落ちてきている。

 王子ということで、学校で学ぶべきことは無いとはいえ、その学校での成績が悪いというのは問題である。王家は伝統的に法務学科で学ぶのだが、その成績が悪いという事は王国法を理解していないということであり、国王たる資格はないと言える。


 その評価がわかっていないのだろう第一王子は側近たちから苦言を呈されることもなく好き勝手に過ごしている。

 これが高位貴族のように派閥を形成して政治的立ち振る舞いが出来ればまだ救いだが、一人の女子生徒に熱を上げているだけの恋に溺れた男でしかないが、王族としては許されない。


「なんというか、順調にシナリオをなぞっているわね。ルバート様が上手いのか、第一王子の思考が単純なのか」


 私は亜空間から出口を山ほど作って外を観察し続ける。

 残念ながら耳を出すなどしないと音声までは拾えないが、何をしているかはおおよそ把握できる。

 アンジェリカ嬢は何時にどこにいたのか、何をしていたのか、誰といたか。

 第一王子はどこで何をしていたか。

 たいしたことではない。

 ただ、学園を離れてまで監視はしていない。

 あくまで学園の中だけの監視だ。


 学園の外に出てしまえば多くの目がある。

 警邏の兵もいれば、王宮のメイドだって買い物に出る。

 すでに第一王子が何度か逢瀬で男爵令嬢と出かけているのは王宮側の影が把握している。

 行くところまで行っていることも確認されており、第一王子が失脚すれば共に首をくくることになるだろう。


 例の男爵令嬢が第一王子とその側近たちにあること無い事吹き込んでいることもわかっている。

 上位貴族に冤罪をでっちあげるとは見上げた根性だと覆うが、それがあまりに稚拙にもかかわらず、それを信じている第一王子たちも頭が緩いと言わざるを得ない。

 なぜ内容を知っているかといえば、彼らがメモを学園にある王族専用の部屋に置いていったからだ。

 

 茶会に呼ばれなかった、噴水に落とされた、足をかけられた、ドレスを破かれたなどなど。

 下位貴族が上位貴族の茶会に呼ばれるためには派閥同士の交流会でもなければ不可能であるし、アンジェリカ嬢は派閥を持たないため彼女も茶会に呼ばれるていない。

 そんな彼女から茶会に呼ばれないと言われても、例の男爵令嬢は仮にも北部閥。

 北部閥の茶会に呼ばれたのに一度も参加しないとなればそちらからも声がかかるわけがない。

 

 本来、こんな状況になっては男爵家は成り立たないのだが、北部閥の中では彼女のみ切り離すことで合意されているらしい。

 跡継ぎが居なく拾ったが手に余る。貴族籍をはく奪する予定だというのが男爵家のスタンスで、それもあとひと月もすれば実現するだろう。

 切り離された後は王家がこっそりといいように使う予定だ。


 また、それ以外の内容はそれこそ事実がないので証拠は出せないだろう。


「それにしても、アンジェリカ嬢はルバート様に絆されているわね。貴女もまだ婚約者のいる女性だというのに」


 別に、怪しい関係にあるわけではないし二人きりでいるわけでもないが、明らかにアンジェリカ嬢の顔はルバート様に恋する乙女状態だ。

 まぁまだ11歳である彼女に紳士的で優しいかっこいい男のであるルバートは華やかに見えるだろう。

 ましてや、自分の言葉も聞かず放置し他の女を追いかける男が婚約者では心は他へ向くのはやむない事か……


 そして、社交シーズンを迎える冬休み前の学園で、ことは起こったのです。

  

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