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リリア・テレシア~亜空間魔法の使い手~  作者: シャチ
第4章 王家の影編

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33.今の貴族学校

 学校卒業から早14年、学園の様子は様変わりしていた。

 私は亜空間に潜りながら学園内を探索している。

 出歩いているわけではなく、目に見える範囲に亜空間から出口を作ってあらゆる箇所を確認している。

 出口の亜空間から見える場所に別の出口を作りという形をとることで、私の目の前には数百の出口が並んでいる。

 私は亜空間の中に椅子を持ち込んで座って外の様子を観察している状態だ。


「派閥の変化というのは学園内でそこまで影響を与えていないんですね」


 というのも、アンジェリカ嬢が派閥を作っていないことから、学園内では古い派閥、北部閥と南部閥と中立派という構図がまだ生きているのだ。

 なぜ同世代から見習うべき淑女と呼ばれた彼女が派閥を作っていないのか、そこも気になっている。

 理由の一つが世代があっていないというのは分かっている。

 アンジェリカ嬢はまだ10歳、本来であれば学園入学の時期ではない。

 にもかかわらず聡明であったことと、王家の要望により学園に通うこととなったのだが、問題は領派閥を紐づけたといっても家門自体が新しくできた家門であり、サポートする下位貴族を持たない。

 そのため、彼女自身が派閥を作りにくいという問題がある。

 結果、学園内では北部閥と南部閥が健在。

 両侯爵の令息たちがそれぞれ派閥を形成しており、アンジェリカ嬢はある意味放置されてしまっていた。

 であれば、婚約者である第一王子の派閥に属しているかというとそうでもないのだ。


「これでは彼女を守るのは彼女と領に連れてきているお着きのメイド以外居ないわよね」


 理由は、第一王子は学園で婚約者であるアンジェリカ以外の女性を侍らせていることにある。

 本来であれば生徒会役員などを行い、精力的に学園で仕事をするはずの彼は、同じく生徒会に所属しているアンジェリカにその仕事をほとんど押し付け遊び惚けている。


 これが第二王子や第二王女であればまだ許されただろう。

 兄や姉を立て、私は王位継承権はあれど暗愚であり王には向かないというアピールともとれる。

 が、本来「立太子」していなければいけない第一王子が率先して生徒会という政治の場で力を発揮せねばならぬのにそれをしない。

 

「王家が第二王子を陰で推しているのもわかる動きね」


 実際、王家の影として活動する私は多くの情報を持っている。

 現在王家には第一王子のほかに第一王女と第二王子がいる。

 来年には第一王女殿下が入学してくるが、今年学園にいる王族は彼だけだ。

 一応、宰相家に婿入りされた私が在学中の第二王子、今の王弟殿下の息子、ルバート・チェスター侯爵令息が今年入学してきたことで、彼女のサポートをしているようである。


「どうにも不穏な空気ってやつね。様子を見る限りアンジェリカ嬢に最近出回っている噂はあてにならないということはよくわかるけれど」


 私は様々な情報をメモ書きしていく。

 アンジェリカ嬢が開発してくれた万年筆がとても役に立つ。

 平民にも目を向ける貴族令嬢が悪劣な行動をするというのがどうにも一致しなかったが、明らかに学園で作られた噂であることが良くわかってきたのだ。

 

 では、この噂の出どころはどこなのか?

 なぜ多くの生徒たちが見て見ぬふりをするのか?


 それは一月ほど観察することで輪郭が見えてくるのだった。

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