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リリア・テレシア~亜空間魔法の使い手~  作者: シャチ
第3章 宮廷魔導士編

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27.対変異ベヒモス戦

 翌朝、アイリンガム侯爵騎士団と共にベヒモス討伐のため炭鉱への移動を開始した。

 騎士団にはドロシーさんも同行してくれる。

 とはいえ、すでに騎士団と魔導士ではベヒモスにダメージを与えられないことはわかっており、あくまでも私が討伐に成功した際の魔物の解体だとか、念のための護衛として同行してくれている。

 

 私一人で移動したほうが当然早く現場につくだろうが、こういった正式な討伐においてはこれが普通である。

 学生時代にも魔法学科の生徒はこういった討伐任務への遠征に参加した。

 職場体験的なものだろうか?

 他家の魔導士団などに赴いて、実際に魔物を討伐する。

 討伐した魔物の強さは問題ではなく、そういった行軍や連携を含めて評価されるわけだ。

 で、その働きを団長や領主に評価してもらい成績に反映される。


「こうしてドロシーさんと討伐に出かけるのは久々ですわね」

「リリア様の討伐は独特で観ていて飽きなかったです。きっと変異ベヒモスも一捻りでしょう」


 同行している騎士団は緊張した雰囲気だったが、私とドロシーは少しのんきな雰囲気で道中を行く。

 私自身が例の変異ベヒモスを恐れていないのもあるが、ドロシーも私なら倒せるという確信があるからだ。

 道中で気を張っていても疲れるだけだ。


「もうそろそろ見えてきます」


 兵の一人が私たちに声をかける。

 参道からも少し赤茶けた肌が見えているのが多分ベヒモスだ。


「ふつうのベヒモスより明らかに大きいわね」

「おかげで刃もたたないのです」

「あれだけ大きければ皮膚の硬さも過ごそうね」


 なるべくベヒモスを刺激しないようゆっくりと近づけば、変異ベヒモスの巨体がよく見えるようになる。

 大きさは下手な庶民の集合住宅より大きい。

 しかし、人が近寄ってきたのも気にせずに黙々と炭鉱入り口周辺の岩をかみ砕いているようだ。


「なるほど、本当に人に興味がないようですわね」

「目的は石炭だけなのです」


 ある程度近づいたがベヒモスの反応はなかった。

 黙々と岩を口に運んでバリバリと食べている。


「ベヒモス自体はおとなしい魔物ではなかったと思うのだけれど?」

「やはり変異種だからなんだと思います」


 いつまでも観察していも仕方がないので私はベヒモスを倒すことにする。

 なお、普通のベヒモスは肉食で人でも魔物でも襲う恐ろしい魔物であり、発見され次第何としても討伐するのが常である。

 ただ、大きさはこの変異ベヒモスの三分の一ほどが通常サイズなので見た目の脅威度はだいぶ落ちる。


「とりあえず倒してしまいましょう」

「リリア様お願いします」


 ドロシーは私が魔法を行使することを騎士たちに伝える。

 もし効果がなければ逃げる必要があるためだ。

 私はこちらから見えているベヒモスの側頭部に向けて亜空間魔法を展開すると、ギュポッという音と共に顔の一部がごっそりとなくなり、断面がはっきりとわかるようになる。

 そして血が噴き出す。


「効果はあるみたい。とりあえず首を切断してしまうわ」

「……何度見てもリリア様の魔法での倒し方ってグロいですよね」

「しょうがないじゃない。問答無用で切断するようなものなのだもの」


 私はもう数回魔法を発動して頭を完全に消し去る。

 魔物の血で周りを汚染するわけにもいかないので、吹き出る血も亜空間に飛ばす。

 最初に頭の半分を失って暴れそうになったベヒモスの手足も消し飛ばし、数分後には変異ベヒモスがこと切れた。


「……これが宮廷魔導士か」

「隊長、リリア様は特殊なのでこれが普通だと思わないほうが良いです」

「そ、そうか」


 ついてきてくれた騎士団の隊長の顔が青ざめているが、初めて私の魔法で大型の魔物を倒すところを見ると大体みんな似たような反応になるのよね。

 剣などで魔物をたたききるのと何が違うのかと思うのだけれど、私の倒し方は大体えげつないと思われることが多い。


「どうします? 騎士団の装備で解体できそうですか? むりそうなら私の魔法で分割して領都まではこびますけど」

「テレシア子爵、お願いしてもよろしいでしょうか」

「わかりました」


 騎士団の要求では仕方がない。

 私は残ったベヒモスに体に展開できる最大サイズの亜空間魔法を展開して体をバラバラにしてく。

 

「おわりましたね」

「ありがとうございますリリア様。もどって侯爵へ報告しに行きましょう」


 ドロシーさんだけはごく自然に私と話しているが、ついてくるときは私たちを護衛しようと隊列を組んでいた騎士団の人たちは完全に一歩引いた位置から私についてくる形での撤収となった。

 

「やっぱり、私の攻撃魔法って怖いのかしら?」

「魔法防御が役に立たない上に、あの攻撃の見た目は衝撃的ですから」

「別にむやみやたらとつかったりしないのだけど……」

「どうしても、自分がとアレを見ると考えてしまうんですよ」


 納得いかない気もするけれどドロシーさんの言い分もわからなくはないのでこれ以上の反論はやめる。

 別に今まで人に向かって亜空間攻撃魔法を使ったことなんてないんだけれどね?

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