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リリア・テレシア~亜空間魔法の使い手~  作者: シャチ
第3章 宮廷魔導士編

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25.アイリンガム侯爵領へ

 翌朝、私は旅支度を終えていた。

 ロザリンドに指示をして用意してもらったテレシア家の騎士服の上から宮廷魔導士のローブを羽織る服装だ。

 ほかに念のためドレスを2着とお気に入りの焼き菓子と少量の食料を亜空間にしまってある。


「本当に一人で行くのかい?」

「ついてきたくてもエディも、騎士たちもついてこられないでしょう?」

「それはそうなんだけれど、普通なら馬車とか馬で行けばいいと思うんだけれど?」

「すでにアイリンガム領から王宮に手紙が届くのに5日はかかっているのに悠長にしていられないじゃない」


 まともに討伐準備をして移動すれば到着に一月はかかるだろう。

 そのころには被害は拡大している。

 アイリンガム侯爵家は南部閥の顔役であり、私としては大規模な魔獣被害を受けているならさっさと解決したいと思っている。

 私の能力も試せるし、恩も売れる。

 テレシア家としても大変良い案件だ。

 そして、私が一人で行こうとしているのは亜空間魔法を使った瞬間移動的な移動方法を使えるのが私だけだからだ。

 エディと一緒に亜空間に入ったが、亜空間から見える範囲で隙に作ったもう一つの出口から私は出られたが、エディは出られなかった。

 私が術を行使して、亜空間にエディを入れたり出したりすることはできるが、勝手に入ってきたエディは勝手には出ていけなかったというわけだ。

 なお、入ってきたところから出ることはできたので、それも現在研究中だ。


「というわけで私だけで行きます」

「止めても魔法を使われたら無駄なのは分かっているのでもう止めないよ。とにかくけがをしないで帰ってきてほしい」

「えぇもちろんよエディ」


 そういって彼にキスをしてあげる。

 さて、さっさと行こうじゃない。

 玄関から出て魔法を発動して、亜空間の中に入る。で、亜空間から外を眺めて見える範囲で出口を作る。

 くぐればその出口の場所にいける。

 これを繰り返すだけだ。

 大きな街道沿いを進めばアイリンガム侯爵領まで行ける上に、街道沿いは基本的に開けているので亜空間魔法での移動距離が稼げる。

 

 通常馬車であれば10日、早馬に乗り継いで5日という距離を瞬く間に通過していく。

 途中曲道で先が見通せない場所はどうしようもないが先が見えていれば移動するのに都合は悪くない。

 そうしてほんの数時間、日が落ち始める前にアイリンガム侯爵領の入り口に到着した。


「リリア・テレシアでございます。王宮魔導士としての任務で参りました。こちらがその証書です」


 突然目の前に現れた私にアイリンガム領都を守る門番は慌てた様子だったが、すぐに平静を取り戻した。

 私が出した証書が正式なものだからだ。

 ちなみに、道中関所でも大体同じような状態でした。

 場所によっては魔物の類かと思われて槍を向けられそうになったが……


「ようこそおいでくださいました宮廷魔導士テレシア子爵、お待ちしておりました。……到着はあとひと月はかかるものと思っておりましたが」

「そのように時間をかけてはいたずらに被害を増やすだけでしょう。南部閥の人間として早期の討伐が必要と考え、魔法を行使して急行いたしました」


 ちなみに、スピードだけでいえば風魔法を使えると早く移動できたりする。

 が、私の転移魔法に比べたらまだまだ遅い方だし、移動に風魔法を使えるものは圧倒的に少ない。

 それこそ宮廷魔導士の中の何人かが風魔法を使って空を飛ぶように移動できるぐらいだ。


「では侯爵閣下のもとへおつれいたします。詳細な情報を聞かれた方がよろしいと思いますので」

「えぇ、よろしくお願いいたします」


 子爵が一人で出張ってくるのは普通じゃないのもあり、門番の兵士の一人が案内役を買って出てくれた。

 そうして、アイリンガム侯爵とあいさつし、状況を確認した結果、すぐにでも討伐したほうがよさそうだということになったのだ。

行軍演習に何度も参加しているので、リリアはこういった軍事目的の移動に結構慣れています。

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