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リリア・テレシア~亜空間魔法の使い手~  作者: シャチ
第3章 宮廷魔導士編

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24.警邏任務と突発事案

 警邏任務は王都につながるいくつかの街道について、王都直轄領内のを警邏兵と移動して異常がないかを確認する任務です。

 私は初回なのもありますし、南部閥であるということで、テレシア家と王都をつなぐ街道周辺の警邏の任務に同行することとなりました。


「とはいえ退屈ですね」


 私は宮廷魔導士の制服として支給されているローブをまとい警邏隊の一番後ろをついていきます。

 私能力については王立騎士団でも把握していますから、今回の警邏任務で使う物資などは私が運搬しているのもあり、いつもよりも隊は身軽だそうで、思ったよりも早く仕事が終わるだろうと隊長はおっしゃっていました。


 警邏の主な仕事と私がとらえていた魔物の討伐はほとんど起こらず、王都周辺であるため盗賊の類もおらず、どちらかと言えば街道に傷みはないか、修繕が必要な個所はないかを確認しながら警邏兵たちが移動するのについていくという感じです。

 道中馬車も通る為横幅はあるけれど小さな橋に傷みがみつかり、後ほど帰還したときに報告をして修繕計画が立てられるといったことぐらいしか起こりませんでした。


「ツノウサギの一匹でも出てきてくれればいいのに」

「このあたりは人口もおおいですからツノウサギ程度だと農民でも狩れてしまうので魔物はほとんど出ないんですよ」


 私のボヤキに列の後ろにいた新人の兵が答えてくれる。

 確かにその通りだろう。

 スライムでも出ない限り正規兵が出張ることなんてないと思う。

 だいぶ肩透かしな感覚を覚えながら、その日の警邏任務を完了した。


「おかえり、リリーどうだった?」

「まったく面白くなかったわ」


 私の答えに玄関で出迎えてくれたエディが苦笑する。

 わかっていて私を警邏任務へ行かせたわね?


「でも、王都の平和を守るといういみで宮廷魔導士としての仕事は果たせたよね」

「確かにそのとおりよ。でも私は単なる荷物持ちだったわね」

「その点でいえば、亜空間魔法は便利だからね」


 実際、有事の際には私が大量の物資を抱えて亜空間を通りながら輸送するという戦略がある。

 私の魔法だけに頼るわけではないけれど、大量の物資を亜空間にしまい込み、私自身も亜空間に入りながら目的地へ向けて見えている範囲で短距離移動を繰り返す。

 実験した結果、私が亜空間からもう一つ入り口を作る方法を繰り返すことで、テレシア領まで5分もあれば到着するのだ。


「せっかく攻撃魔法が使えるのに、それを使う機会がないというのが私は悲しいのよ」

「リリーは戦闘向けの魔法訓練に参加できないもんね」


 私の攻撃魔法は防ぎようがないため通常の訓練に参加できないのは学園から変わらない。

 私はもっとせっかく使える攻撃魔法をもっと活用したいのだ。


 エディと夕食をともにし、食後の茶をしていると、こんな時間に珍しく王宮から使いの物が来た。

 こんな時間に珍しい、よほどの急ぎでなければ翌朝私たちが出仕したときに言えばいいのだから、何か緊急での要件なのだろう。

 

「夜分遅くに申し訳ありません。内務省よりテレシア子爵に出動命令でございます」


 執務室に使いを通して話を聞けば、私への出動命令だった。

 彼から手紙を受け取り中を確認すると南部閥のアイリンガム侯爵領内で大型の魔物が発見されたが、討伐に失敗したという内容だった。


「火属性と風属性を無効化、土属性を主とする魔法を使ってくる大型の魔物……ベヒモスでしょうかね?」

 ベヒモスとは山に出る大型の魔物で筋肉質な牛のような魔物だ。

 魔法を使うことがあるというが、侯爵魔導師団で倒せないなんてことはないはずだ。

 普通なら領内で完結する。

「属性魔法の一部無効化ですか……確かに南部閥の貴族では討伐は難しい相手かもしれません」


 なぜならテレシア家もそうであるように南部閥は火と風の二属性を持つ魔導士が多い。

 ドロシーもそうだった。

 つまり、所属する魔導士の魔法がほとんど効かないベヒモスが現れて敗走したということだろう。


「わかりました。朝一番でアイリンガム領へ向かいます。内務伯からの紹介状はありますか?」

「こちらです」


 私の問いに使いは封書を渡してくる。

 封蝋には内務伯の家紋が入っている。


「ありがとうございます。私たちはこれから準備をします」

「よろしくお願いいたします」


 使いが帰り、私はロザリンドに旅支度の指示をする。

 私の能力を最大限生かす仕事が舞い込んだのだから、だれにも止めさせはしないわ!

 私の横でエディが心配そうな顔で見ているけれど、気にすることじゃないわね。

 

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