23.宮廷魔導士リリア・テレシア
結婚してはや1か月がたった。
エディとの初夜も終え、蜜月期間も終わりしばらくたったけれど、今のところ妊娠した雰囲気はない。
そのため、明日から宮廷魔導士として働く事となった。
といっても、特にこれと言って何か仕事があるわけではない。
しばらくはエディと一緒に王城に通い、私は亜空間魔法で遊び倒し、エディはそれを観測文書化して記録をまとめている。
現在の私の正式な仕事はエディのサポート。
彼がまとめる亜空間魔法についての論文の手伝いの為に実験を繰り返しているためほとんど遊んでいるような状態です。
「リリーは遊んでいるというけれど、おかげで今まで誰も気にしていなかった回復魔法や治癒魔法が魔法防御を貫通する事と紐づけが出来たんだから魔法研究としては十分な成果だよ」
「そんなことが十分な成果なのですか?」
「そうだよ! 王国の魔法学どころか世界の魔法学の常識をひっくり返す成果さ!」
今ある魔法防御の魔道具は結局4属性に対してのみ効果を発揮することが明確に判明した。
これは私の亜空間魔法だけでなく、他国にいた聖属性魔法と呼ばれる回復魔法の使い手である聖女にも同様の実験を手伝ってもらったことにより証明された。
そもそもこの魔法防御の術式というのは王国成立よりずっと前から存在しており、改良というものを受けてこなかったという。
宮廷魔導士の中にはこの術式をずっと研究しているものがいるが、それでも解明されていないことが大多数であり、一部解明された部分を応用して魔法練習用の的などが作られてきた。
それが今回、4属性魔法以外は防げないということが証明され、世界中で大きな衝撃となった。
エディが言うには、この発見だけでもすごい成果であり宮廷魔導士として十分な実績であるらしい。
「エディとしてはこの成果に加えて、私の亜空間魔法の論文をいくつも出せれば十分仕事をしたといえるでしょうけど、私自身が国のために何かをしたというのは今のところほとんどないのです」
「……つまりリリーは宮廷魔導士として共同研究などではなく、仕事をしたいと」
「端的にいえばそうですね」
実際私は仕事らしい仕事をしていません。
まぁ結婚して1か月の女性を酷使しようと思っていないというのもあるとは思うけれど、私の亜空間魔法で魔物を狩るだとか、亜空間に行き来できるようになったことで何か今までにない活用ができるのではないかと思うのだ。
「リリーの気持ちはわかったけれど、特にレポートを書きたいとかではないわけだよね?」
「どちらかと言えば暴れたい?」
「うちの奥さんは変わってる」
エディが苦笑する。
言語化して分かったが、そうか私は暴れてみたいのか。
「なら、騎士団の魔物討伐に同行するのはどうだろう」
「なるほど!それは名案かも」
王都周辺だって魔物が出ることがある。
強力な魔物は出現しないが、定期的な街道の警邏任務があり、その際魔物を見つければ討伐する。
強い魔物がいないため騎士団所属の警邏隊だけで何とかできてしまうが、それでも負傷することはたまにある仕事だ。
魔導士がいれば狩りは格段に楽になる。
私は定期的に行われるその警邏任務への同行を申し出たのだった。




