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リリア・テレシア~亜空間魔法の使い手~  作者: シャチ
第2章 貴族学校編

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20.行軍演習

 王立騎士団の行軍演習に随伴する日がやってきた。

 私はなるべく動きやすい服装ということで、テレシア家の騎士服を用意した。

 

 この王立騎士団の行軍演習は定期的に行われるらしく、短い距離だが集団での移動になれるための物で、例えば各領地で抑えきれない魔物の被害だとか、数は少ないが人同士の戦争における騎士団の移動について実際に訓練するものであるらしい。

 とはいえ、あくまで演習であり、大体2時間ほど歩いてお昼を食べて帰ってくるというような流れだそうだ。


「これらを収納すればいいのですね?」

「はい、テレシア様。こちらが水樽で、こちらはパンと干し肉の箱になります」


 今回の行軍には100名ほどが参加する。

 水樽は5個、パンと干し肉は4個の箱に収まっており、それぞれに印がついていた。

 私は係の兵士からリストを受け取り、照合しながら1つずつ亜空間にしまっていく。

 これぐらいの量ならさすがに忘れないと思うけれど、成功したいのでしっかりと物を把握していく。

 

「これが亜空間魔法ですか……」


 私が樽や木箱を亜空間に収納していくのを見て物資担当の兵士が声を上げる。

 目の前で次々と物が消えていくのを見ると何とも言えない気持ちになるのだろう。


「あとは目的地に到着したときにちゃんと取り出せるかですわね」

「えぇ、お願いします。仮に取り出せなくても荷馬車に必要物資は別途積んでありますので気負わずにいてください」

「はい、わかりました」


 私は荷馬車に同伴して行軍についていく。

 てっきり簡単な行軍なのかと思ったが、兵士たちはフル装備での行軍のようで、全員が隊魔法防御の鉄鎧を着用し、剣のほかに槍も携行している。

 一部の兵士は弓矢を装備しているので、本当に軍事訓練なのだと実感する。

 ちなみに私は侍女としてイザベラを同行させているだけで、エディはこの演習に参加していない。

 彼は先に目的地で待っているとのこと。

 

「あれだけの装備をもって歩くのは大変そうですね」

「えぇ、本当に。兵士の方は体力がものをいうとはいえ、これだけの装備をもっての行軍は堪えるでしょうね」


 荷台に乗っている私たちは列の一番後ろから兵士たちの様子を見ている。

 しばらく歩いたところで小休憩が入るようだ。


「テレシア様、申し訳ありませんが1つ水樽を出していただけますか?」

「はい、わかりました」


 てっきり目的地に到着するまでお役御免かと思っていたが、道中の休憩でもお呼びがかかるようだ。

 私は言われた通りに水樽を一つ取り出す。


「おぉ……本当に出てきましたね」

「無事に取り出せてよかったです」


 さすがにこの短い時間で忘れるほど私はヌケていない。

 リストもあるので亜空間で物資が行方不明ということもなかった。

 その後も休憩するたびに樽を出しては収納しを繰り返しながら目的地に到着した。


「リリー無事に到着しましたね」

「はい、道中特にトラブルもありませんでした」

「では、パンと干し肉の木箱を出してください」

 私は言われた通りに木箱を取り出す。

 特に中身に問題もないようで、無事に兵士たちに昼食がいきわたる。


「ふむ、これだけでもリリーの価値は高いですね」

「私一人で前線に物資を届けることもできるかもしれませんね」

「あまぁリリーを一人で前線に行かせることはあり得ませんが、それでも前線近くの拠点に物資をこっそりと届けることはできるでしょう」


 あとはどれぐらいの量を運べるかだと思う。

 今回は数個だったけれど、実際に騎士団が動くとなるとその物資の量は莫大な量になる。

 どれぐらいの量まで運べるのかは、これから調べていく必要があると思う。

 さすがに貿易の品などなくしたら困るものを大量に運ぶのは危険だし、こういった訓練に同行させてもらいながら運べる量を見定めていくしかないだろうね。


「今回はよい経験でした。また参加してみたいところです」

「能力の把握のためにも、定期的に参加してみるのがいいかもしれませんね。亜空間魔法の研鑽にもなりそうですし」


 エディも同意見なようで安心した。

 この日から、私は王都近郊への行軍演習にたびたび参加するようになったのだった。

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