17.学園2学期の始まりと婚約者とお出かけ
私とエドワード様との婚約は正式に結ばれました。
結婚は卒業後の予定。
私は跡取りではないので王族の出産タイミングにそこまでこだわる必要はないため好きなタイミングで婚姻すればいいと言われております。
政略ではありますが、家だけではなく互いの利害も一致しての婚約なのでこれからしっかり仲を深めていきましょうという感じです。
私は卒業して成人するとテレシア伯爵家の持つ子爵位をもらい受けて分家としてテレシア子爵となります。
そして今回の婚約で中央の法衣貴族であるレイナー家とつながりができたことで、私は将来王都に住むこととなりました。
今までテレシア家は王都から近いこともあって社交シーズンは賃貸でしたが、私が常に王都にいるならとこの機会にタウンハウスを構えることになりました。
結婚後は私とエド様はタウンハウスに住んでテレシア家の窓口となります。
今私についている者たちも一部はそのまま王都テレシア子爵家で働くことになるでしょう。
ロザリンドが侍女長予定です。
社交シーズンが終わり、3月の頭から学園は二学期を迎えます。
約2ヶ月の休みの間で政治的な動きはかなりありました。
私の婚約もそうですし、他の伯爵家以上の貴族も婚約していなかった人たちの婚約が調ったりしておりました。
「リリア様も王宮魔導士を目指すのですね」
「えぇそうなりました。仮になれなくてもテレシア伯爵家の窓口として王都に住むことになりますね」
メアリー様とは卒業後もつながりが保てそうです。
テレシア家としても北部閥とのつながりがあるのは利点になります。
メイドや侍女経由ではない情報源というのは互いに意味がありますからね。
派閥違いといっても国を二分するほどの対立ではありませんから、互いに情報交換をすることで国内の調整を付ける意味でも交流は大切なのです。
「卒業後もよろしくしてくださいませねリリア様」
「こちらこそよろしくお願いしますねメアリー様」
二人でがっちり握手を交わします。
これからも仲良くしましょうねメアリー様。
2学期が始まった最初の休息日、私とロザリンドにケイトはエドワード様とお出かけです。
逢瀬であればいいのですが、今日の目的はタウンハウス探しとなります。
仮にいい物件が見つかったとしても居ぬきでそのまま使うわけではなく、テレシア家が使いやすいようにリメイクしますから、早めに物件を見つけないといけません。
今日は候補の数件を確認する予定です。
私たちは学園から伯爵家の馬車に乗り込み、宮廷魔道部の宿舎へ向かいます。
この馬車は家門で使うために学園に預けてある馬車で、馬車には家紋もついているものです。
馬車に乗って10分もしないうちに宮廷魔導部に到着しました。
学園自体が王城に近いのもありあっという間です。
「わざわざお越しいただきありがとうございますリリア様」
「こちらこそせっかくのお休みをつぶしてしまってごめんなさいねエドワード様」
到着すると馬車どまりにわざわざエドワード様が迎えに来てくれていました。
やっぱり年上の男性の余裕を感じますね。
エスコートしてもらい一度馬車を降りて挨拶をします。
「上司にも確認していくつか候補を教えもらえたから、そちらを見に行こう。すでに先方には連絡を入れてある」
「よろしくお願いいたします。わたくしでは王都の土地勘に疎いですから助かります」
今日のルートは事前にエドワード様が調整済みの為、彼の従僕も一緒です。
従僕は御者台にのり、車内にエドワード様が乗り込みます。
「では最初の物件へ行ってくれ」
エドワード様が声をかけ馬車が走り始めます。
「物件はどの様なものなのです?」
「お手紙にも書きましたが、二つは商家が手狭になったからと売りに出している屋敷です。土地の広さは十分ですので改築して伯爵家に相応しい建物にすれば使えると思います。 もう一つは南部閥の伯爵家が保有していたタウンハウスで、現在は王都の商家が所有している物件です」
「まぁ元が伯爵家のタウンハウスですの?」
「はい、マウントバッテン伯爵家が持っていたものです」
あぁあそこか……南部閥だけどアイリンガム侯爵家と揉めて資金繰りが厳しくなったのかな?
ちょっとそこは候補から外しておこう。
いくら同じ派閥でも居ぬきではいるのはちょっとだ。
結果的に2件目に見た商家の屋敷を候補としてお父様に伝えることにした。
土地の広さもちょうどよく、L字型の屋敷は中庭をどの部屋からでも見られるのがよい。
私は魔法練習場を必要としない攻撃魔法だから、庭は最大限有効活用できる。
王都にタウンハウスを構えるとなれば、各領地のタウンハウスに住む代理との社交は必要となるので、こういった場所は茶会を開くのに都合がいい。
間取りそのものは悪くないので、伯爵家に相応しくリフォームしてもらえば問題ないだろう。
「エドワード様、良い物件が見つかってよかったです」
「ここが私たちの家になるのか……何とも考え深いね。どうだい?この後お茶でもしないか?」
「はい、お付き合いいたします」
本来の目的も果たせたので、残った時間はエドワード様との交流に当てる。
まだ、婚約したばかりで互いのことを理解しているわけじゃないから、こういう時間は必要だよね。
この日はなかなか楽しい一日を過ごせました。




