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20xx年、エイリアンズゲートにて。  作者: しゃこじろー


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6

 入国検査という名の診断も終わり、俺と四方

さんは、エイリアンズ・ゲートの入り口らしき場所に立っていた。


 ここは、遠目に見える未来都市と比べると、あまりに殺風景な場所であり、密入国でもしている様な気分になった。


 そんな中、隣では四方さんがしきりに時計を気にする様子を見せており、苛々と指で拍子をとっていた。


 まるで、誰かを待っている様な四方さん見つめていると、彼女は俺の視線に気付き、にっこり微笑みかけてきた。


 つくづく、感情表現が上手な人だ。


「ん、どうかしたのココ君?」

「いえ、誰か待ってるのかなと思いまして」


「あぁ、うん、あなたの世話役を待っているん

 だけど、全然来ないの」

「世話役?」


 もしや、メイドさんみたいな人が俺の面倒を

見てくれたりするのだろうか?


「といっても、メイドさんの様な可憐なものじ

 ゃなくて、ただのパシリよ」

「あ、あぁ、パシリですか、それは残念です」


 あぁ、妄想というのは儚いものだな。


「あら、ココ君はメイドさんが欲しかった

 の?」

「いや、そんな事は言ってないですけど」


 そう、一言も言ってないが、頭の端っこではそんな人が来ないものかと思っていた。


 それにしても、どうしてこの人に見透かされ

たのだろう。

 まさか、四方さんもルミナリアンで、特別な力の持ち主だったりするのだろうか?


「うーん、まぁ、ココ君が欲しいっていうなら

 メイドをつけてもいいけど、どうする?」

「いや、一人のほうが気が楽ですから」


「そう、あなたにならつけてもかまわないとは

 思うけど、まぁ、メイドについてはまた考え 

 とくわ」

「あの、別にいらないですし、考えなくていい

 ですから」


「そう、じゃあ一人暮らしね」

「はい、楽しみです」


 そうだ、これまでは婆ちゃんとエミリと三人暮らしだったから、色々と我慢しないといけなかったが、これからは1人だ。

 

 そう思うと、なんだかポジティブな気分になってきた。


「でも、寂しくなったら連絡してね、いつでも

 遊びに行くから」

「いや、今日会ったばかりの人に、そんな事を

 言いませんよ」


「残念、ココ君の家に遊びにいきたかったな」

「からかわないでください、それより、俺はこ

 れからどうなるんですか?」

「それはね、これから来るパシリが教えてくれ

 るわ、そして私は本気よココ君」

「……ははっ」


 一体、何が本気なのかは、できる限り考えない様にしないといけないだろう。


 そうこうしていると、遠くの方から一人の人が手を振りながら俺達のもとへとやってきた。


 その姿に、待ち人来たりといった様子で四方

さんは安堵の表情を見せた。


 やってきた人は、スーツ姿でポニーテールを尻尾の様に振り乱して走ってきた。


 おそらく女性と思われるその人は、走りつか

れたのか、フラフラとした様子で俺達のもとへとたどり着いた。


 すると、四方さんは一目散にそのスーツの女

性に詰め寄った。


「先生、遅いですよっ!!」


 どうやら待ち合わせていた人で間違いないの

か、四方さんはポニーテールの女性を【先生】と呼び、たしなめるかの様に声をあげた。


 しかし、四方さんの声に、まるで反応しない

様子のポニーテールの女性。

 彼女は、息を切らしながら膝に手をついており、しばらく息を整えた後、ようやく顔を上げた。


「す、すみませぇん、少し道に迷ってしまいま

 してぇ」

「またですね先生、いい加減ここに慣れなさい

 と言っているでしょう?」


「す、すみませぇん」

「謝ればいいってものじゃないの、これで何度

 目だと思ってるのっ」


 そうして説教タイムが始まった所で、俺は仲

裁もかねて、ようやく現れた先生の事について尋ねてみることにした。


「あの、四方さん?」

「え、どうしたのココ君?」


「この人は誰ですか?」

「あぁ、彼女はね」


 今まさに、四方さんが説明を始めるところに

ポニーテールの女性が、まるで「待てっ」と言わんばかりに手を突き出してきた。


 そんな、突然の行動に四方さんは驚いた様子

をみせていたが、すぐにため息をついて「やれやれ」といった様子で首を横に振った。


 そして、手を突き出したポニーテールの女性 は、ようやく息を整え終えたのか、胸に当てていたもう片方の手をおろすと、ゆっくりと体を起こした。


 銀縁眼鏡にパッチリおめめ、四方先生が美人

だとすれば、この人は可愛い系だ。


「私は、舞子まいこ 花子はなこと申し

 ます、職業は教師をやっています、よろしく

 おねがいしますっ」


 元気よく自己紹介した舞子先生は真面目な表情でそういった。


 遅刻しておいて、よくもまぁ、そんな事が言

えるものだ思っていると、舞子先生は俺に駆け寄って握手してきた。


 すると、水分を感じられるほど濡れた手で握

手され、俺は思わずその手を離そうとした。


 だが、それを舞子先生が許してはくれず、がっちりとつかんだ状態を維持させられた。


「あ、あはは……」


 そんな、状況の中、思わず笑いを漏らすと舞

子先生は不思議そうに俺を見つめてきた。


 どうやら、自分がとんでもない量の手汗をか

いているのに気づいていないようだ。


 いや、それとも何も考えていないのか?


「あれ、どうしたんですかココ君?」

「いえ、何にもないですよ舞子先生」


「そうですか」

「は、はい」


 すると、舞子先生はようやく俺の手を離し

てくれた。


 俺は、びしょびしょに濡れた手を太陽にかざ

すと、手のひらに残った水滴がキラキラと輝いて綺麗だったが、これは舞子先生の汗だ。


 いや、今はそんな事よりも舞子先生がどうし

て俺の名前を知っているのかが気になった。


「えっと、舞子先生はなんで俺の名前知ってる

 んですか?」

「もちろん知っているに決まってるじゃないで

 すか、猫宮ココ君」

「ちなみに、どうしてですか?」


 質問しておいてなんだが、俺はなんとなくこの先の言葉がわかるような気がした。


 しかし、そんなネガティブが許されるわけもなく、すぐさま脳内では事前に名前を聞いていたとか、四方さんから聞いていたとか、そんな普通の妄想が広がった。


「それはもう、世にも珍しい【後天性突然変異

 型ルミナリアン】だと聞いていますからね」


 どうやら、この呪いの呼称からは逃れること

はできないようだ。


「舞子先生、その呼び方はちょっと、どうなん

 でしょうか?」

「ふふん、なめてもらっちゃあ困りますよココ

 君、私は何でも知っているんですよ」


 そんな、どや顔の舞子教諭の頭を四方さんが

ポンと書類で叩いた。

 すると、舞子先生はその衝撃で眼鏡をずりおとした。


「あてっ、何するんですか四方さん」

「こら、教師であるあなたがそんなな態度でど

 うするんですか。

 教師たるもの、礼節をわきまえて、子ども達

 の模範となる行動をとりなさい」


「あぅっ、すみません四方さん」

「わかればよろしい」

「は、はいぃ」


 どうやら、四方さんには弱い様子の舞子先生は、しゅんとした様子をみせると、ずり落ちた眼鏡姿のまま俺に頭を下げた。


 そして四方さんは、手に持っている書類を舞

子先生に手渡した。

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