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20xx年、エイリアンズゲートにて。  作者: しゃこじろー


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5

 部屋の中には椅子が一つと、それに寄り添う様に置かれた謎の機械があった。


 すると、四方さんはその一つしかない椅子に座る様に促してきた。


 俺は指示通りは椅子に座り、周囲を見渡してみた。

 すると、正面に大きなガラスが張られている事に気付いた。


 そして、そのガラスを隔てた先には、まるで俺を観察するかの様に、一人の白衣を着た女性が、じっと俺を見つめていた。


 なるほど、動物園の動物はこういう気分なのか、これは、なかなか気分が悪い。


 そう思いながら、俺も正面の女研究者を見つめていると、彼女は突然その身を隠した。


 その、相当な慌てぶりに、近くに置かれていたであろう紙やら、なんやらが舞い上がっている様子が伺えた。


「だ、大丈夫なんですかね?」

「え、なにがぁ?」


 四方さんは、不思議そうに俺の顔を覗き込んできた。

 そして、そんな彼女の手には細い電線の様なものが絡みついていた。


「いや、何でもないんですけど、そのごっちゃ

 になった電線はなんですか?」

「あぁ、これからテストをしようと思ってるん 

 だけど、これがなかなか厄介でね」


 四方さんは必死に腕に絡みついたコードをほどいていた。


「ところでテストってなんですか?」

「入国審査みたいなものよ、あなたに【異次元

 光子生命体】通称【ルミナス】が宿っている

 かどうかのテストね、よし、あともう少しで

 解けるわよ」


「は、はぁ……」

「ちなみに、ルミナスについて知ってる?」


「あぁ、なんとなくですけど、知ってます」

「異なる次元から訪れた光の生命体、それは今

 や万物にとって欠かせない存在であり、世界

 をさらに加速させる存在、それがルミナス」


 そう言って、笑顔をみせる四方さん。


 しかし、その笑顔が、最近見たホラー映画に出てくるマッドサイエンティストにそっくりだった。


「ち、ちなみにですけど、そのルミナスっての

 が無かった場合はどうなるんですか?」

「勿論、強制送還よ、ここはあくまでもルミナ

 リアンのための場所だからね、へへへ、ほど

 けたわよぉ、ココく~ん」


 その笑顔は、やっぱり恐怖を掻き立てるモノに見えてしまった。


「へ、へぇ、強制送還ですか」

「心配しなくても、ここに来る前に病院側から

 の報告を受けてるから強制送還はないわ、た

 ぶんね」


「え、たぶんですか?」

「あぁ、いやいや何でもない、ほら心配しない

 で、すぐに終わるから」


 そういうと、四方さんは俺の抱きしめるかの様に腕を回してきた。


 そして視界に広がる四方さんの胸元。


 俺はそんな光景にたまらず目をつむった。


 布がすれる音と、四方さんのなまめかしい吐息、さらには脳がとろけそうな、甘くて良い香り。


 いつまでもこうしていたい。

 

 だが、同時に恥ずかしさから、早く終わってほしくもあった。


 すると、ようやく機械を取り付け終えた様子の四方さんが声をあげた。


「さてと、じゃあ、始めるわね」


 そう言って、四方教授は部屋を出た。


 部屋の一人取り残されると、妙に不安な気持ちがあふれ出し、今にもこの部屋を飛び出したくなった。


 ただ、四方さんの残り香が俺を少しだけ安心させてくれた。


 そして、今度は正面の大きなガラス越しの部屋、女性研究員らしき人物がいる部屋に四方さんが現れた。


 二人は何やら俺のことを見たり、あっちこっ

ちに目をやっている様子を見せながら、パクパクと口を動かしている様子が見えた。


 二人の表情は、先ほどまでの気の抜けたもの

ではなく、それこそ、研究者の様な目をしていた。


 そんな、研究者モードの二人の会話がしばら

く続いた頃、四方さんが突然俺に笑顔を見せてきた。


 そして、彼女は部屋を出て再び俺のもとへと

やってきた。


 勢いよく扉が開かれると四方さんはニコニコ

と笑いながら俺のもとにやってきた。


「な、何ですか?」

「合格よ」


 そうして、四方さんはなぜか俺に向かってピースして見せた。


「それで、俺は合格なんですか?」

「勿論よ、ありがとうココくん、テストはもう

 終わり」


 なんともあっさり終わるものだ、こんな事で

わかるものなのだろうか?


「もういいんですか?」

「えぇ、あなたにはルミナスがちゃんと宿って

 いたわ」


「そんな、すぐわかるものなんですか?」

「えぇ、簡単に言うと、あなたの体内はルミナ

 スで満たされていて、時間や肉体の制限から

 解放された状態にあるの」


「そ、そうですか……」

「もう少し詳しく説明しようか?」


「いえいえ、十分です」

「そう?」


「も、もちろんですとも」

「そうよ、じゃああらためて歓迎するわね、よ

 うこそエイリアンズ・ゲートへ、ココ君」


 四方さんは歓迎のつもりか、拍手で俺を迎え

入れてくれた。


 まぁ、歓迎されること自体は嫌な気分ではな

かったし、むしろ、歓迎されている事に驚きと感動を覚えていた。


「あら、あまりうれしそうじゃないのね」

「いや、なんというかその、なんでこんな事に

 なってんのかなって思ってて」


「そうよね、いきなりだったものね」

「はい」


「でも大丈夫よ、エイリアンズ・ゲートにはあ

 なたと近い年の子達ばかりだから、上手くや

 っていけるわよ」

「そうですかね?」


「そうよ、だからそんなに気負わなくても今ま

 で通り過ごしていけばいい、ちょっとばかり

 環境は変わっちゃうけどね」

「はい、わかりました」

「大丈夫よ、安心しなさいココ君、あなたはこ

 れから、ちょっと変わった普通の高校生にな

 るだけ」


 四方さんはそう言って、笑顔で俺の肩に手をおいてきた。

 その笑顔がなんとも安心できる朗らかな笑顔

であり、そして、普通の高校生でいいという言葉に、何よりの安心を覚えた。


「そ、そうですよね、俺は普通の高校生でいい

 んですよね」

「そうよ、私たちもココ君のサポートをするか

 ら、安心して青春を謳歌するのよ」


「はいっ、ありがとうございますっ」

「うむうむ、素直な子はかわゆいのぉ」

 

 そう言って四方さんは俺の頭を撫でてきた。

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