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「これはココ君の資料です、大切にしてくださ
いね」
俺の資料だって?
そうだな、ぜひとも、その資料を俺に見せて
はくれないのだろうか?
そして、おそらくそこに書かれているだろう【後天性突然変異型ルミナリアン】という記載
を塗りつぶしたい。
「はい、責任をもって大切にします」
「えぇ、じゃあ彼の事をよろしくお願いします
ね、先生」
「はい、責任をもってご案内をいたします」
「えぇ、それじゃあ、エイリアンズ・ゲートを
楽しんでねココ君」
楽しんで、という言葉を残して、四方さんは
手を振りながらその場を離れていった。
残された俺と舞子先生は、互いに四方さんを
見送った。
すると、舞子先生はようやく、ずり落ちていた眼鏡をあげて、にこりと笑った。
その笑顔は強張っている様に見えたが、舞子
先生も、初対面の俺を相手に緊張をしているのかもしれない。
「それではココ君、行きましょうか」
「え、はい」
いわれるがまま、俺は舞子先生についていっ
た。
その道中、沈黙に耐えられなかった俺は思わず舞子先生に話しかけた。
「ところで先生、俺はこれからどこに行くんで
すか?」
「そうですね、まずはココ君の拠点となる寮に
向かいたいと思います。
ココ君には今日からそこで生活してもらうこ
とになりますからね」
「なるほど、それは重要ですね」
「はい、ですので迷子にならないようについて
きてくださいね」
そうして、舞子先生によるエイリアンズ・ゲ
ートの案内が始まった。
まずは、俺の拠点となる寮への案内をするらしいが、その道中、この場所の説明を色々と聞かせてくれた。
まず、この【エイリアンズ・ゲート】は、主に【ルミナリアン】が生活するための場所だと言う事。
そして、この場所では教育というものが根底にあり、学校教育に力を入れているという事。
その理由として、ルミナリアンは人智を越えた強い力を持っており、その力を暴走させない為に、最低限の知性と理性を身につける必要がある、と、舞子先生は語っていた。
ちなみに、教育と同時にルミナリアンの研究が盛んに行われているらしいが、これの具体的な目的について舞子先生は深く喋ってはくれなかった。
それから、このエイリアンズ・ゲートには所謂普通の人間。
つまり【異次元光子生命体】を宿していない人間も住んでいて、更に、人工知能を搭載したヒューマノイドと共生もしている。
そして、ヒューマノイドの説明の際、舞子先生は立ち止まって俺に話しかけてきた。
「そうそう、ココ君はヒューマノイドについて
はどれくらい知ってますか?」
「そうですね、人類を滅亡させようとする、怖
いロボットですか?」
「あら、随分とステレオタイプな印象ですね、
一体どこでそんな情報を聞いたんですか?」
「いや、正直な話あまり興味がなくて、でも、
そういう噂は耳にしたので」
「そうですか、ちなみに私はその怖~いヒュー
マノイドなんですよぉ?」
「えっ!?」
突然の告白に思わず思考が停止した。
そして、俺は舞子先生の姿を上から下まで凝視した。
すると、舞子先生が恥ずかしそうに声をあげた。
「ちょっとココ君、そんなに見られると恥ずか
しいですよ」
「すみません、でも先生がヒューマノイドなん
て信じられません……それから、失礼な事
を言ってすみません」
「え、何の事ですか?」
「いや、人類滅亡を企む怖いロボットとか言っ
てしまったので」
「あぁ、気にしていませんよ、それに我々が人
類を滅亡させるなんて、絶対にあり得ませ
ん」
「我々というのは?」
「私も含む、人工知能全般の事ですよ」
「なるほど」
「かつては、一部の支配者だけが保身のため、
多くの人類を見殺しにしようとしましたが、
我々は人類と共に友和の道を選んだのです」
そうして、まっすぐな目で返事を返してきた舞子先生に、俺はどこか安心した。
そうだ、こうして思わず安心してしまうほどに舞子先生は人間味が溢れている。
ヒューマノイドだなんて、微塵も思えない。
「それにしても先生、汗とか表情とか、全てが
人間そのものですね」
「えぇ、私がそれを希望しましたからね、それ
に、その方がルミナスとの親和性が高いんで
すよ」
「へ、へぇ~……親和性ねぇ」
聞いては見たものの、なんだか良くわからない話になってきた。
しかし、そんな俺をよそに舞子先生は話を続けた。
「ちなみに、ここではヒューマノイドではなく【ルミナイド】と呼ばれているんですよ」
「ルミナイド?」
「えぇ、ルミナスとヒューマノイドが融合した
ので、ルミナイドです」
「……すみません、なんだか、頭が混乱して
きそうです」
「あら、少し詰め込みすぎましたかね?」
「は、はい……」
「では、しばらくは無言で歩きましょう」
そうして、俺達は少しブレイクタイムを挟みながらエイリアンズ・ゲートの中心地へと向かった。




