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20xx年、エイリアンズゲートにて。  作者: しゃこじろー


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2

 エミリが静かになった所で、車内では再びアイドルソングが聞こえ始めた。

 

 小太りの運転手は、相変わらず指でリズムを取りながらご機嫌に運転している。


 彼の世界では、俺達が騒いでいようが、何しようが、アイドルソングの事で頭が一杯なのだろう。


 ともあれ、俺達を乗せたタクシーは渋滞どころか、右も左も前も後ろも。

 他の車が通る事の無い道路を、快調に飛ばしており、気持ちが良い位に突き抜けていた。


 まるで、貸し切り道路とでもいうべき状況の

中、フロントガラスから見えたのは、目的地である【エイリアンズ・ゲート】の景色だった。


 その景色は、多くの高層ビルが立ち並んだ光景だった。


 そして、その中でも一番高い建造物には目を

見張るものがあった。


 まるで、巨大なUFOを乗っけた様な高層タワーであり、俺はそのタワーから目を離す事が出来なかった。


 もしかしたら、あのタワーの頂点にはこの星を管理する宇宙人がいるのだろうか……?


 なんて妄想はさておき、パンフレットで見た未来都市の光景は車内からは確認できない。

 つまり、ここから見えるのは、よくある都会の光景にしか見えなかった。


「うーん、なんか普通に都会って感じだなぁ」


 そして、思わずでた言葉に、エミリがすかさず俺に詰めよってきた。


 そんな動きに、今度は引っ付かれない様に押し返そうとした。


 だが、その手がエミリの大きく柔らかそうな胸へと触れそうになった。 


「うわっ!!」


 俺はすぐさま両手を上げた。


 そして、何もされていないというのに、さながらホールドアップ状態にさせられた。

 どうやら、女性は武器をもたずして男を無力化させる事が出来るらしい。


「な、なんだよエミリ」

「あのねぇ、あの場所は地球上で最も宇宙に近

 い場所よ、しかも新人類の【ルミナリアン】

 で溢れてる。

 それを、ただの都会だなんて、私が渡したパ

 ンフレットをちゃんと読んだの?」


 そうだな、その読みたかったパンフレットは、あなたによって奪われたのですが?


「……」

「ねぇ、ちょっと聞いてるの、ココ?」


 俺は、無言の圧をかけながら、エミリとその

側にあるパンフレットを交互に見ていると、彼女は俺にデコピンをかましてきた。


「いでっ!!」


 エミリの長い指から放たれたデコピンは、そ

れ相応の痛みを与えてきた。


 ジンジンと痛む額を抑えつつ、お陰で変な気持ちが吹き飛び、目が冴えてきた。


「いきなり何すんだっ、痛いだろ、骨が折れる

 かと思ったぞっ」

「はぁ?あんたの骨が折れるわけないし、ちゃ

 んと聞いて、わかった?」


「あぁ、はいはい【ルミナリアン】ね、ニュー

 スで聞いた事あるよ」

「そう、ルミナリアンよル・ミ・ナ・リ・ア・

 ン、覚えた?」

「わ、わかってるっての、何度も言うなよ」


 【ルミナリアン】


 それは、これまでの常識をぶち壊し、超自然的な能力を扱う人々の総称だ。

 そして彼らは、あのエイリアンズ・ゲートという場所を拠点にしている。


 まぁ、いわば特権階級の様な存在だろう。


「でもエミリ、それにしたってこの状況はおか

 しいだろ?」

「え、何がおかしいの?」


「何度も言うが、俺は病院のベッドの上だった 

 はずだ」

「そうね、大変だったわね」


「そうだ、で、そんな俺がどうしてここにいる

 んだ?」

「無論、あなたがここで【ルミナリアン】とし

 て迎え入れられる事になったからよ、もう少

 し喜ぶべきだと思うけど?」


「待て、ルミナリアンってのは先天的なものな

 んだろ?

 それが、どうして15歳にもなって呼び出され

 るんだよ」

「あら、パンフレットも読んでないのによくわ

 かってるじゃない」


「なぁ、これは何かの手違いなんだろ?」

「うーん、そうでもないわよ」


「なんだよ、どういう意味だ?」

「先天的でない、それはつまり、あなたは世に

 も珍しい【後天性突然変異型ルミナリアン】

 って事になるのよ」

「……そ、その言葉は」


 エミリは、さも素晴らしい事の様に言った。


 だが、そんなエミリとは裏腹に、俺の心は墨

で塗りつぶされていく様に暗くなった。


 思えば、目覚めた時からずっとエミリに言われ続けている。

 【後天性突然変異型ルミナリアン】という言葉。


 この言葉が、俺の頭にこびりつき、まるでメ

リーゴーランドの様にグルグルと脳内を回り続けていた。


 そして、それはここ最近の俺を最もネガティブにしてくる嫌な言葉だった。


 だから、すぐさま反論することにした。


「なぁ、人を化け物みたいに言うのをやめてく

 れないか?」

「え、どうして?」


「どうしても何も、俺は普通の人間だ、そんな

 言い方は良くない」

「普通の人間?ココがぁ?」


「そうそう、俺は普通の人間だろ?」

「いや、違うにきまってるじゃない」


 エミリは呆れた様子でそう言った。

 

「ど、ド直球だな……」

「そりゃそうよ、本当ならあの治安が悪い場所

 で、治安の悪い高校へ行く予定だったけど、

 あなたが特別だから、こうして【エイリアン

 ズ・ゲート】に向かっているのよ」


「だから、俺はその事について同意したわけで

 もなんでもないだろっ!!」

「これは、あなたのおばあちゃんからの命令な

 のよ、だから私は絶対にあなたを送り届ける

 のっ!!」


「いや、だからと言ってなぁっ!!」

「だから何?あんたは保護が必要な15才のガ

 キなんだから、大人の言う事を聞きなさい

 よっ!!」

「んぐ、ガキって……」


 次なる言葉が出てこない俺は、その場で黙り

 こくるとエミリは満足げな顔をした。

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