8/39
高校受験とピアノ
中学3年で優弥はピアノをやめた。ピアノに対して、本気になったふりをしたのは、母親を満足させるためで、自分の満足ではなかった。
ピアノの同じコンクールに優弥も美優も出た。
優弥が本気になったふりをしてから、美優の練習量は明らかに減っていた。
優弥のほうが本選まで残った。
「おめでとう。本選頑張って」
美優は優弥に言った。でも、優弥の目は見ていなかった。
本選で入賞したわけでもなかった。次のコンクールに向けてまた頑張りましょうと母親と先生は言ったが、もうできなかった。
美優からピアノを奪ったような気がして・・・
美優はピアノを続けた。優弥がやめてから、練習量が少しだけ増えた。受験生だから、そんなものだろう。
美優は自分や三山知世と同じ高校を受験することに決めたらしい。
何か、自分を嫌がっているから、てっきり他の高校を受けるつもりなのかと思っていた。
三山からの熱い視線は3年になり同じクラスになってから、嫌でも感じる。
そして、三山が家にやってきたとき鉢合わせになり、美優が自分に送る冷たい視線も・・・




