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卒業式
3月初旬、桃の花が女の子の節句に彩りを添えるなか、知世、優弥、美優の卒業式が執り行われた。
次期生徒会長からの送辞を受け、優弥は答辞を読み上げる。
優弥ファンの2年生女子も3年生女子も思わずすすり泣く。知世もその一人だった。
美優は卒業ソングのピアノの伴奏をしていた。少し青白い顔をしているのが、優弥の目に入り、緊張している美優を優弥は思いやった。美優は前日まで風邪で調子を崩していた。
泣きながら歌い上げ、美優も伴奏を難なくこなし、着席した。
セレモニーが終わり、クラス写真撮影、クラスに戻って担任からのお祝いの言葉、一通り済んで、友達との別れを惜しみながら帰っていく。なかなか帰途につかない生徒も少なからずいた。
知世は美優を探していた。翌日、受験する高校に行く時間を決めていなかった。
美優は帰ってしまったのだろうか、別れを惜しむ美優のクラスメートの中にはいない。
女子生徒を引き連れてかのように歩く優弥とばったり会った。
「美優は帰ったの?」
「ごめん、俺も美優を探してた。帰ったのかよくわからないんだ」
女子生徒たちが知世をにらみつける。
これだけ、女子生徒にもみくちゃにされている光景を見ると、惹かれていた優弥のことなんかもうどうでもいいような気がしてきた。




