母の思い
美優は母にも手紙を出した。
お母さんへ
お母さん、元気ですか?
私は元気にしています。
今は、昼間はB語を学びに学校に行っています。帰ってきたら、ステファニーの子供たちにB語を教えてもらっている感じです。
来年、新しい高校に入るようにお父さんと音楽を続けられる高校を探しています。
ほとんどパンやビーンズなので、あまりお米を食べることがありません。お母さんが作ってくれたご飯が懐かしいです。
お母さんの肉じゃがやすき焼き、ハヤシライスやカレーライスが食べたいなと思い、お母さんや優弥を思い出します。
お母さん、いつか私が音楽で恩返しができるようになったとき、お母さんのご飯を食べに帰ります。
それまで、お母さん、おじいちゃん、優弥と仲良く元気でいてください。
美優より
美優がB国へ旅たち一カ月、美優を思うと、母は泣かない日はなかった。
美優が父と母と疎遠になり、心を痛めているのもわかっていたし、音楽を続けたいのもわかっていた。しかしそれ以上に、父しか知り合いがいないB国に、そして、年に1回も会っていなかった父のところに行くことを美優が決断したのは、生活力のない自分に負担をかけまいとした美優の母への思いやりだと痛いほどわかっていた。
「美優、子供に気をつかわせる親なんて親じゃないよね」
「美優ごめん」
祖母が亡くなってから、祖父のお茶屋さんを手伝ってきたが、顧客も年々減り、お茶自体、自動販売機で売っている時代なので、店は危うい状況だった。
もっと早くから自立するようにしておくべきだったと美優がいなくなってからは反省しきりだった。




