第八話:これはダメだ
家に帰れば、いつも誰もいない。
広すぎるこの一軒家で、私は何時も一人だった。
帰りを待ったことなんてないし、ご飯を一緒に食べたことなんて一度もない。
あ、いや。一度あった。
外食に行った時だ。
その時は、お高いセレブがよく行く、美味しいと評判のお店に家族全員で行ったのだ。
全然嬉しくなかった。
母が作ってくれるんじゃないかと、密かに期待して、勝手に落胆して、一気に冷めた。
大して美味しくもない食事を30分間。
はっきり言って苦痛だった。
マナーを守らなきゃいけないし、堅苦しい格好で両親の顔色を窺いながらコース料理を食べる。
ああ、勉強にはなったわね。
社会勉強。
世一君には言えないけど、世一君が作ってくれたもののほうが何倍も美味しくて、生まれてきたなかで一番美味しいご飯だった。
───
「…家に家族がいないの。朝になっても」
……予想よりも遥かに重いな。
寂しがって仕方のない内容だ。
俺にも理解できるとは口が裂けても言えやしない。
実際思わない。
俺は恵まれていると言えるから。
「…」
さて…、どうするのが、正解か。
今だってあまり家に帰ってはいないそうだし、帰るのだって朝のみ。
そう考えると、滅茶苦茶不健全だなおい。
一旦考えない様にするか。
…一番いいのは、同棲できるようにすることだな。
個人的にはあれだが…。
後は七瀬の両親が難しい。
会ったことがない。七瀬自身もあまり会わないというのが、その難易度を爆上げさせている。
はっきり言って、放任すぎる。
高校生になれて、俺に会えたのは、奇跡じゃないか?
例えば家出して、変な奴に捕まって、今頃死んでても全然あり得る未来だったぞ?
ここで俺が突き放す選択肢はない。
「お金はどうしてるんだ?」
「帰ったら一万円が置かれてるだけ」
ああ……。
「毎日か?」
「…、うん」
最低だな。
かなり駆け足ですが……短編なので許してぇ!




