第三話:喫茶店にて
バイト先のカフェ。
静かな空間。
日の光が差し込むこの空間は、まるで別世界に隔離されたかのようで、優越感が膨れ上がる。
「よー君、よー君。
君って、彼女いないの?」
一気に現実に引き戻されるが、この人と話すのは、余計な気を使わなくていいため、特に嫌な気持ちにはならない。
俺をよー君と呼ぶこの人はこのカフェの店長で、雨霧優子さん。
母の姉の夫、雅史さんの妹、優子さんだ。
歳は俺の5歳上。
俺が16だから、21歳だな。
このお店は雅史さんと優子さんの祖父が経営していたお店らしく、優子さんが引き継いだらしい。
元々は古めかしい古風なお店だったが、祖父が亡くなる前に、好きにしていいとのことで、改装して今のようになったそうだ。
「彼女はいませんね」
変なのはいるが。
「『は』ってことは、気になる子はいるんだ?」
「気になるというか…、無理やり気にさせられてるといいますかね…」
あれは気にならざるを得んでしょう。
「え!?あっちから来てるってこと!?
なのに付き合ってないの!?
勿体ないよ〜?」
「優子さんにだけは言われたくありません」
この人、幼馴染から猛アピールされてた上に、その気持ちに気づいていて、尚且つ、満更でも無かった癖に振ったんだよな。
「まぁ、私はいいのよ私は。
で?なんで付き合わないの?」
…まぁ。
「こっちから告白したら、多分一発で付き合えますよ。
なんなら多分、童貞捨てれますね」
「…え?よー君、やば。
え?そんなに進んでんの?」
「まぁ、あれで気づかない人間は流石にいないですね」
「ん〜…。だからなんで付き合わないの?」
「しつこいですね?そんなに知りたいんですか?」
「知りたーー」
ピロロン。
助かった。来店だ。
「いらっしゃいま…せ………まじか」
「いらっしゃいませ〜。…ん?あれ?よー君?どしたん?」
「いえ。すみません。すぐ行きます」
なんでここに来んねん。教えてないのに来るなんてストーカーかよ。
どうやって知った?尾けてないのは確認した。
ここで働いていることを知っているのは……ああ、先生か。
あの女、やりやがったな。
まぁいい。
「お席にご案内致します。
ご注文が決まりましたら、お呼びください。
それではごゆるりと、午後の時間をお過ごしください」
お決まりのセリフを告げて、優子さんのところへ戻る。
「ねぇねぇ…!あの子、すごい綺麗な子じゃない!?(小声)」
「ええそうですね。見崎七瀬は学校一美人とも言われていますから」
「…知りあいなの!?(小声)」
「その話は後でします。今は静かにしていてください」
「い、いつになく辛辣だなぁ…」




