第二話:私
男子高生。気だるげ。窓際の一番後ろ。
ラブコメの主人公のような男の子。
特徴的な所なんてない。普通の人。
授業中はずっと寝ていると、クラスの人に言われている。
私の席から見ることができないから、事実かは分からないけれど。
そんなあの人は…なぜか学年順位、上位をキープしている。
帰宅部なのになぜか運動神経もよく、料理もできて、部屋はいつも綺麗。
いつも、料理の時に着る、緑のエプロンには猫の刺繍が縫われていて可愛い。
彼は私のことをどう思っているのだろう。
こんなにアピールしているのに、未だに表情が動かない。
告白だって、何度もされてきた。私の容姿は一般的に見て整っているはず…。
なのに、なぜ?なぜ襲ってこないの?
ここまで密着しているのに。
…花芽世一君は、もう既に枯れているのかしら…?
少し、自信をなくしてしまいそうだ。
「また来るね…。世一君…」
♪♪♪
「見崎七瀬。一つ聞いてもいいか?」
私は何故か、授業終わりに職員室へと呼び出されて、この笠原高嶺先生に呼ばれていた。
「なんでしょうか?」
「…お前は花芽世一が好きなのか?」
「好きですね」
「直球だな…」
「先生はなぜご存じで?」
「何となくだ」
おかしい。私は学校では細心の注意を払って行動していた。
本人から聞いたのか…?
「世一君は、何と…?」
「…サラリと推理するな。まぁ、なんだ…。頑張れ」
あ、やばい。挫けそう…。
「…用がないなら帰ります」
「まてまて!私が悪かった!(こいつら!揃いも揃って難しすぎだろ!)
えぇっとな?少なくとも悪い印象は抱いてない、と思うぞ?」
「そうですか…。」
「そういえば七瀬は知ってるか?」
「?」
「その様子じゃ知らないのか…?
アイツバイトしてるんだよな」
「!?なんですかそれ」
「お、おまえ!せんせいの襟を掴むな!!」
「知らないです!何処ですか!何処でバイトを!?」
「わかった!わかったから離せ!!」
通りで休日と、水曜日は家にいない訳だ…。
いつも不思議に思っていたのだ…。
一体何処に行っているのだろうと…。
「駅前の喫茶店で働いてる。
その、行ってみたらどうだ」
「情報感謝いたします」
「………」
聞いた瞬間、ここにいる必要はないとでも言いたげに去っていく七瀬に、高嶺は、思った。
先生の扱いが2人して酷くないか、と。
その日の職員室は、七瀬が青春していることにほんわかしているのと、その相手が世一であることに、難しい顔になるので、忙しかったそうな。




