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クールなアイツ  作者: 松茸
こんな日常
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12/14

第十二話:達成

「一つ聞いてもいいですか?」


「なんだ…?」


「何故、放置したんですか?

 こんなにも長く」


 かなりの時間が経過してから溜息を吐いて。


「…嫌われていると考えていた。

 さっきも言ったが仕事も忙しい。

 それに、いなくても問題ないと考えた。

 時間が経って、新菜も仕事に明け暮れている事に気づいた。

 離れていたほうが上手くいくと。

 その後はお見合い相手でも探して、とね」


「はぁ…、なんでもっと早く話し合わなかったんですか?

 ふざけてるんですか?」


「さっきも思っていたがもっと言い方を考えなさい。

 ……まぁ、私は言えないかもしれないが…」


「ほんと走って来て良かったですよ」


「…、見ればわかる。

 学校から、ここまではそれなりに距離がある。

 授業中に抜け出してきたんだろう?」


「マナーモードにはしてましたけどね。

 連絡をしてくる人物は、条件的に1人しかいません。

 あんな時間に連絡が来る。

 つまり、”何かあった”と考えるのが普通です」


「はぁ…、まったく。

 他人にそこまで動くことができるものか?」


「いいえ。七瀬だけです。

 それと七瀬の母、新菜さんと仰っていましたね?

 ちゃんと話し合ってください」


「彼女なら大丈夫だよ。

 私に対して一度も連絡してこないし、七瀬にも会ってないことは知っている。

 それよりも聞かせてくれ。


 君は七瀬が好きか?」


「…それは貴方には言えません。

 ただ、言っておきます。

 七瀬から来るのなら、私は拒みませんし、全力で相手すると」


「…そうか。それにしても、かなり準備してきたな…?」


「それなりには用意してましたよ。

 これもです。

 ちゃんと読んでください。

 この後、私の両親にも、話を付けます。

 やる事が山積みなので、できるだけ早くしてくださいね」


「…、覚書…?君はビジネスマンか、何かなのか…?」


「ビジネスはしたことありませんね」


ーーーー


「ふぅ…。ちょっとだけ緊張したな」


「……全然そうは見えなかったけど…?」


「するさ。

 言っても相手は大人だ。

 100%相手が悪くても、こちらにも非がある行為をするんだ。

 そういう時は何度やっても緊張する。

 失敗できないしな」


「…世一君」


「ん?」


「ありーー」


「ストップ。まだ終わってないぞ?

 そこから先は全て終わってからにしてくれ」


「……分かった」


ーーーー


「「………」」


「というわけだ。父さん、母さん。

 色々と準備は整ったから、後は引っ越しするだけ。

 父さんと母さんの許可さえくれれば、俺はーー」


「父さんはね。むしろね…。ありがたいかもね…。でも、父さんね。複雑かもしれない」


「母さんはね。滅茶苦茶うれしいけどね。

 でも母さんね。複雑だわ。ホントに」


「……す、すみません…」


「…?なんで七瀬が謝るんだ?」


 世一は静かに、内心でほっとしながら、手帳に達成の二文字を刻んだ。

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