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第19話「同行者」

19話目になります。

よろしくお願いします。

『世界から逃げる男』のショート映像をYouTubeでも公開しています。

本編とあわせて、映像でも世界観を楽しんでもらえたら嬉しいです。



「……違う」


高瀬がそう言った後、会議室にはしばらく誰の声もなかった。


壁際の空調が低く鳴り、廊下の向こうで台車の車輪が床の継ぎ目を越える音がした。机の上には十年前の記録が何枚も重なっている。その中で、相良の前に置かれた一枚だけが妙に白く見えた。


『久世君、相良刑事と五階階段前』


十五時五十七分。


そこに書かれている文字そのものは、何も変わっていない。


変わったのは、それを読む側だった。


透真は高瀬から視線を外さなかった。


「相良さんじゃなかった、っていうのは」


一度言葉を切る。


「僕がそう答えたんですか?」


高瀬はすぐには頷かなかった。


自分の記憶を、自分以外の人間へ渡すことを躊躇うように、両手を膝の上で重ね直した。


「……たぶん」


「たぶん?」


相良が低く返す。


「そこは分けましょう、高瀬さん。思い出してることと、今の俺たちの話から推測してること」


「分かってる」


高瀬は少しだけ眉を寄せた。


「だから、たぶんって言ってるの」


それから目を閉じる。


「私は、あなたに聞いた」


今度は透真へ向けられた言葉だった。


「『さっき、誰といた?』って」


「はい」


「あなたはすぐには答えなかった」


透真の目がわずかに細くなる。


相良も黙ったまま、高瀬の顔を見ている。


「どれくらいです?」


透真が聞いた。


「覚えてない。何秒とかじゃない。ただ……質問が分からなくて黙ってた感じじゃなかった」


「考えてた?」


「そうね」


高瀬はゆっくりと頷いた。


「聞き返しもしなかった。『誰のこと?』とも言わなかった。質問の意味は分かってたと思う」


アリスが机の上の紙へ視線を落とした。


「それで、答えた」


「ええ」


「相良さんではなかった」


高瀬の顔に迷いが戻る。


「そこが……記憶として少し変なの」


「どう変なんです?」


「相良さんの名前を言わなかった、という記憶じゃないの」


高瀬は言葉を探すように、視線を宙へ置いた。


「私が相良さんのことを出した気がする」


相良の眉が動いた。


「俺を?」


「たぶん、『刑事さんと一緒だったんでしょう』とか、『相良さんといたんじゃないの』とか……そういう確認をした」


「それに僕が?」


「否定した」


透真は机の縁から指を離した。


「はっきり?」


「……そこは、はっきりしてる」


高瀬は透真を見る。


「あなたは、違うって言った」


誰もその先を急がせなかった。


十年前の十五歳の少年が口にしたはずの答えは、そこから先だけ霧の中に残っている。


相良はしばらく高瀬を見ていたが、やがて小さく息を吐いた。


「ここまでだな」


高瀬が顔を上げる。


「何が?」


「記憶で追うのは」


相良は椅子へ深く座り直し、机の上に散らばった資料を一度全部見渡した。


「高瀬さんの中に残ってるのが事実だとしても、十年前だ。俺らがここで何回も同じ話をすればするほど、今聞いた言葉が昔の記憶に混ざる」


「でも」


「だから止めるんじゃない。別から確認する」


相良は十五時五十七分の記録を指先で叩いた。


「高瀬さんが本当に『相良じゃない誰か』を聞いたのか。久世が本当に俺以外の誰かを答えたのか。そこを、高瀬さんの頭の中以外から探す」


透真は相良の手元を見る。


「何があります?」


「あるかどうかも含めて探すんだよ」


「じゃあ」


透真は机の上に置かれた資料を数枚、自分の前へ引いた。


相良が視線だけを向ける。


「何してる」


「昨日からこの三つばっかり見てるので」


透真は十五時五十七分、十五時五十八分、十六時五分の記録を横一列へ並べた。


「時間順じゃなくて、作った側で分けた方が早くないですか」


相良の視線が、透真の手元から顔へ上がる。


「作った側?」


「旧棟の業者、病棟、投薬記録。全部別ですよね」


「そうだな」


「なら、同じ場所について別の側が書いたものを先に探した方がいい。旧棟の記録を旧棟の中だけで見ても、同じ人の見方しか残らないでしょう」


相良は数秒黙った。


隣でアリスが、ほんの少しだけ口元を緩める。


透真はそれに気づかず、別のファイルへ手を伸ばした。


「何です?」


相良が聞く。


「何が」


「急に仕事する気になった理由」


「早く終わらせたいので」


「昨日も似たようなこと言ってたな」


「便利な理由なので」


相良は鼻で息を吐いた。


「じゃあ働け」


「警察の給料出ます?」


「出るわけないだろ」


「なら労働じゃないですね」


「面倒くせえな、お前」


蘭が小さく笑った。


「でも、分け方は悪くないと思います」


「そういう褒め方すると調子乗るぞ」


「乗りませんよ」


透真は答えながら、すでに次の資料を開いていた。


相良は何も言わなかった。


ただ一度だけ、透真が自分から引き寄せたファイルへ目を落とした。


          *


十分ほど経った頃、アリスが椅子から立った。


「飲み物、買ってきます」


誰に許可を求めるでもない言い方だった。


高瀬が「私も何か」と言いかけたが、アリスは首を振る。


「大丈夫です。皆さんのも適当に見てきます」


「俺はコーヒー」


相良が即座に言った。


「さっき捨ててませんでした?」


「冷めた」


「寝た方がいいと思います」


「それは帰ってからだ」


蘭が紅茶を頼み、高瀬は水だけでいいと言った。


アリスは最後に透真を見る。


「透真さんは?」


「大丈夫です」


「分かりました」


それだけで、アリスは部屋を出ていった。


透真は資料から目を離さないまま、何枚かめくった。


旧棟の改修予定表。


業者入退館一覧。


作業区画表。


立入制限に関する院内通知。


どれも当時なら何の意味も持たなかった紙だろう。


事故も事件も起きなければ、保管期限を過ぎた時点で処分されていたかもしれない。


しかし十年前の火災と旧棟閉鎖が、その一部だけを不自然に現在まで残している。


「相良さん」


透真が言った。


「ん?」


「旧棟の業者って、病院の患者を見たら名前まで分かるんですか」


「普通は分からん」


「じゃあ、この『久世君』は?」


相良が身を寄せる。


透真が指していたのは、前話でも確認した改修業者の対応記録だった。


『久世君、相良刑事と五階階段前』


「誰かから聞いたんだろうな」


相良は答える。


「お前自身が名乗ったか、俺が呼んだか、病院職員が言ったか」


「ここを書いた人、僕と会話してます?」


「記録だけじゃ分からん」


透真は別紙を見た。


「でも、歩行状態まで書いてる」


『歩行にて移動。介助不要』

『右脚庇う様子なし』


「見てはいるな」


相良が言う。


「少なくとも、近いところにはいた」


「だったら、その人の他の記録」


透真は束の中から同じ会社名が印刷された紙を抜き出した。


「あるでしょう」


相良はそこで少しだけ表情を変えた。


「お前、昨日までだったらそこまでやったか?」


透真の指が一瞬止まる。


「昨日までの僕を毎日観察してたんですか」


「話を逸らすな」


「別に」


透真はまた紙をめくり始めた。


「自分のことなので」


それ以上は言わなかった。


相良も追及しなかった。


窓の外では午前の光が少し強くなり、ブラインドの隙間から細い線になって机へ落ちている。資料の紙面を横切る光が、古い鉛筆書きの濃淡だけを妙に際立たせていた。


しばらくして、アリスが戻ってきた。


相良の前にコーヒー。


蘭の前に紅茶。


高瀬の前に水。


最後に、透真の右手側へ無糖のコーヒーが置かれる。


「頼んでませんけど」


と言いかけて、透真は口を閉じた。


アリスはすでに自分の席へ戻っている。


透真はコーヒーを一度見て、そのまま蓋を開けた。


数ページ進んでから、ふと手が止まった。


「……」


アリスが気づく。


「どうしました?」


「いや」


透真は一口飲んだ。


「何でもないです」


昨日なら、たぶん一言くらい言った。


頼んでいない。


別にいらない。


自分で買う。


そういう言葉のどれかを。


今日は、飲んでから気づいた。


その事実の方が、コーヒーの味より少しだけ気になった。


「久世」


相良の声が飛ぶ。


「仕事しろ」


「給料出ないって言ったでしょう」


「じゃあ手伝え」


「表現変えただけですよね」


アリスの肩が小さく揺れた。



正午を少し過ぎる頃までに、明確な成果はなかった。


資料は増えたが、答えは増えない。


むしろ現実的な可能性だけが増えていった。


高瀬が十年前の相良を別の刑事と混同している可能性。


十五歳の透真が、何らかの理由で相良と一緒にいたことを否定した可能性。


質問そのものと、別の日の会話が高瀬の記憶の中で繋がっている可能性。


旧棟の作業記録と病棟側の記録に時刻差があり、前後関係そのものがずれている可能性。


相良は一つずつ紙に書き出し、その横へ確認できたものから線を引いていった。


「俺以外の刑事がいた可能性は?」


透真が聞く。


「確認した」


相良は勤務記録の複写を出す。


「当日、病院に警察関係者が来てたのは俺だけじゃない。ただし旧棟側に入った記録があるのは俺だけだ」


「入館記録に残ってないだけでは?」


「ある。だからゼロとは言わん」


「じゃあまだ残る」


「残る」


相良はあっさり認めた。


「お前が嘘をついた可能性も残る」


アリスが相良を見る。


「十五歳の透真さんが?」


「あるだろ」


「ありますね」


透真自身が先に答えた。


「そこは否定しないんですね」


「十年前の自分を信用しろと言われても困ります」


アリスが少し困ったように笑う。


「でも、高瀬さんの本人確認では嘘かどうかは分からない」


「当然だ」


相良はペンを置いた。


「本人しか知らない情報に正しく答えたことと、その前の質問に本当のことを言ったかどうかは別だ」


「私なら分かったのに」


アリスが呟く。


透真が横を見る。


「十年前にいてくれれば便利でしたね」


「まだ子供です」


「存在してないわけではないんですね」


「病院にはいません」


「そういう意味です」


「分かってます」


いつものやり取りだった。


それが終わると、アリスは少しだけ表情を戻し、机の上のメモへ目を落とした。


そこには高瀬の言葉が相良の字で書かれている。


『さっき、誰といた?』


アリスはその一文をしばらく眺めた。


「……これ」


相良が顔を上げる。


「何だ」


「高瀬さん」


アリスは本人へ向き直った。


「本当に、この聞き方でした?」


高瀬が少し考える。


「たぶん」


「『誰かいた?』じゃなくて?」


「違うと思う」


「『一人だった?』でもなく?」


高瀬は目を閉じた。


短い沈黙の後、首を横へ振る。


「『誰といた?』」


アリスはその言葉を確かめるように一度だけ繰り返した。


「誰と」


透真がアリスを見る。


「何かあります?」


「答えじゃないです」


アリスは先にそう断った。


「でも、高瀬さんは『誰かがいたか』を確認してない」


相良の目が僅かに細くなる。


「続けろ」


「『誰といた?』って聞くなら」


アリスは机上の資料へ視線を落としたまま言った。


「少なくとも、その質問をした瞬間の高瀬さんは、透真さんが誰かと一緒だったこと自体は前提にしていたんじゃないですか」


高瀬の指が、ペットボトルの表面で止まった。


透真も黙った。


言葉としては小さな違いだった。


誰かいた?


誰といた?


前者なら、存在そのものを確認している。


後者なら、存在はすでに認識している。


問題にしているのは相手の方だ。


「でも」


相良がすぐに言う。


「話し方なんて十年経って正確に残ってる保証はない」


「はい」


アリスは否定しなかった。


「だから答えじゃないです」


「それに、高瀬さんが誰かから『久世が人と一緒にいた』と聞いてただけかもしれん」


「それもあります」


「自分で見たとは限らん」


「はい」


相良は腕を組んだ。


「なら、ここだけじゃ動かん」


「だから」


透真が口を開いた。


「誰からそう聞いたか、ですよね」


相良が見る。


「高瀬さんが自分で見てないなら、誰かから聞いてる。自分で見てたなら、そこを記録してる人がいる可能性がある」


「お前、今日やけに働くな」


「だから早く終わらせたいんです」


「もうその理由聞き飽きたぞ」


「便利なので」


蘭が静かに笑った。


「理由は同じでも、してることは少しずつ増えてますね」


透真は蘭を見る。


「何の話です?」


「別に」


蘭はそれ以上言わなかった。



昼食は病院一階の喫茶スペースで取ることになった。


相良は売店で買ったおにぎりを二つ、高瀬は小さなサンドイッチ、蘭は温かいスープ。透真は特に空腹を感じていなかったが、アリスが何も言わずにパンを一つ置いたので、それを食べた。


「これも本人確認ですか」


透真が包みを開きながら言う。


「食事確認です」


「新しい業務ですね」


「倒れられると困るので」


「誰が?」


「皆が」


アリスはそれだけ言って、自分の飲み物へ口をつけた。


昼時の喫茶スペースには、患者の家族らしい人間や白衣姿の職員が行き交っている。窓の外では救急車が一台、静かに駐車場へ入ってきた。サイレンは鳴っていなかった。


周囲の誰も、十年前に同じ病院で一人の少年が何人いたのかなど気にしていない。


その普通さが、透真には少し助かった。


スマートフォンが震える。


大場からだった。


『午前中で終わりそうか?』


透真は画面を見る。


終わる気配はない。


『微妙です』


数秒で返信が来る。


『なら今日は来なくていい』


その直後、もう一件。


『無理して来て仕事増やすな』


透真は少しだけ眉を寄せた。


「大場さん?」


アリスが聞く。


「はい」


「会社?」


「今日は来なくていいそうです」


「よかったですね」


「何がです?」


「調べられる時間が増えました」


「仕事を休めることじゃなくて?」


「そっちは別に」


透真はスマートフォンを伏せた。


少しして、今度は沙莉からメッセージが入る。


『社長が朝から久世さんの机見て「来んでええ言うたのに来そうやな」って言ってます』


その下に、


『こっちは大丈夫なんで気にせずどうぞ』


と続いていた。


透真は一度画面を見てから、短く『了解』と返した。


「帰ります?」


アリスが聞く。


透真はパンの最後の一口を食べる。


「帰っても仕事ないらしいので」


「じゃあ?」


「戻ります」


答えてから、自分でも少しだけ違和感があった。


誰かに求められたわけではない。


相良から残れとも言われていない。


高瀬の記憶を聞く義務もない。


それでも、戻る。


透真は紙コップのコーヒーを飲み切った。


理由ならいくらでも作れた。


会社へ行っても邪魔になる。


ここまで来たのに途中で帰る方が非効率。


自分の過去を他人だけで調べられるのは気分が悪い。


どれも嘘ではない。


だから、それで十分だった。


          *


午後の調査は、旧棟関係の資料を作成元ごとに分けるところから始まった。


改修業者。


施設管理。


看護部。


警備。


警察。


同じ旧棟について書かれた紙でも、それぞれ目的が違う。


改修業者は工事を止めないために人の動きを記録する。


病院は患者の安全を確認する。


警備は立入者を記録する。


警察は事情を把握する。


相良はその違いを利用しようとしていた。


「同じ出来事を、違う理由で見てる記録を重ねる」


相良が言う。


「一つが間違ってても、全部同じ間違い方をする可能性は下がる」


透真は旧棟平面図の横に各資料を置いていく。


「この作業員記録は五階階段前」


「そう」


「警備は?」


「旧棟側の臨時通路入口まで。中は業者管理になってる」


「病院側は?」


「患者が旧棟へ行くこと自体を想定してない」


「僕、結構迷惑な患者ですね」


「今さらだな」


高瀬が苦笑した。


「本当に何回か勝手にいなくなったのよ」


「何で?」


「聞いても『ちょっと』しか言わなかった」


透真は一瞬手を止める。


「十年前から説明する気ないですね」


「そこは今と変わらないわね」


「成長してないみたいに言わないでください」


「成長したところもあるんじゃない?」


透真は返事をしなかった。


アリスが横で少し笑っている。


その時、蘭が一枚の紙を持ち上げた。


「これ、同じ会社ですか?」


相良が見る。


旧棟の改修業者名が印刷された別の用紙だった。


「そうだな」


「さっきの記録と形式が違います」


「用途が違う」


相良は受け取る。


「これは通路安全確認表だ。工事の搬入と患者や職員の通行が重なった時に、作業を一時止めた記録」


透真が覗き込む。


時刻。


区画。


通行区分。


作業停止。


再開。


一行ごとの情報は少ない。


個人名を書く欄もなかった。


「これなら名前がなくても普通ですね」


アリスが言う。


「ああ」


相良がページをめくる。


「患者一名、職員二名、業者三名。そんな書き方だ」


蘭はそのまま黙っていた。


何かを言いたそうというより、単純に紙の形式を理解しようとしている顔だった。


透真も別のページへ目を落とす。


ほとんどが同じ記載だった。


『職員一名』

『業者二名』

『患者一名・看護師一名』

『搬入業者三名』


名前はない。


関係だけ。


人数だけ。


しばらくして、透真の指が止まった。


「相良さん」


「何だ」


「ここ」


相良が身を寄せる。


該当するのは、旧棟五階と病棟側を繋ぐ連絡区画だった。


日付は同じ八月二十日。


時刻欄は、前後の記録と比べても大きな矛盾はない。


そこに書かれていたのは、短い一文だった。


『患者側二名、警察一名通行のため作業停止』


誰もすぐには声を出さなかった。


透真は紙を持ち上げず、机へ置いたまま読んでいた。


相良が先に動いた。


「待て」


赤いボールペンで囲むようなことはしなかった。


代わりに、ページ番号を確認し、表紙へ戻り、作成者欄を見た。


「これを書いたのは、さっきの『久世君』の記録を書いたやつと別人だ」


高瀬が息を吸う。


「別?」


「ああ」


相良は用紙を光へ透かすように少し持ち上げた。


「担当区画も違う。こっちは通路安全管理の責任者。さっきのは作業班の現場メモだ」


アリスが文字を見つめる。


「患者側二名」


「そこだけ読むな」


相良がすぐに止める。


「病院職員を患者側ってまとめた可能性がある」


「看護師とか?」


「そうだ」


「でも他の行では『患者一名・看護師一名』って分けてます」


透真が言った。


相良は答えず、前後のページを確認する。


一枚。


二枚。


三枚。


書き方の癖を見るように、同じ記録者が担当した行だけを拾っていく。


『患者一名・看護師一名』

『職員二名』

『患者一名・家族二名』

『警備一名・業者一名』


相良の読む速度が少しずつ落ちた。


「……雑にまとめるタイプじゃないな」


高瀬が椅子を引き寄せる。


「じゃあ二人?」


「まだだ」


相良の声が少し強くなる。


「『患者側』が何を意味するか確定してない。患者二名とは書いてない」


「でも警察一名は相良さんですよね」


アリスが聞く。


「可能性は高い。ただ俺じゃない警察関係者の可能性もゼロじゃない」


「じゃあ」


透真が紙面を指す。


「仮に警察一名が相良さんなら、患者側二名は僕と誰か」


「そう読める」


「僕以外が病院職員なら?」


「それも読める」


「家族?」


「可能性はある」


「業者?」


「『患者側』に業者を入れる理由は薄い」


相良は一つずつ答えた。


その姿勢は変わっていない。


一枚の紙が出たからといって、そこから人間を生み出そうとはしない。


むしろ逆だった。


存在しない可能性を最後まで残そうとしている。


蘭がそのやり取りを聞きながら、静かに言った。


「一つだけいいですか?」


相良が顔を向ける。


「何だ」


「今、皆さんは『二人いた』か『一人だった』かを考えてますけど」


蘭は記録へ指を置かなかった。


「この紙には、一人だったとは書いてないんですよね」


「そうだな」


「なら、少なくとも今まで私たちが勝手に置いていた『久世さんと相良さんの二人だけだった』という前提は、記録にはありません」


相良は少しだけ目を細めた。


「言い方の問題だ」


「はい」


蘭は素直に頷いた。


「だから答えではないです。ただ、二人だけだったという事実も、まだ確認できてない」


透真は『患者側二名、警察一名』という文字を見る。


記録には、誰の顔もない。


名前もない。


性別もない。


ただ人数の区分だけが残っている。


それでも、昨日までとは違った。


高瀬の記憶だけなら、十年という時間の中で形を変えた可能性がある。


だがこの紙は、高瀬とは別の人間が、別の目的で残したものだった。


工事を止めた理由を書くための記録。


そこに、三人分の通行が記されている。


「同じ時間帯?」


透真が聞く。


「近い」


相良は答えた。


「ただし、昨日言った通り時計のズレはある。これだけで十五時五十七分と完全一致させるのは無理だ」


「でも旧棟五階」


「ああ」


「相良さんの記録も五階階段前」


「ああ」


「僕もいる可能性が高い」


「高い」


透真は少し間を置いた。


「じゃあ、一人余る」


相良はすぐに首を振った。


「余ったとは言わん」


「厳しいですね」


「当たり前だ」


「じゃあ何て言います?」


相良はしばらく考えた。


それから、紙を机へ戻した。


「高瀬さんの記憶だけじゃなくなった」


その言葉に、高瀬が視線を落とした。


相良は続ける。


「この記録が何を数えたのかは、まだ確定できない。ただ、俺と久世しかいなかったと決めつける理由はなくなった」


アリスは何も言わなかった。


ただ『患者側二名』という文字をじっと見ている。


透真は背もたれへ身体を預けた。


高瀬の記憶。


業者の安全確認記録。


別々の人間が、別々の理由で残したものが、同じ方向を向き始めていた。


それでもまだ、誰かの顔だけがない。


          *


午後三時を過ぎた頃、相良は一度会議室を出た。


警察署へ確認を入れるためだった。


高瀬も病棟から呼ばれ、しばらく席を外す。


残ったのは透真、アリス、蘭の三人だった。


机の上には大量の資料が残されている。


透真はその中から、第十六話で見つかった写真の複写を取り出した。


十五歳の自分。


白い服の女性。


銀色の鎖。


そして、背景に残る「520」の数字。


何度も見た写真だった。


だからこそ、透真はしばらく手に取らなかった。


新しいものを探すなら、新しい資料を見る方が効率がいい。


そう考えていた。


しかし今は、写真の中にいる人物を探したいわけではなかった。


「何見てるんです?」


アリスが隣から覗く。


「僕」


「それは見れば分かります」


「じゃあ聞かないでください」


「そういう意味じゃないです」


透真は写真を机へ置き直した。


「この時の僕、どこ見てます?」


アリスが少し身を寄せる。


写真の中の十五歳の透真は、正面を見ていない。


白い服の女性とも視線が合っていない。


身体は写真の中央に向いているが、顔だけが僅かに横へ向いている。


「写真を撮ってる人?」


アリスが言う。


「普通はそう思いますよね」


蘭も反対側から覗いた。


「撮影位置はこっちでしょうか」


「多分」


透真が写真の端を指す。


「でも目線、少し外れてません?」


三人とも黙って見る。


写真だけでは判断できない。


撮影者の手元を見ていたのかもしれない。


何か音がしただけかもしれない。


通りかかった誰かを見ただけかもしれない。


ただ、透真の顔の向きは、レンズそのものではなく、その横に何かがあるようにも見えた。


「写真の外に誰かいた、とか?」


アリスが言う。


「それは作りすぎです」


透真はすぐに答えた。


「そこまで言ってません」


「言いそうだったので」


「言いません」


蘭は写真から目を離さない。


「でも、この写真だけで一人だったかどうかも分からないですね」


透真が蘭を見る。


「また二択ですか」


「今日はそれしか仕事がないので」


「便利ですね、その役割」


「久世さんの『早く終わらせたい』と同じくらいには」


透真は少しだけ笑った。


その時、廊下側から足音が近づいてきた。


相良だった。


扉を開けた瞬間、三人が写真を見ていることに気づく。


「何だ、それ」


「昔の僕です」


「それは知ってる」


「じゃあ聞かないでください」


「お前ら今日そればっかりだな」


相良は椅子へ戻りながら、携帯電話を机へ置いた。


「署に確認した。十年前の関連資料、まだ一部残ってる」


「一部?」


透真が聞く。


「事件化してない聞き取りも含めてだ。火災と旧棟閉鎖の確認資料にまとめて保管されてる」


「今日見れます?」


「すぐには無理だ。紙だけじゃない。古い媒体もある」


アリスが顔を上げる。


「媒体?」


「音声とか写真データとかだ。全部が何の記録かまでは、向こうも今確認してる」


透真は写真から手を離した。


「十年前の僕の話も?」


「可能性はある」


「事情聴取?」


「正式な調書じゃない」


相良は言った。


「当時、お前は未成年だし、事件としてお前を取り調べたわけでもない。現場で聞いた内容を補助的に残したメモや、後で署内で整理した資料がある」


「僕、話してる?」


「そこまではまだ分からん」


透真は何か言おうとして、止まった。


相良はそれを見たが、先に別の話をした。


「その前に」


相良は再び席につき、目を閉じる。


「さっきの記録を見て、少し戻った」


アリスの表情が変わる。


「記憶?」


「ああ。ただし、一場面だけだ」


相良は自分に言い聞かせるように先に条件をつけた。


「本物かどうかも分からん。今見た記録に引っ張られて作った可能性もある」


「それでも聞かせてください」


透真が言った。


相良は一瞬だけ透真を見る。


その頼み方が意外だったのかもしれない。


「……旧棟の階段だ」


相良はゆっくり話し始めた。


「俺がいて、お前がいる」


会議室の音が遠のいたように感じた。


相良は目を閉じたまま続ける。


「お前は階段の踊り場の近く。俺は少し下」


「右脚は?」


「分からん」


「他に誰か?」


「見えない」


相良の返答は早かった。


「そこはない。少なくとも今戻ってる映像には、お前以外いない」


透真は黙る。


相良の眉間に浅い皺が寄る。


「俺が何か聞いてる」


「『君は何人いる?』?」


「その前だと思う」


相良の呼吸が少し深くなる。


「普通の質問だ。どこ行ってた、とか、病室戻れ、とか……そこはない」


誰も口を挟まない。


「それで、お前が」


相良の右手が机の上で僅かに動いた。


「俺を見なくなる」


透真の指先が止まる。


「どこを?」


「俺の横……いや」


相良は首を振った。


「もう少し後ろだ」


「誰かいた?」


アリスが尋ねる。


「分からん」


相良は目を開けない。


「見えない。人影もない。ただ、お前はそっちを見た」


「音?」


「かもしれん」


「前話で言ってた足音?」


「それと繋がってるかもしれない」


相良は一度唇を閉じた。


「でも、おかしいのはそこじゃない」


透真が僅かに身を起こす。


「何が?」


「間だ」


「間?」


「お前がそっち見て」


相良は何かを再現するように、自分の顔を少し横へ向けた。


「すぐ俺に戻らない」


会議室の蛍光灯が微かに音を立てている。


「俺が何か言っても、お前は一拍待つ」


相良は目を開けた。


「誰かの返事を待ってるみたいに」


透真は何も言わなかった。


アリスも蘭も沈黙している。


「ただし」


相良は強く付け加えた。


「これだけでそこに誰かいたとは言わん」


「分かってます」


透真が答える。


「音を聞いてただけかもしれない。考えてただけかもしれない。僕が変な子供だっただけかもしれない」


「最後のは可能性高いな」


「そこだけ乗らないでください」


少しだけ空気が緩んだ。


だが透真はすぐに机上の安全確認表へ目を戻した。


患者側二名。


相良の記憶では、目に見えるのは透真一人。


高瀬は『誰といた?』と尋ねている。


そして十五歳の透真は、相良ではない答えを返した。


一致しているように見える。


だからこそ、透真はそこへ簡単に飛びつきたくなかった。


一致しているように見えるものほど、人間は都合よく繋げる。


相良がずっとしているのは、その逆だった。


繋がるものを、一度切る。


それでも繋がるかを見る。


「相良さん」


透真が言った。


「何だ」


「この『患者側二名』って、誰が書いたか分かります?」


「社員名はある」


「その人、生きてます?」


相良が少し眉を上げた。


「お前、自分から聞きに行く気か?」


「必要なら」


透真は安全確認表を見たまま答えた。


「本人に聞いた方が早いでしょう」


「十年前の一行を覚えてると思うか?」


「思ってません」


「じゃあ何聞く」


「『患者側』ってどういう意味で使ってたか」


相良の顔から僅かに険しさが抜けた。


「それなら意味はある」


「でしょう」


「ただし」


相良は資料を閉じる。


「本人を探すのは俺がやる」


「警察なので?」


「個人情報だ」


「そこは任せます」


透真はあっさり引いた。


自分でやるところと、他人へ渡すところ。


その境界は、以前と変わっていない。


ただ、以前なら最初から全部を渡していたかもしれない。


今は、自分で触れるところまでは触っている。


その違いを、透真自身だけが意識していなかった。



高瀬が戻ってきたのは、それから二十分ほど後だった。


相良は安全確認表を見せ、高瀬へ説明する。


高瀬は『患者側二名』という文字を読み、長く黙った。


「覚えは?」


相良が聞く。


「ない」


「それでいい」


「でも」


高瀬は紙から目を上げた。


「さっきの質問のこと、もう一つだけ」


全員の視線が向く。


高瀬はすぐには話さなかった。


「答えを思い出したわけじゃない」


先にそう断る。


「何です?」


透真が聞く。


「あなたが答える前」


高瀬は透真を見る。


「病室の外を見た」


相良が姿勢を変える。


「廊下?」


「たぶん」


「誰かいた?」


「分からない」


高瀬は首を振る。


「そこは見えない。私の記憶の中では、あなたの顔しか残ってない」


「その後?」


「あなたは私に戻って、答えた」


「相良さんじゃない誰かを」


「ええ」


「名前?」


高瀬の唇が僅かに動く。


「……名前だったのかも、まだ分からない」


透真の眉が動いた。


「どういう意味です?」


「呼び方だった気がする」


「呼び方?」


「固有名詞をはっきり言った感じじゃないの」


高瀬は自分でも確信がないのだろう。何度も言葉を選び直している。


「誰かとの関係を言ったのか、それとも私がそう受け取っただけなのか……分からない」


相良がすぐに口を挟む。


「そこから先は止めましょう」


高瀬は頷いた。


「ええ」


「今以上に思い出そうとすると、今日聞いた話が混ざる」


「分かってる」


透真は何も言わなかった。


固有名詞ではない可能性。


呼び方。


関係を示す言葉。


それは答えに近づいたようでいて、まだ何一つ特定していない。


むしろ候補を増やすだけだ。


父。


母。


叔父。


先生。


看護師。


知らない誰か。


名前を使わず人を呼ぶ方法はいくらでもある。


透真は頭の中でそれ以上広げるのを止めた。


今は答えがない。


なら、考えても仕方がない。


その考え方だけは、昔から変わっていなかった。


          *


夕方。


窓の外の光が白から橙へ変わり始めた頃、相良の携帯電話が震えた。


相良は画面を確認し、そのまま立ち上がる。


「署からだ」


部屋の外へ出ていき、数分後に戻ってきた時には、表情が少し変わっていた。


透真が気づく。


「何かありました?」


「ある」


相良は席へ戻らず、机の端に手をついた。


「十年前の旧棟関連資料。紙の一覧だけ先に確認できた」


アリスが姿勢を正す。


「その中に何か?」


「八月二十日の資料がある」


「それは今も見てますよね」


「違う」


相良は首を振った。


「警察側のやつだ」


透真が黙る。


「当時、病院で何人かに現場聞き取りしてる。正式な事情聴取じゃない。現場確認の補助だ」


「僕も?」


「名前がある」


透真の目が細くなる。


「何て?」


相良は携帯電話の画面をもう一度見た。


「『久世透真・現場聞取補助』」


会議室の空気が変わった。


高瀬が小さく息を吸う。


「内容は?」


「まだ見れてない」


相良は答えた。


「紙の要約は保管庫にある。ただ、それとは別に参照記号が付いてる」


「参照記号?」


「音声だ」


アリスの手が止まる。


透真は相良を見たまま動かなかった。


「僕の?」


「可能性は高い」


「録音したんですか」


「現場で全部の聞き取りを録ったわけじゃない。だが、その補助記録には音声媒体参照とある」


「何で今まで出てこなかったんです?」


蘭が聞く。


相良は椅子を引き、ようやく座った。


「管理が別だからだ。紙の記録は事件資料側。音声は古い電子媒体の保管番号だけ残ってる。今は現行システムに入ってない」


「再生できる?」


透真が聞く。


「媒体自体が残っていればな」


「残ってるか分からない?」


「所在確認中だ」


「いつ分かります?」


相良は透真を見る。


その質問に、ほんの僅かだけ反応が遅れた。


「明日の朝には」


透真は机の上の安全確認表へ視線を落とした。


『患者側二名、警察一名通行のため作業停止』


高瀬の記憶。


『さっき、誰といた?』


相良の記憶。


誰もいない方向を見る十五歳の自分。


そして今度は、十年前の自分自身の声が残っているかもしれない。


「その音声」


透真が言う。


「俺が先に確認する」


相良が答えた。


「当然だ。中身が関係ない可能性もある」


「関係あったら?」


「聞かせられる範囲を判断する」


透真は少し考えた。


以前なら、それで終わっていた。


相良が確認する。


必要なら連絡が来る。


それまで自分は関わらない。


その方が楽だ。


結果だけ聞けばいい。


だが机の上には、十年前の自分の名前が書かれている。


聞かれる側も、自分だった。


答えたのも、自分だ。


透真は椅子の背から身体を離した。


「僕も見ます」


相良が眉を上げる。


「音声だぞ」


「じゃあ聞きます」


「まだ残ってるかも分からん」


「残ってたら」


透真は言い直す。


「確認します」


相良は少しの間、透真を見た。


「会社は?」


「今日はもう休みになりました」


「明日は?」


「行けます」


「お前、本当に仕事してるのか?」


「一応」


「一応って言うな」


アリスが小さく笑った。


透真はそのままアリスへ視線を向ける。


「どうします?」


一瞬だけ、アリスが目を瞬かせた。


「私は行きます」


答えは早かった。


「透真さんが聞くかどうかとは別に、私も確認したいので」


「分かりました」


透真はそれだけ答えた。


来てほしいとは言わない。


来なくていいとも言わない。


それで会話は成立した。


蘭も資料を閉じる。


「私は予定を確認します。行けるなら行きます」


「全員来る必要はないぞ」


相良が言う。


「では、必要かどうかも私が決めます」


蘭は穏やかに返した。


相良は何か言おうとして、やめた。


高瀬は机の上の資料を一枚ずつまとめ始めていた。


その手が、『本人確認済』の記録のところで止まる。


「もし」


高瀬が静かに言った。


全員が見る。


「その音声に、あなたの答えが残ってたら」


透真は返事を待った。


「私が思い出してることが、本当だったか分かるかもしれない」


「そうですね」


「怖くないの?」


唐突な質問だった。


透真は少し考える。


「何がです?」


「十年前の自分が、今のあなたの知らない誰かの名前を言うかもしれない」


透真は机の上へ視線を落とした。


怖いかどうか。


考えたことがなかった。


正確には、考えないようにしていたのかもしれない。


自分の知らない自分。


自分と呼ばれた誰か。


本人と確認された自分。


相良と一緒にいた久世君。


右脚を庇わず歩いた少年。


その全部を、自分の中へ入れる必要などない。


知らないままでも生きていける。


昨日までなら、そう考えて終わっていた。


「嫌なら」


高瀬が続ける。


「相良さんだけに確認してもらってもいいのよ」


透真は高瀬を見る。


断る理由を用意してくれている。


逃げ道としては十分だった。


透真は少しだけ口元を緩めた。


「そこまで分かったなら」


机の上に置かれた三枚の記録へ視線を落とす。


十五時五十七分。


十五時五十八分。


十六時五分。


そしてその横に、新しく置かれた安全確認表。


「確認した方が早いでしょう」


高瀬は何も言わなかった。


相良も、透真の言葉を大げさに受け取らなかった。


「じゃあ、明日だ」


それだけ言って携帯電話を取る。


窓の外では日が傾き、向かいの建物の影が病院の壁をゆっくり上っていた。


透真は立ち上がる前に、もう一度だけ『患者側二名』という文字を見た。


誰だったのかは分からない。


そもそも本当に「誰か」だったのかも、まだ分からない。


ただ一つだけ。


高瀬の記憶の中にしか存在しなかった相良以外の何かは、もう記憶の中だけにはいなかった。


十年前の別の人間が、別の目的で残した記録にも、その余白だけは残っている。


そして明日。


もし音声が残っているなら。


『さっき、誰といた?』


その問いに答えた十五歳の久世透真自身の声が、十年越しにもう一度再生される。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!

コメント、高評価よろしくお願いします。


YouTubeでは『世界から逃げる男』のショート映像も公開しています。

今回のエピソードをイメージした映像も順次公開予定です。


▼YouTube Shortsはこちら

【YouTubeのURL】

https://youtube.com/channel/UCKWGBcfVzGly66ocn66qdsw?si=HehsNKGWu4fcWrui



続きが気になった方は、ぜひ次話も読んでいただけると嬉しいです。

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